万引など窃盗 [公開日]2020年3月10日[更新日]2025年4月22日

窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される?どんな処分になるのか

窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される?どんな処分になるのか

コンビニやスーパーなどでの万引き行為は「窃盗罪」です。
「万引き」と聞くと軽い犯罪に思われがちですが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。従業員などに発覚すると警察を呼ばれ、逮捕・起訴・有罪判決となる可能性もあります。

とはいえ、万引きが初犯で、被害額が少額であれば、逮捕・起訴されないケースも多いです。
万引きは再犯が多いと言われる犯罪の1つですが、初犯の段階でしっかりと反省し、犯罪を繰り返さないようにしましょう。

ここでは、窃盗罪の初犯で検挙されてしまった方やそのご家族がやるべきことについて解説します。

1.窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される可能性

窃盗罪に限らず、刑事犯罪は初犯よりも再犯の方が警察・検察に厳しい判断をされます。
再犯について、「反省していない」「今回寛大な処分にしてももう一度繰り返すだろう」と思われてしまうのは当然でしょう。
※ここで言う「再犯」とは、「以前有罪判決(罰金を含む)を受け前科がある者が、再度刑事犯罪を犯した場合」という意味で使います。

単なる窃盗は刑事犯罪の中でも比較的軽い罪にはなりますので、特に店舗等での万引き事案では、初犯で被害の額が安く、かつその手口の悪質性も低いようなケースでは、微罪処分で済む可能性もあります。
微罪処分とは、警察が刑事事件の被疑者を逮捕したり事情聴取したりしても、事件が軽微であることなどを理由に送検せずに事件処理を終わらせる手続きです。

例えば、万引きが見つかって警察署に連れて行かれたとしても、被害額が少なく初犯である場合には、警察に1〜2日留置され事情聴取だけ受けて(被害弁償を促されて)微罪処分として家に帰してもらえることがあります。

たとえ微罪処分で済まなかったとしても、在宅事件として捜査が進み、最終的には略式手続による罰金で終わるのが通例です。

一方、初犯であっても「被害額が相当に大きい」「手口が計画的で悪質性がある」「立件されている事件が複数件ある(余罪がある)」場合は、逮捕・勾留による身体拘束の後、公判請求されて刑事裁判になる可能性もあります。

2.初犯の窃盗罪で不起訴処分を得る方法

万引きの初犯ならば弁護士に依頼をし適切な対応をすることで、逮捕を免れ、かつ不起訴を勝ち取ることが可能です。
一方、初犯であっても何もせず放置していては罰金刑となる可能性はありますので、以下のような対策を取るようにしましょう。

(1) 被害者との示談交渉

窃盗(万引き)のように被害者が存在する刑事事件では、その被害者との示談が成立しているか否かが量刑判断に大きな影響を与えます。
窃盗事件ならば、被害者に被害弁償を行い、更に慰謝料を支払うなどをして許してもらう=示談を成立させることが重要なのです。

しかし、コンビニやスーパーなどの店舗では、万引きに対して非常に厳しい姿勢をとっており、厳罰を望み一律で示談に応じないとしているケースも多いです。
さらに、被疑者本人やその家族が示談のためにコンタクトを取ろうとすると、余計に被害者の感情を害すこともあり、却って被疑者に不利な状況を招きかねません。仮に逮捕・勾留で身体拘束をされていたら、そもそも被疑者本人が示談交渉をすることはできません。

そこで、被害者との示談交渉は弁護士に依頼をすることがおすすめです。

弁護士は、被害店舗等に対して被疑者の代理人として示談の申し入れを行い、粘り強く交渉を行います。
仮に示談に応じていただけない場合でも、買取の形で被害弁償に応じていただいたり、現金書留で被害金額を送付したりします。
いずれも不可能であれば、贖罪寄付(窃盗の被害相当額・示談金相当額を所定の機関に寄付すること)を行うことも有効です。

示談が成立し、被害者が犯罪事実について許していることが示談書で証明できれば、検察官や裁判官は処分を軽くする(不起訴・減刑とする)可能性が高いです。

なお、示談交渉は初犯のケースはもちろん、再犯の窃盗を犯してしまった場合でも有益なものです。

→ご相談内容「示談したい

(2) 反省文・謝罪文の提出

示談交渉以外にも、被疑者が謝罪文を作り被害者にお渡しする(※受け渡しは弁護士が仲介します)ことや、検察官や裁判官に反省文を提出することも有効です。

被疑者が謝罪文を読めば、深く反省している様子を理解して示談に応じてくれる可能性が高くなるかもしれません。
また、検察官等は被疑者の贖罪と反省の気持ちも量刑の判断の参考にします。

反省文・お詫び状(謝罪文)については、弁護士のアドバイスを受けた上で、ご自身の言葉で丁寧に作成しましょう。

(3) 再犯防止策の検討

検挙されたのは初めてであっても(初犯であっても)、「お金に困っていないのに、スリルを味わいたくて万引きをしてしまった」「昔から衝動的に物を盗んでしまう」などの非合理的な思考があるならば、クレプトマニア(万引き癖)という精神疾患の可能性があります。
クレプトマニアが疑われる場合、必要なのは重刑ではなくクレプトマニアの適切な治療を受けることです。

初犯の場合は大きな問題にはならないかもしれませんが、仮に余罪があるなどの理由で検察官の評価が厳しくなることが予想されるなら、クレプトマニアの治療等、再発防止策を講じていることを主張するのも大事です。

クレプトマニア(万引き癖)の特徴と治療法

[参考記事]

クレプトマニア(万引き癖)の特徴と治療法

3.窃盗は泉総合法律事務所の弁護士へご相談ください

「たかが万引き」「安いものだから」などと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、窃盗罪は最高で10年の懲役になる可能性のある重い犯罪です。
初犯ならば逮捕される可能性は低いですが、被害者と示談交渉もせず放置していれば、略式起訴により罰金刑となる可能性があります。罰金刑であっても有罪なので前科がついてしまいます。

万が一の逮捕や起訴を避けるためにも、万引きをしてしまった方やそのご家族は、警察に検挙されたら一度泉総合法律事務所の弁護士・泉義孝にご相談ください。

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