盗撮で検挙・逮捕されたら?

盗撮は、性犯罪の中ではもっとも軽微な犯罪とされています。よって、通常盗撮で検挙されても逮捕まで至ることは少なく、すぐに釈放されて在宅で捜査が進むことが多いです。
しかし、通常の盗撮でも警察の判断如何では逮捕されることがありますので、安易に考えてはいけません。
また、裁判とならず罰金刑に止まっても「前科」がつきます。
ここでは、盗撮を犯した方が検挙・逮捕されるケース、また、逮捕されなかった場合も含めてその後どうなるのかについて解説します。
1.盗撮で逮捕されるケース
盗撮事件で逮捕される可能性が高くなるのは、明らかな証拠があるのに(スマホなどに盗撮画像が残っているのに)盗撮行為を否認している場合や、同一場所で常習的に盗撮を繰り返しており鉄道警察隊や警察官にマークされていた場合、同一女性に対してストーカー的に盗撮を繰り返している場合、盗撮が判明しないように偽装している場合など、悪質性が高い事件のケースです。
逮捕しなければ犯行を繰り返したり逃亡をしたりする可能性があると判断されれば、盗撮事案でも逮捕される可能性はあります。
逮捕された場合には早急な弁護活動が重要となりますので、刑事弁護経験豊富な弁護士ご依頼ください。
【逮捕と検挙の違い】
「逮捕」は、取り調べや捜査のために被疑者を短期間身柄拘束することです。逮捕までする必要がないと警察に判断されれば、在宅で普段と変わらない日常生活を送りながら、必要な時に出頭して捜査機関の取り調べに応じることになります。
一方の「検挙」は、捜査機関が「被疑者が誰であるか」を特定し、刑事事件の処理をすること全般を指します。逮捕をされても、逮捕されず在宅事件となっても、それは警察に盗撮を「検挙された」ということになります。
つまり、逮捕は検挙の後に続く処理の一種と考えることができます。
2.盗撮で逮捕された場合の刑事弁護
(1) 逮捕・勾留の回避
刑事犯罪で逮捕されたら、最大2日間警察署に留置された後、検察庁に送検され検察官が被疑者を取り調べます。検察官は、逮捕から72時間以内に、その後10日間の勾留請求をするかどうか判断します。
勾留請求を受けた裁判官が「勾留が必要である」と判断すれば、被疑者は逮捕に続き長期間の身体拘束を受け(勾留)、その期間は延長も含めれば最大20日(逮捕からは23日)に及びます。
当事務所の弁護士に刑事弁護をご依頼いただいた場合、早急に逮捕された警察署に接見に出向き、被疑者から事情をお聞きします。
また、家族の方に事務所に来所いただき、身元引受書や上申書(警察官に対して意見や報告をする書類)、弁護人意見書を作成します。
これらを警察官・検察官に事前に提出することで、釈放を促したり、勾留請求をしないように働きかけたりすることが可能です。
なお、盗撮ではこのような刑事弁護活動で多くの場合は勾留請求されず釈放となります。
もっとも、冒頭の通り警察や検察が盗撮の犯行態様が悪質と判断した場合には、裁判所に勾留請求することもあります。
(2) 示談交渉
身元引受書や上申書、弁護人意見書の提出だけでは、必ず起訴を免れるとは言えません。不起訴のためには、弁護士が検察官を通して盗撮の被害者の連絡先を聞き、被害者と示談交渉をする必要があります。
示談交渉では、まずは被疑者からのお詫びを弁護士が代わってお伝えし、また、被疑者が書いた謝罪の手紙を渡すことから始まります。
被疑者の反省・謝罪をご理解いただければ、慰謝料と被害弁償の性質を兼ねた示談金額を提示・ご検討していただきます。
最終的に被害者の方が被疑者を許し示談金についてご納得いただければ、示談書の締結と示談金のお支払いとなります。
示談交渉は、被害者の感情をくみ取りながら丁寧に話し合いを進め、かつ事件の様態に合った適正な金額で示談をする必要があります。
よって、盗撮事例について十分経験を積んだ刑事弁護に精通した弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。
示談書を検察官に提出すれば、初犯の盗撮であれば通常不起訴になり、前科はつきません。
しかし、盗撮の検挙が2回目、3回目になると、例え示談が成立していても「反省をしていない」「また繰り返す可能性がある」と思われ、罰金刑になることがありえます。
なお、検察官や警察官が被疑者本人に被害者の連絡先を教えることは絶対にありませんので、被害者との示談交渉は弁護士に依頼をしなければ開始することすら不可能と言えるでしょう。
【被害者が未成年の場合の示談交渉】
被害者が未成年の場合には、示談交渉の当事者は代理人であるご両親となるため、被害感情が強く、示談のハードルは高くなります。例えば、ご両親のうち母親からお許しをいただいても、父親からのお許しはいただけないこともあるのです。
当所ではそのような場合でも誠意を尽くして粘り強く交渉することで、多数示談していただいております。
3.悪質な盗撮(常習的盗撮/再犯など)の弁護活動
犯行容態が悪質な盗撮である場合は、裁判官に勾留請求をされる可能性や、示談交渉が難航する可能性が高くなります。
当事務所は、これまでの経験から「勾留請求となる可能性がある」と思われる事案では、当初から勾留請求される可能性を念頭に置いて、検察官の勾留請求を審理する裁判官向けの書類を作成しており、迅速に対応する体制をとっております。
裁判官に事前に作成した意見書などを提出して働きかけることで、勾留決定されず釈放となる可能性が高くなるのです。
実際、常習的盗撮で同種の罰金前科があり裁判官の勾留決定も十分予想される中、当所の弁護士は直ちに勾留質問が行われる裁判所に出向きました。
被疑者本人に接見して事実関係を確認し、その後、裁判官との面接を行うとともに意見書・身元引受書を提出することで裁判官の勾留決定を阻止し、その日の午後に無事釈放となったことがあります。
ただし、否認の場合には裁判官の勾留決定がされる可能性は十分にあります。
仮に勾留決定された場合には、弁護士は勾留決定取消を求めて準抗告をします。準抗告とは、簡単に言えば勾留決定に対する不服申立です。
4.盗撮で在宅事件になった場合の弁護活動
逮捕されない(検挙されたものの在宅事件になる)場合には、盗撮が発覚して駅員室経由などで警察に連行された後、警察で盗撮を認める上申書を作成すれば釈放(解放)されますので、家族に身元引受人として迎えに来てもらいます。
同居家族がいない場合や家族との連絡が取れない場合には、警察が職場に連絡して上司が身元引受人として警察署に迎えに来るよう要求することが稀にあります。よって、会社に盗撮の事実がバレないようにするには、被疑者の方は「会社には絶対に連絡しないでください」と強く主張してください。
上申書作成後、後日改めて警察から呼び出され供述調書という正式書類を作成しますが、これで警察での捜査、取り調べは終了します。
その後、検察庁に書類送検されるでしょう。
このように、在宅でも盗撮の検挙はされていることになりますので、犯した罪を甘く見てはいけません。罰金刑でも有罪であるため前科がつきます。
例え逮捕されなくても、盗撮で検挙されたら刑事弁護経験が豊富な弁護士に相談をするようにしましょう。
5.まとめ
盗撮事件については、刑事弁護の依頼を受けた弁護士が被害者と示談交渉を行い示談が成立すれば、(初犯であれば)不起訴となるケースがほとんどです。
再犯、再再犯だと不起訴とならず罰金となる可能性がありますが、犯行態様や前科の有無、示談内容などに左右されてきますので、ご自身で判断をするのは危険です。
盗撮で検挙・逮捕されてしまったという方は、盗撮の刑事弁護経験豊富な弁護士にご相談することをお勧めします。