不同意性交等罪
不同意性交等とは?
不同意性交等罪は、その名の通り相手の同意なく性交等(肛門性交又は口腔性交を含む)をすることです。
かつての強制性交等罪と準強制性交等罪を一本化したものであり、被害者の性別は問いません。
なお、16歳未満の者に対しては、たとえ相手の同意があった場合にでも不同意性交等罪が成立します(対象者との年齢差が五歳以内であれば対象になりません)。
また、不同意性交等罪に当たる行為によって相手に怪我を負わせたり死亡させたりした場合は、不同意性交等致死傷罪が成立します。
「不同意」であるとは、「次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じ」ることとされています。
- 暴行もしくは脅迫を用いること又はそれらを受けた
- 心身や身体の障害を生じさせること又はそれがある
- アルコールもしくは薬物を摂取させること又はそれらの影響がある
- 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にある
- 不意打ちなど、同意しない意思を形成、表明、全うするいとまがない
- 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、もしくは驚愕させること、又はその事態に直面して恐怖し、もしくは驚愕していること
- 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがある
- 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮している
また、相手に「これはわいせつな行為でない」と誤信をさせたり、人違いをさせたりすることも不同意と同様とされています。
具体的に、以下のような行為が不同意性交等罪にあたります。
- 女子を羽交い絞めにして、抵抗できない状態にしてから性交に及んだ
- 男子にナイフを突きつけて「騒ぐと殺すぞ」と脅して肛門性交に及んだ
- 何度も相手を殴打して、抵抗する気力を失わせてから性交に及んだ
- 会社の上司に当たる者がその地位を利用して嫌がる部下と性交に及んだ
不同意性交等罪の刑罰と量刑
不同意性交等罪の刑罰は、五年以上の有期拘禁刑です。罰金刑はありません。
また、不同意性交等罪は非親告罪であるため、起訴前に示談が成立すれば必ず不起訴になるとは言えません。
一般的に、不同意性交等罪の量刑を行う場合、次の項目を基準として総合的に判断します。
- 性交等の程度
- 性交等の態様(悪質性、計画性など)
- 性交等の動機
- 被害者の処罰感情
- 示談の有無・示談金額
- 前科や前歴の有無
詳しくは後述しますが、仮に不同意性交等罪で公判請求された場合、示談が成立しているかどうかは刑の重さを決める上で最も重視される要素です。
そのため、なるべく早く、できれば逮捕直後・起訴前から示談交渉を行うべきでしょう。
示談が成立しなかった場合には、ほぼ間違いなく公判請求され、裁判となると考えるべきです。裁判になった後は犯行態様の悪質さなどが量刑において問題となりますが、不同意性交等罪の場合には初犯であっても実刑となってしまう可能性もあります。もし、同種の前科などがあれば、その可能性は高まるといえます。
なお、不同意性交等罪は酌量減軽(刑法66条)がなされない限り執行猶予が付きません。
不同意性交等罪の弁護方針
被害者との示談成立を目指す
不同意性交等罪は非親告罪であるため、「示談により告訴を取り消してもらえれば、確実に不起訴になる」とは言えません。
しかし、裁判になり刑の重さを決める際に最も重視されるのが示談の有無であることは間違いありません。よって、まずは被害者との示談成立を目指すべきです。
しかし、不同意性交等罪の被害者は、被疑者(加害者)に対する憎悪感、恐怖心がとても強いです。
そして、性犯罪事件の場合、警察などの捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えてくれることは絶対にありません。弁護士にのみ被害者の了解を得て教える仕組みとなっています。
そのため、弁護士を頼まずに示談交渉することは現実的に不可能です。
被害者の心情に配慮した慎重な対応も必要とされるため、示談交渉の経験豊富な弁護士に任せることを強くおすすめします。
なお、起訴されてしまった後でも、やはり示談成立の可否は重要です。
示談が成立したことをアピールして裁判所の心証を良くすることで、刑期について良い情状となる可能性があるためです。
ご相談内容「示談したい」
反省文、謝罪文を提出する
被疑者の方には、不同意性交等罪を犯してしまったという事の重大さを理解してもらい、深く反省してもらう必要があります。
そして、「十分反省しています」という姿勢を強くアピールするためにも、被疑者の方に反省文を作成してもらい、検察官や裁判官にその書面を提出します。
被害者に対する謝罪文も被疑者の方に作成してもらい、猛省している姿勢を理解していただき、示談交渉を受け入れてもらえるように尽力します。
また、「今後、二度と同様の行為を起こさないよう、被疑者をきちんと監督していきます」といった誓約書を被疑者の家族に作成してもらい、検察官や裁判官に提出することも有効です。
性依存症専門医の診断を受ける
過剰な性欲をコントロールできず不同意性交等の行為を繰り返してきた被疑者の方は、性嗜好障害(性依存症)という病気の可能性がありますので、性障害専門医の治療を受けることも重要です。
性犯罪再犯防止のクリニックに通院して、再犯防止の努力をしていることを検察官や裁判官に理解してもらうことも重要な弁護活動になってきます。
治療の証拠となる診断書やカルテを検察官や裁判官に提出することで、不起訴処分や減刑を目指します。
このような治療は、ご自身の今後の更生のためにも必要な処置であると考えられます。
早期釈放を目指す
不同意性交等罪の場合、ほとんどのケースでは逮捕されてしまいます。
被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して以下のような弁護活動を全力で行います。
まず、勾留請求をしないで釈放してもらえるよう、家族の身元引受書や意見書を提出して検察官に働きかけます。
それでも勾留請求されてしまった場合には、勾留決定をしないよう(釈放してもらうよう)意見書などを提出して勾留請求を受けた裁判官に働きかけます。
それでも勾留決定が下されてしまった場合には、勾留決定を取り消してもらう手続である準抗告を申し立てます。
(準抗告審は、3名の裁判官で構成され、別の裁判官が下した勾留決定について勾留の要件があるかどうかを審査します。要件がないと判断されれば、勾留決定が取り消され、被疑者は釈放されます。)
当事務所では、これまでに性犯罪事件における多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、安心してご依頼ください。
ご相談内容「釈放・保釈してほしい」
“相手の同意があった”と主張したい場合
「相手も同意の上だった」と主張したい場合もあるかと思います。合意のもとで性交が行われたことが事実であれば、16歳以上の者に対しては不同意性交等が成立しません。
また、仮に被害者は合意をしたつもりなく加害者が合意していると思っていた場合、そしてそう思うことに合理的な理由があると認められる場合にも、不同意性交等罪は成立しません。
しかし、一般的に捜査機関は、被疑者(加害者)よりも被害者側の「同意はなかった」という主張を重くみて、その主張に沿った捜査を進めていきます。
被疑者が「同意の上だった」と強く主張して容疑を否認し続けたことで捜査機関の心証を悪くする可能性もあるため、慎重な対応が必要とされます。
当事務所の弁護活動としては、“両者合意のもとで行われた”という点を、検察官や裁判官に粘り強く説得力ある形で裏付けを収集して主張していくことで、不起訴処分や無罪を目指していきます。