暴行

暴行とは?

暴行罪における「暴行」とは、「人の身体に対する不法な有形力(暴力)の行使」であると定義づけられています。
典型的な例として、殴る、蹴るなどの行為がそれに該当します。

しかし、人の身体に直接触れていなくても、人の身体に向けられていれば、暴行に該当する可能性があります。たとえば、数歩手前を狙って石を投げつける行為などがそれに該当します。

暴行を加えた結果、傷害結果が発生すればより重い傷害罪となります。

以下の行為が「暴行」にあたります。

  • 相手を殴った、蹴り飛ばした
  • 相手に水をかけた、石を投げた
  • 相手に唾をかけた
  • 相手の衣服をつかみ、引っ張った
  • 拡声器を用いて耳元で大声を発した
  • 電車内で前に立っている女性の髪を切った など

暴行罪と傷害罪の違い

暴行罪と傷害罪の2つの違いは、暴行した相手の「怪我の有無」です。

暴行罪とは、暴行したものの、相手を怪我させるに至らなかった場合に成立します。
一方、傷害罪とは、暴行したかどうかは問わず、とにかく相手に怪我を負わせた場合に成立します。

したがって、暴行を加えた結果相手が怪我を負わなかった場合には暴行罪にとどまり、怪我を負ってしまった場合には暴行罪に止まらず傷害罪になる、とご理解いただくと良いでしょう。

暴行罪の刑罰

暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料(刑法208条)です。

検察官(最終的には裁判所)が暴行罪の量刑を決める場合、次の項目を基準として総合的に判断します。

  • 示談の有無・示談金額
  • 暴行行為の態様(悪質性、計画性、凶器使用の有無など)
  • 暴行行為の動機
  • 被害者側の事情(事件に至る経緯に被害者にも責任があるか)

上記の事情を考慮し軽微な事件と判断されたものについては、初犯であれば検察官は不起訴処分とすることが多いでしょう。しかし、あくまでその可能性が高いというだけですので、確実に不起訴処分を得たい場合には刑事弁護経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士は被害者と示談交渉し、示談が成立すればほとんどのケースで不起訴処分になります。仮に示談が成立しなかった場合でも、被害弁償を行うことで不起訴処分になる可能性が高まります。

また、示談が成立していれば、検察官に起訴されたとしても略式手続による罰金で済むことがほとんどです。
とはいえ、罰金刑も前科であるため、あまく見ないことをお勧めします。

暴行や傷害など同種の前科がある場合には、検察官は公判請求して刑事裁判になることもあります。公判請求されるのが初めてであれば執行猶予付き判決が下される可能性が高いといえますが、あくまで可能性であって実刑判決がないとは言えませんので、この場合も刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

なお、たとえば「暴行事件当時に前科の懲役刑の執行猶予中だった」というような場合には、起訴されれば実刑判決となり、前刑の執行猶予は取り消されて服役することになります。
(起訴前に示談が成立できれば不起訴となる可能性も0ではありません。)

このように、暴行事件では前科や暴行に及んだ経緯(けんか・飲酒など)、凶器を使ったかどうかなど、検察官は様々な点を考慮して処分を決めますので、怪我をしていないから不起訴になるだろう、とご自身で安易に判断するのは危険です。

ちなみに、暴行罪は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められているのに対し、傷害罪は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と暴行罪よりも重く定められているため、どちらの罪で処罰されるかはとても大きな意味を持ちます。

執行猶予は懲役3年以下の場合につきますが、暴行罪は最長でも懲役2年ですので執行猶予がつくケースが多いです。しかし、傷害は15年以下の懲役ですので、執行猶予がつくとは限りません。

暴行罪の弁護方針

示談成立を目指す

暴行罪は、前科が複数あったり、犯行態様が悪質であったりすれば、罰金刑や正式起訴もあり得ます。

しかし、被害者との示談成立となれば、検察官や裁判官への心証が良くなり、不起訴処分あるいは執行猶予付き判決を下してもらえる可能性が高まります。
初犯であれば、示談が成立していれば通常不起訴となるでしょう。

したがって、当事務所の弁護活動では、まずは弁護士が被害者と示談交渉を行い、とにかく早期の示談成立を目指して全力を注ぎます。

ただ、被害者は被疑者(加害者)に対して警戒心や憎悪感を抱いていることが多く、原則として警察や検察も被害者の連絡先を教えてくれません。そこで、通常は弁護士から担当検察官に被害者の連絡先を教えてもらうようお願いし、検察官が被害者に弁護士限りで連絡先を教えていいかどうか打診した上で、被害者の連絡先を検察官経由で教えてくれるのが通常です。

稀に、被疑者自身が被害者に会って謝罪と被害弁償をしたいとお考えの方がおりますが、ほとんど被害者は加害者に会うことを拒否しますので、あくまで弁護士を通して示談を行う必要があります。
弁護士が弁護人となって示談交渉するのであれば、「直接加害者と会わないで済むし、応じても良い」といった具合に、被害者が示談交渉に応じてくれるのが通常なのです。

また、もし被害者が会ってくれるとしても、当事者同士ではお互いに冷静な話し合いが行えず、さらなるトラブルが起きてしまう可能性が高いとお考えください。

ご相談内容「示談したい

反省文・謝罪文を書く

暴行に及んでしまったという事の重大さを被疑者の方に理解してもらい、深く反省してもらいます。「被害者が謝罪を受け入れてくれたかどうか」という点はとても重要ですので、被害者に対して弁護士経由で十分に謝罪します。
また、謝罪と合わせて治療費や慰謝料など、十分な被害弁償も行います。

さらに、被疑者の方には謝罪文や反省文を作成してもらい、被害者、そして検察官や裁判官にその書面を提出することで、猛省している姿勢を理解していただきます。

早期釈放を目指す

逮捕されない在宅事件ではなく、被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を行います。

裁判官に対して勾留請求しないよう、家族の身元引受書、上申書、弁護士意見書など、勾留の必要性がないことを主張する書類を検察官に提出して交渉します。
その結果、検察官が裁判官に勾留請求しないことも多数あります。

それでも検察官が裁判官に勾留請求してしまった場合には、裁判官が勾留決定しないよう、家族の身元引受書や上申書、弁護士意見書などを裁判官に提出して勾留決定しないように働きかけます。
裁判官は、検察官の場合よりも勾留決定をせず釈放することが多いようです。

それでも勾留決定が下されてしまった場合には、勾留決定を取り消してもらうよう裁判官に対して要求する、いわゆる「準抗告」を行います。準抗告とは、3名の裁判官からなる裁判所に、別の裁判官がすでに下した勾留決定を取消してもらう裁判をいいます。

当事務所は、これまでに暴行事件において多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、どうぞご安心ください。

ご相談内容「釈放・保釈してほしい

「正当防衛だった」と主張したい場合

正当防衛とは、「相手からの急迫不正の侵害に対して、自分または他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為であれば、罰しない」とするものです。
したがって、「相手の方が先に殴りかかってきたので、自分を守るために行った」という暴行事件ならば、不起訴や無罪になる可能性があります。

正当防衛が成立するかどうかは、次の点がポイントになります。

  • 侵害を予期していたか
  • 積極的な加害意思があったか

したがって、“相手からの侵害を予期しておらず、相手の暴行に対して応戦するにしても積極的な加害意思を持たなかった“という場合に、正当防衛が成立すると言えます。

当事務所の弁護活動としては、被疑者の方から事情を細かく聴取して、正当防衛を裏付ける事情があれば捜査機関や裁判官に対して粘り強く主張していくことで正当防衛を認めてもらい、不起訴処分や無罪を目指していきます。

もっとも、正当防衛が問題となるケースはあまりないと言っていいかと思います。「相手が殴ってきたので殴り返した」というような場合には、多くは正当防衛ではなく双方暴行(傷害)として取り扱われるでしょう。

双方暴行(傷害)で相手方が被害届を警察に提出して暴行の被疑者となった、というような場合には、相手方に対して被害届を出して対抗することも考えの一つです。
詳しくは、刑事弁護経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします