警察に呼ばれた

警察の捜査は、犯人が証拠隠滅や逃走を行わないよう秘密裏に行われます。
そのため、ある日突然警察から連絡があり、出頭要請、逮捕、家宅捜索をされることがあります。

警察から呼び出しを受けると誰でも不安になるでしょう。

このような場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか？

１．なぜ突然警察に呼び出されるのか

「警察に呼ばれた」とは、警察から任意で同行や出頭を求められている状態を指します。
逮捕される場合は「任意」ではないため、拒否することは許されず、強制的に警察署に連行されます。しかし、その前段階、つまり“容疑がかかっている・事件の参考人として話を聞きたい”といった場合でも、警察から呼ばれることがあります。

警察からの呼び出しは、電話で「何月何日に警察署に来てください」と言われるケースもあれば、ある日突然、複数の警察官が自宅にやってきて任意同行を求められるケースもあります。

警察の捜査は、以下のようにさまざまな“きっかけ”から開始されます。

事件を目撃した者が通報した場合
事件の被疑者が自首してきた場合
挙動不審者が職務質問を受けた場合
被害者から被害届が出された場合
告訴や告発がなされた場合　など

捜査の結果として逮捕の要件が満たされれば、被疑者は逮捕されることになります。
その場合、ある日突然自宅に警察員が数名訪れて逮捕され、また家宅捜索も同時に行われるということもあります。

一方、そこまでする必要性がないと判断された場合や、捜査の結果だけでは逮捕状を請求できる要件を満たしていない場合に、警察から呼び出しを受けるということになります。

２．警察からの呼び出しを拒否したらどうなる？

逮捕状によって強制的に逮捕（身柄拘束）されるのと異なり、任意同行の要請はあくまでも「任意」ですので、拒否することもできます。
しかし、警察からの呼び出しを無視したり、何度も拒否したりしていると、余計に怪しまれるばかりでなく、逃亡の恐れや証拠隠滅のおそれがあるとみなされて、逮捕の要件を満たしたと判断され、逮捕されてしまう危険性が増します。

よって、呼び出しには慎重に対応すべきです。

呼び出しの内容が、「参考人として話を聞きたい」という程度であれば、1～2回の呼び出しで終わります。
しかし、当初は参考人としての呼び出しであっても、段々と嫌疑が強くなり、「重要参考人」ひいては「被疑者」として呼ばれるようになることもありえます。

また、最初から「被疑者」として警察に呼ばれた場合、すでに逮捕状を請求されている可能性もあります。
その場合、任意出頭を拒否すると、逮捕するために警察が自宅や職場にやって来るリスクがあります。

３．警察から呼び出されたらするべきこと

以上より、警察からの呼び出しがあれば応じざるを得ないでしょう。「どうせ任意同行だから無視しよう」という対応はお勧めできません。
一方で、その後に想定できる事態と対処法を考えておく必要があります。

そこで、警察から連絡があった段階で、身に覚えがなくともまずは刑事弁護経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

出頭要請を受けた場合、自宅に帰してもらえれば弁護士に相談する時間的猶予もありますが、そのまま逮捕されてしまうケースも少なくありません。逮捕されてしまった後では、どの弁護士に依頼しようかとじっくり選んでいる時間的余裕はありません。

警察から呼び出しがあった段階で、任意出頭後に「万が一逮捕されたら」という最悪のケースに備えて、事前に刑事弁護経験豊富な弁護士へ相談・依頼しておいた方がよいのです。
このように万全を期しておけば、突然の逮捕という不測の事態にも十分対応することができ、気持ちのゆとりもでてきます。

経験豊富な弁護士であれば、相談者のおかれている状況をヒアリングするだけで、「参考人」としてなのか、あるいは「重要参考人」「被疑者」として呼ばれているのかを判断できるため、それぞれの状況に合わせた的確なアドバイスを行うことができます。

なお、呼び出しに応じてそのまま逮捕されてしまった場合でも、すぐに弁護士を呼んでもらいましょう。

逮捕されると、弁解録取と言って、逮捕容疑についての言い分を聞かれます。弁解録取手続きでは、警察官から弁護士に依頼する権利があることが告げられますので、この時点で「では、弁護士を呼んでください」と頼むべきです。

※すでに弁護士に相談していた場合には、その弁護士との面会を希望する旨を警察に伝えれば、警察が弁護士に連絡をしてくれます。特定の弁護士に刑事弁護を事前に相談・依頼していなかった場合には、当番弁護士を呼ぶか、家族に弁護士を選んでもらうことになります。

４．弁護士ができること

(1) 今後の流れを説明してくれる

警察からの呼び出しがあると、逮捕されてしまうのか、警察に何を聞かれるのか、さまざま不安や疑問を感じるかと思います。

そんな相談者に対して、今後予想される手続の流れ、捜査への対応方法、取調室での答え方、供述調書への署名の判断の仕方などについて、弁護士が具体的にご説明します。

まずはご自身が置かれている状況、それと今後の対応についてご理解いただくことが、よりよい結果への一歩となります。

(2) 逮捕されないための弁護活動を行ってくれる

警察に逮捕される前から弁護士が弁護活動を開始することで、逮捕を回避できる可能性が高まります。

身に覚えがないことで容疑をかけられている場合には、冤罪であることを捜査機関に強く主張します。一方、本当に罪を犯している場合であれば、相談者に代わって弁護士が被害者と示談活動して、示談を成立させることで被害届や告訴を取り消してもらいます。

被害届や告訴の効力がなくなれば、そもそも事件性がなくなるため、警察が本格的に介入してくる前に事件を解決させることができます。

→ご相談内容「前科をつけたくない」

(3) 逮捕された場合でもすぐに弁護活動を開始できる

警察が自宅に訪問するなどして逮捕・勾留されてしまった場合、通常であれば警察から家族に連絡があり、家族からの依頼後に弁護士が動き出すことになります。
しかし、警察から家族に連絡がいくまでに時間を要してしまい、その間にも事態が深刻化してしまうケースがあります。

逮捕される前から弁護士に依頼すれば、依頼者が逮捕されたと分かり次第、すぐに弁護士が動くことができるため、万全の状態で弁護活動を進めていくことができます。

５．まとめ

当事務所には、「警察に呼ばれている」「○月○日に警察へ任意出頭することになっているが、その前に相談しておきたい」という相談が数多く寄せられます。
「警察に呼ばれているけれども、今後どうなるのか不安で仕方がない」という方は、警察に行く前に弁護士にご相談ください。

刑事弁護経験豊富な弁護士が、今後の流れ、注意すべきポイント、逮捕された場合の対応などについて細かく丁寧にご説明いたします。突然逮捕されてしまったという不測の事態が起きても安心でしょう。

弁護士からのアドバイスにより、安心して任意出頭・同行にのぞめます。