覚せい剤
覚せい剤取締法違反
覚せい剤は、使用者の心身をボロボロにして、最悪のケースでは凶悪事件にまで発展するリスクがあります。また、覚せい剤による売上が反社会的勢力の重要な資金源となっていることもあり、覚せい剤の起訴率は他の事件に比べかなり高いのが特徴です。
覚せい剤において問題となる態様は、主に覚せい剤の①使用、②所持、③売買(譲渡・譲受)、④輸出入の4つです。
①覚せい剤使用
科学捜査研究所による尿検査で覚せい剤成分が含まれていた場合、高い確率で逮捕・起訴されます。
これは、覚せい剤が体内を通過したことの非常に強力な客観的事実であるため、「交際相手に身体を拘束されて無理やり注射された」など特殊な事情があって、かつそれを裏付ける明確な証拠がないかぎり、覚せい剤の使用を否定することは困難です。
②覚せい剤所持
家宅捜索や、挙動不審者の職務質問などをきっかけに摘発されるケースが多いです。
③覚せい剤の譲渡
いわゆる売人が問題となります。
譲受の場合には、売人とのメールや通話履歴などから発覚することが多いです。
④覚せい剤輸出入
営利目的での覚せい剤輸出入は、裁判員裁判の対象事件となります。
覚せい剤の刑罰
覚せい剤に関する刑罰は、刑法ではなく「覚せい剤取締法」によって処罰されます。
営利目的なし | 営利目的あり | |
使用 | 10年以下の懲役 | 1年〜20年の懲役 または情状により500万円以下の罰金を併科 |
所持 | ||
譲渡・譲受け | ||
輸出・輸入・製造 | 1年〜20年の懲役 | 3年〜20年の懲役または無期懲役 または情状により1000万円以下の罰金を併科 |
一般的に、覚せい剤使用に関しての量刑を行う場合、次の項目に着目して、被疑者がどれだけ薬物に依存しているかを総合的に判断していきます。
- 使用量
- 使用頻度
- 使用期間
- 使用方法
- 同種の前科
実際に覚せい剤を使用していた場合、不起訴処分になるのは極めて困難です。
前述したとおり、「交際相手に身体を拘束されて無理やり注射された」など特殊な事情があり、かつそれを裏付ける明確な証拠がないかぎり、不起訴となるのは難しいでしょう。
なお、初犯であって、かつ営利目的のない単純使用・所持の場合であれば、たとえ公判請求されて刑事裁判になったとしても、執行猶予で終わる可能性が高いです。
反対に、営利目的による輸出入の場合には、たとえ初犯であっても、ある程度の実刑判決を覚悟することになります。
ちなみに、執行猶予中にふたたび覚せい剤取締法違反で起訴された場合、実刑判決となるのが通例です。
覚せい剤事件おける弁護方針
心を入れ替える姿勢をアピールする
覚せい剤取締法違反は、被害者なき犯罪です。したがって、不起訴処分や執行猶予判決を得るために有効な手段である、「被害者との示談成立」を検察官や裁判官にアピールできません。
ですので、まずは「薬物依存の状態を絶対に克服する」という強い気持ちを持つところから始めるべきです。
薬物依存度が高ければ高いほど、薬物を断つことは決して容易ではありません。しかし、だからこそ自身の「絶対に更生したい」「人生をやり直したい」という確固たる決意が必要です。
そして「決して薬物に二度と手を出さない」という姿勢を検察官や裁判官に強くアピールしていくことこそが、最終的には執行猶予付き判決の獲得に繋がるのです。
特に、覚せい剤を入手できる仲間や反社会的組織などと決別することは必須です。
ご自身の覚せい剤からの脱却はもちろん、そういったグループからの脱却を証明できるものがあれば、積極的に検察官や裁判官にアピールしていきます。
犯行形態や入手ルートを打ち明ける
覚せい剤の入手ルートについては、包み隠さず裁判官に打ち明けるべきです。もし法廷で言葉を濁すことがあれば、「まだ覚せい剤に未練があるのでは?」と裁判官の心証を悪くしてしまい、被告人の方にとって不利な結果に結び付く可能性を高めてしまいます。
覚せい剤の入手ルートをきちんと打ち明けることで、「覚せい剤への未練を完全に断ち切る」という今後の更生を強くアピールできます。
専門の治療機関や更生支援団体の力を借りる
覚せい剤取締法違反は、他の犯罪に比べて再犯率がとても高いのが特徴です。覚せい剤に依存している度合いが高ければ高いほど、被疑者ご自身の力だけで覚せい剤依存から脱却するのは非常に困難です。
そこで、薬物専門の医療機関で治療を受けたり、回復支援施設(ダルク等)へ入所したりすることで、覚せい剤依存から脱却することを目指しましょう。
そして、医療機関での診断書やカルテ、回復支援施設の入所を証明する書面を検察官や裁判官に提出することで、今後の更生を強くアピールしていきます。
今後の家族による監督をアピール
「今後、二度と同様の行為をおこさないよう、被疑者をきちんと監督していきます」といった誓約書を被疑者のご家族に書いてもらい、検察官や裁判官に提出します。
覚せい剤依存から脱却するためにも、家族の温かいサポートは不可欠と言えます。
早期釈放を目指す
覚せい剤事件の場合、そのほとんどは逮捕・勾留されます。勾留をしなければ、証拠隠滅や仲間との口裏合わせを図る可能性が高いとみなされているだけでなく、再び覚せい剤を利用するリスクが極めて高いと考えられるためです。
被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。
- 勾留請求をしないよう検察官に対して要求する
被疑者の家族の身元引受書や上申書、意見書を検察官に提出して釈放を働きかけます。 - 勾留決定しないよう裁判官に要求する
裁判官に伝わっていない事情や勾留のもたらすデメリットなどを記載した意見書を裁判官に提出して釈放を働きかけます。 - 勾留決定を取り消してもらうよう裁判官に対して要求する
いわゆる、“準抗告”です。準抗告が認められれば勾留決定取消し釈放となります。
覚せい剤事件では、弁護士による準抗告が認められるのも容易ではありません。
しかし、起訴後の保釈においては、覚せい剤の使用事件で初犯である場合、弁護士が身元引受人を用意しかつしっかりとした保釈請求をすれば、高い確率で保釈は認められます。
当事務所ではこれまでに、覚せい剤取締法違反における多くの保釈の実績があります。どうぞ安心して弁護活動をお任せください。
→関連リンク:ご相談内容「釈放・保釈してほしい」
違法な捜査に対しては抗議する
覚せい剤事件では、捜査機関による違法な捜査が行われやすい傾向にあります。
覚せい剤やその使用器具の捜索、押収、さらには採尿などについて、行き過ぎた捜査手法が問題となることがあります。
当事務所では、捜査機関による捜査行為に違法性がなかったかをきちんと検証し、もしそのような違法捜査があったという事実を突き止めた場合には、弁護人として捜査機関に強く抗議していきます。
そして、違法捜査で得られた証拠が裁判で利用されないように活動していきます。