盗撮 [更新日]2026年3月18日

盗撮の刑事弁護全般について

盗撮で検挙・逮捕されたら?
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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盗撮は、性犯罪の中ではもっとも軽微な犯罪とされています。よって、通常盗撮で検挙されても逮捕まで至ることは少なく、すぐに釈放されて在宅で捜査が進むことが多いです。

しかし、通常の盗撮でも警察の判断如何では逮捕されることがありますので、安易に考えてはいけません。
また、裁判とならず罰金刑に止まっても「前科」がつきます。

ここでは、盗撮を犯した方が検挙・逮捕されるケース、また、逮捕されなかった場合も含めてその後どうなるのかについて解説します。

1.法の禁止する「盗撮」とは?

盗撮とは、一般的には無断で人物を動画ないし静止画で撮影することを指します。しかし、その全部について法律や条例が禁止して刑罰の対象となるわけではありません。
たとえば、「風景を動画ないし静止画で撮影したところ、その映像にたまたま人物が映っていた場合」には法の禁止する盗撮にはなりません。

では、路上や商業施設などで特定の人物(単独ないし複数人)を、無断で動画ないし静止画で撮影した場合はどうでしょうか。
この場合には、法の禁止する盗撮に該当します。

そして、何も女性のスカートの中の下着をエスカレーターの下から撮影する行為や、電車内で向かいに座っている女性の下着を撮影する行為、女子トイレや女性用更衣室に入り女性の下着姿を撮影する行為などだけが法の禁止する盗撮ではありません。

当所では、商業施設の中で特定の女性を離れたところから撮影した場合も盗撮として検挙され、その時は弁護士に依頼せずに示談しなかったため罰金刑を科された方の弁護も担当したことがあります。
また、電車内で、やはり少し離れたところから特定の女性を撮影した場合に検挙された方もいます。

上記の法に反する撮影行為以外にも、盗撮のためにスマートフォンやデジカメをトイレや更衣室などに設置する行為も、同じく盗撮の一種として処罰されます。

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2.盗撮を禁止する法律

(1) 盗撮罪および迷惑行為防止条例

盗撮を禁止する法には、各都道府県の制定する迷惑行為禁止条例(都道府県で名称は異なりますが、ここでは迷惑行為防止条例と呼びます)と、性的姿態撮影等処罰法があります。
性的姿態撮影等処罰法の正式名称は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」と言います。同法律は2023年(令和5年)7月13日に施行されました。

性的姿態撮影等処罰法の処罰対象となる行為は、以下の通りです。

  1. 正当な理由なく、人の性的姿態などをひそかに撮影する(盗撮する)行為
  2. 同意できない状態の被害者を撮影する行為
  3. 被害者を誤信させて撮影する行為
  4. 16歳未満の人の性的姿態などを撮影する行為
    (および1から4の行為の未遂行為)
  5. 撮影行為により生成された記録を提供する行為
  6. 提供する目的で保管する行為
  7. ライブストリーミングにより配信する行為
  8. 配信された映像を記録する行為

同法の禁止する盗撮行為の典型は、「エスカレーターに乗って下から前にいる女性のスカートの中・下着を撮影する行為ないし撮影しようとした未遂行為」「電車内で前に座っている女性のスカートの中の下着を撮影しようとする行為ないし撮影しようとした未遂行為」「女性用更衣室や女性用トイレにスマートフォンや小型デジカメなどを設置して女性の下着姿を撮影する行為ないし撮影しようとした未遂行為」です。

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これに対して、およそ女性の下着姿以外の女性(正確には男女問いません)を無断で撮影しようとする行為は、各都道府県の迷惑行為防止条例で禁止されています。

 

(2) 禁止されている盗撮行為の罰則

性的姿態撮影等処罰法違反の刑罰の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」となっています。

それに対して各都道府県の迷惑行為防止条例違反の刑罰の法定刑は都道府県によって異なりますが、多くは、常習でない場合は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」、常習の場合は「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」の法定刑となっています。詳しく知りたい方は各都道府県の迷惑行為防止条例でご確認ください。

3.盗撮の厳罰化

2023年7月13日に性的姿態撮影等処罰法が施行される前は、盗撮を処罰する法は各都道府県の迷惑行為防止条例しかありませんでした。
しかし、悪質な盗撮が後を絶たないことから、上記の性的姿態撮影等処罰法を制定・施行して厳罰化されました。

盗撮行為のほとんどは女性の下着を撮影するものですから、性的姿態撮影等処罰法に違反することになり、長期は従来の1年から3年に、罰金も従来の100万円から300万円へと厳罰化されることになりました。

警察、検察の運用についても、2023年7月以前は盗撮で逮捕される事案は、特殊な方法(靴に盗撮用の小型カメラを取り付けるなど)での盗撮や、ストーカー的盗撮などに限られていましたが、性的姿態撮影等処罰法施行以後はかなりの件数が逮捕されるようになりました。

現在の盗撮事件で逮捕される可能性が高くなるのは、明らかな証拠があるのに(スマホなどに盗撮画像が残っているのに)盗撮行為を否認している場合や、同一場所で常習的に盗撮を繰り返しており鉄道警察隊や警察官にマークされていた場合、同一女性に対してストーカー的に盗撮を繰り返している場合、盗撮が判明しないように偽装している場合など、悪質性が高い事件のケースです。
逮捕しなければ犯行を繰り返したり逃亡をしたりする可能性があると判断されれば、逮捕される可能性があります。

逮捕されれば、少なくとも3日間は警察の留置場で身体拘束されるため、無断欠勤として会社を解雇される可能性があります。さらに、勾留されれば通常10日間警察の留置場で身体拘束され、多くは会社に発覚し懲戒解雇、あるいは学校に発覚し退学処分となります。

盗撮は法定刑の厳罰化だけでなく、実際の運用においても事実上の厳罰化(逮捕などの身体拘束)となっています。
性的姿態撮影等処罰法の施行以来、当事務所でも逮捕など身体拘束を受けて、釈放後に相談に来られ弁護を依頼される方が増えております。

特に逮捕された場合には早急な弁護活動が重要となりますので、刑事弁護経験豊富な弁護士ご依頼ください。

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【逮捕と検挙の違い】
「逮捕」は、取り調べや捜査のために被疑者を短期間身柄拘束することです。逮捕までする必要がないと警察に判断されれば、在宅で普段と変わらない日常生活を送りながら、必要な時に出頭して捜査機関の取り調べに応じることになります。
一方の「検挙」は、捜査機関が「被疑者が誰であるか」を特定し、刑事事件の処理をすること全般を指します。逮捕をされても、逮捕されず在宅事件となっても、それは警察に盗撮を「検挙された」ということになります。つまり、逮捕は検挙の後に続く処理の一種と考えることができます。

4.盗撮の刑事弁護

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(1) 逮捕・勾留の回避

刑事犯罪で逮捕されたら、最大2日間警察署に留置された後、検察庁に送検され検察官が被疑者を取り調べます。

検察官は、逮捕から72時間以内に、その後の10日間の勾留請求をするかどうか判断します。
勾留請求を受けた裁判官が「勾留が必要である」と判断すれば、被疑者は逮捕に続き長期間の身体拘束を受け(勾留)、その期間は延長も含めれば最大20日(逮捕からは23日)に及びます。

盗撮の刑事弁護の在り方ですが、盗撮の被疑者が逮捕された場合には、逮捕後の勾留を阻止することが重要になります。

当事務所の弁護士に刑事弁護をご依頼いただいた場合、早急に逮捕された警察署に接見に出向き、被疑者から事情をお聞きします。
また、家族の方に事務所に来所いただき、身元引受書や上申書(警察官に対して意見や報告をする書類)、弁護人意見書を作成します。弁護士が検察官に意見書を提出して勾留請求しないよう折衝し、また、検察官が勾留請求を裁判所にした場合には裁判所向けの意見書を作成して勾留決定しないように折衝する弁護活動を行います。

これらを警察官・検察官に事前に提出することで、釈放を促したり、勾留請求をしないように働きかけたりすることが可能です。

盗撮では、このような刑事弁護活動により多くの場合は勾留請求されず釈放となります。
もっとも、警察や検察が盗撮の犯行態様が悪質と判断した場合には、裁判所に勾留請求することもあります。

もし裁判所が勾留決定をした場合には、裁判所に対して「準抗告」という、勾留決定の取り消し→釈放を求める裁判(不服申立)を提起します。
(※準抗告認容→勾留決定取り消しとなる可能性は一般的には厳しいものと受け止めてください。)

(2) 示談交渉

身元引受書や上申書、弁護人意見書の提出だけでは、必ず起訴を免れるとは言えません。不起訴のためには、弁護士が検察官を通して盗撮被害者の連絡先を聞き、被害者と示談交渉をする必要があります。

勾留を阻止した場合は処分まで時間的余裕ができ、示談交渉への取り組みも多少時間がかかっても支障はありません。しかし、勾留を阻止できなかった場合には、勾留期間中(原則10日間)で示談を成立させなければなりません。

示談できないと、初犯でも罰金刑に処せられることになります。
罰金でも前科ですから、その後の人生に大きな悪影響を及ぼします。仕事で海外に出張しようとする場合に国によってはビザが下りず、そのことで会社に盗撮での罰金前科が知られることがあり、会社から懲戒解雇となる恐れがあります。

示談交渉では、まずは被疑者からのお詫びを弁護士が代わってお伝えし、また、被疑者が書いた謝罪の手紙を渡すことから始まります。
被疑者の反省・謝罪をご理解いただければ、慰謝料と被害弁償の性質を兼ねた示談金額を提示・ご検討していただきます。

最終的に被害者の方が被疑者を許し示談金についてご納得いただければ、示談書の締結と示談金のお支払いとなります。

示談交渉は、被害者の感情をくみ取りながら丁寧に話し合いを進め、かつ事件の様態に合った適正な金額で示談をする必要があります。
よって、盗撮事例について十分経験を積んだ刑事弁護に精通した弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

示談書を検察官に提出すれば、初犯の盗撮であれば通常不起訴になり、前科はつきません。
※しかし、盗撮の検挙が2回目、3回目になると、例え示談が成立していても「反省をしていない」「また繰り返す可能性がある」と思われ、罰金刑になることがありえます。

なお、検察官や警察官が被疑者本人に被害者の連絡先を教えることは絶対にありませんので、被害者との示談交渉は弁護士に依頼をしなければ開始することすら不可能と言えるでしょう。

示談したい

【被害者が未成年の場合の示談交渉】
被害者が未成年の場合には、示談交渉の当事者は代理人であるご両親となるため、被害感情が強く、示談のハードルは高くなります。例えば、ご両親のうち母親からお許しをいただいても、父親からのお許しはいただけないこともあるのです。
当所ではそのような場合でも誠意を尽くして粘り強く交渉することで、多数示談していただいております。

盗撮事件の示談交渉の流れと弁護士に依頼するメリット

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(3) 依存症の治療

示談とともに有力な弁護手段としては、盗撮は性的依存症の一種であることから、心療内科、特に性犯罪を中心とした性的依存症の治療に力を入れているクリニックの治療を受けることです。本人が同種再犯を犯さないようにするためにも、治療は極めて有用です。

弁護士泉義孝が弁護依頼を受けた事案の中には、示談を取り付けられなかったものの盗撮の性的依存症の治療を専門クリニックできちんと受け、また、高額の贖罪寄付を行うなどし、不起訴処分となった事例もあります。

(4) 盗撮で在宅事件になった場合の弁護活動

逮捕されない(検挙されたものの在宅事件になる)場合には、盗撮が発覚して駅員室経由などで警察に連行された後、警察で盗撮を認める上申書を作成すれば釈放(解放)されますので、家族に身元引受人として迎えに来てもらいます。

同居家族がいない場合や家族との連絡が取れない場合には、警察が職場に連絡して上司が身元引受人として警察署に迎えに来るよう要求することが稀にあります。よって、会社に盗撮の事実がバレないようにするには、被疑者の方は「会社には絶対に連絡しないでください」と強く主張してください。

上申書作成後、後日改めて警察から呼び出され「供述調書」という正式書類を作成しますが、これで警察での捜査、取り調べは終了します。
その後、検察庁に書類送検されるでしょう。

このように、在宅でも盗撮の検挙はされていることになりますので、犯した罪を甘く見てはいけません。
例え逮捕されなくても、盗撮で検挙されたら刑事弁護経験が豊富な弁護士に相談をするようにしましょう。

5.悪質な盗撮(常習的盗撮/再犯など)の弁護について

犯行容態が悪質な盗撮である場合は、裁判官に勾留請求をされる可能性や、示談交渉が難航する可能性が高くなります。

当事務所は、これまでの経験から「勾留請求となる可能性がある」と思われる事案では、当初から勾留請求される可能性を念頭に置いて、検察官の勾留請求を審理する裁判官向けの書類を作成しており、迅速に対応する体制をとっております。
裁判官に事前に作成した意見書などを提出して働きかけることで、勾留決定されず釈放となる可能性が高くなるのです。

実際、常習的盗撮で同種の罰金前科があり裁判官の勾留決定も十分予想される中、当所の弁護士は直ちに勾留質問が行われる裁判所に出向きました。
被疑者本人に接見して事実関係を確認し、その後、裁判官との面接を行うとともに意見書・身元引受書を提出することで裁判官の勾留決定を阻止し、その日の午後に無事釈放となったことがあります。
※ただし、否認の場合には裁判官の勾留決定がされる可能性は十分にあります。

仮に勾留決定された場合には、弁護士は勾留決定取消を求めて準抗告をします。

6.終わりに

盗撮事件については、刑事弁護の依頼を受けた弁護士が被害者と示談交渉を行い示談が成立すれば、(初犯であれば)不起訴となるケースがほとんどです。

しかし、性的姿態撮影等処罰法が制定施行され、盗撮が厳罰化されたことから、特に同種の罰金前科が2犯ある場合には示談が成立しても不起訴とならず、罰金刑を免れない可能性があります。
さらに、同種前科が2犯以上あり、示談が成立しない場合には、検察官は起訴・公判請求して正式裁判にかけると思われます。

盗撮で逮捕されたら余罪も発覚する?どこまで捜査されるのか

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実際には犯行態様や前科の有無、示談内容などに左右されてきますので、ご自身で判断をするのは危険です。

万が一魔が差すなどして盗撮を行ってしまった場合には、刑事弁護経験豊富な弁護士・泉義孝にぜひご依頼ください。

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