住居侵入
住居侵入罪・建造物侵入罪とは?
住居・建造物侵入罪とは、正当な理由なく、無断で他人の住居や人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入した場合に成立する犯罪です(刑法130条)。いわゆる、「不法侵入」と言われる行為のことです。
ちなみに、「住居侵入罪」は人が寝泊まりする建物に不法侵入した場合に成立するもので、 「建造物侵入罪」はそれ以外の看守者がいる建物に不法侵入した場合に成立するものです。
住居侵入罪と聞くと軽微な犯罪のように受け取られるかもしれませんが、住居侵入はそれ自体が目的ではなく窃盗や強盗などの不法な目的で行われることが多いです。
そのため、窃盗や強盗に着手することなく、単に住居に侵入しただけという結果に終わったとしても、被害感情はとても強いものがあります。被害者に及ぼす心理的影響が大きいため、時としてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまうケースもあるくらいです。
また、賃貸住宅に住んでいた被害者の多くは、被害を受けた後は転居する傾向があります。他人が自宅に押し入ることの怖さは被害者でなければわからないものと言えるでしょう。
以下の行為は「住居侵入罪・建造物侵入罪」にあたります
- 深夜、無断で学校へ忍び込んだ
- 盗撮目的で女子更衣室に忍び込んだ
- 金品を盗る目的で一軒家に忍び込んだ
- 下着を取る目的で住宅の敷地内に侵入した
- 風呂に入浴中の女性をのぞきみるつもりで庭に忍び込んだ
住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰
住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金(刑法261条)です。
一般的に、住居侵入罪・建造物侵入罪の量刑を行う場合、次の項目を基準として総合的に判断します。
- 示談の有無、示談金額
- 侵入行為の態様(悪質性、計画性など)
- 侵入行為の動機
- 前科、前歴など
弁護士に依頼しなかった場合でも、被害の程度が軽ければ微罪処分(警察による厳重注意を受けるだけで終わり、検察庁に送致されない処分)で済む可能性があります。
微罪処分で済まなかったとしても、初犯であれば、公判請求(刑事裁判)になることなく、略式手続での罰金になるケースが多いです。
同種の前科が多数あるような場合には、公判請求されて検察官から懲役を求刑されることがあります。その場合であっても、よほど行為内容が悪質でなければ執行猶予とされるケースが多いです。
弁護士に刑事弁護を依頼した場合、住居侵入だけであれば、示談が成立すればほとんどは不起訴となるでしょう。
なお、住居侵入は不同意性交等罪や強盗・窃盗の手段となり、これらは未遂でも処罰対象となることがあります。そのような場合には、住居侵入だけでなく不同意性交等罪や強盗・窃盗事件についても示談が成立しないかぎり、実刑判決の可能性があるといえます。
住居侵入罪・建造物侵入罪の弁護方針
被害者との示談成立を目指す
住居侵入罪・建造物侵入罪では、示談成立となれば検察官や裁判官への心証が良くなり、不起訴処分や執行猶予付き判決を下してもらえる可能性が高まります。
そのため、まずは刑事弁護の依頼を受けた弁護士が被害者との示談交渉を行い、告訴を取り消してもらえるよう粘り強く説得します。
その結果、告訴を取り消してもらうことができれば、初犯であれば不起訴の可能性が高いといえます。
ただ、住居侵入罪・建造物侵入罪は法定刑が3年以下と軽い割に、先述の通り被害者の処罰感情や恐怖心が非常に大きくなる犯罪行為です。
ただし、加害者が侵入した目的によっては、被害者は相当に加害者を恐れています。示談に応じていただけないことも相当数あり、仮に応じてもらえる場合でも、引っ越しの資金等を請求されることも多いため示談金がかなりの多額になる可能性があります。
示談交渉は高度な交渉ごととなるため、刑事弁護経験豊富な弁護士に任せることをお勧めします。
また、被疑者の方に謝罪文や反省文を作成してもらい、被害者、そして検察官や裁判官にその書面を提出して、反省している姿勢をアピールしていきます。
場合によっては、被害者の心情・立場を踏まえて、たとえば「侵入した場所の近隣には立ち寄らない」などの誓約事項を謝罪文、反省文に織り込むことも必要でしょう。
ご相談内容「示談したい」
早期釈放を目指す
住居侵入罪・建造物侵入罪の場合、逮捕等の身体拘束の可能性は高くはありません。しかし、仮に在宅事件ではなく被疑者が身柄を拘束された場合には、早期の身柄解放を目指し以下の弁護活動を行います。
裁判官に対して勾留請求しないよう、家族の身元引受書、上申書、弁護士意見書など、勾留の必要性がないことを主張する書類を検察官に提出して交渉します。
その結果、検察官が裁判官に勾留請求しないことも多数あります。
それでも検察官が裁判官に勾留請求してしまった場合には、裁判官が勾留決定しないよう、家族の身元引受書や上申書、弁護士意見書などを裁判官に提出して勾留決定しないように働きかけます。
裁判官は、検察官の場合よりも勾留決定をせず釈放することが多いようです。
それでも勾留決定が下されてしまった場合には、勾留決定を取り消してもらうよう裁判官に対して要求する、いわゆる「準抗告」を行います。準抗告とは、3名の裁判官からなる裁判所に、別の裁判官がすでに下した勾留決定を取消してもらう裁判をいいます。
ご相談内容「釈放・保釈してほしい」