不同意性交等 [更新日]2026年3月30日

不同意性交等の刑事弁護全般

不同意性交等の刑事弁護全般
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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1.不同意性交等とは?

不同意性交等とは、被害者の同意を得ずに(あるいは同意ができる状態でないのに)加害者側が性交等に及んだ場合を指します。
刑法は177条にて下記のように規定しています。

第177条 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

具体的な事案としては、「ホテルなど密室内で被害者側の同意を得ずに強引に性交等などに及んだ」「被害者側が泥酔状態か、酔っていて冷静な判断ができない状態にあるため拒否・抵抗できずに、加害者側が性交等に及んだ」「被害者側が16歳未満と知ってホテルなどで性交等に及んだ」場合などが該当します。

2.不同意性交等の発覚

(1) 被害者からの被害届

不同意性交等が発覚するのは、よくあるケースだと、ホテルなどの密室で性交等をした後で相手方女性が「同意がなかったのに(あるいは同意ができるような状態ではなかったのに)性交等をされた」として警察に被害届を出す場合です(※実際には、相手方としては女性でなく男性も対象となりますし、同性でも対象になります)。

しかし、ホテルでの事案ですと、(特にいわゆるラブホテルの場合には)性交等に予め同意してホテルに出向いたのが通常と警察は受け止め、すぐには被害届を受理しません。

性交等の事件はホテルや自宅などの密室で行われるため、被害者の供述しか証拠がない場合が通常です。

もっとも、性交等の行為後に被害者と加害者とでメールなどのやり取りがあり、そこに性交等に関連する記載があれば、(その内容によるものの)同意の有無に関しての重要な証拠になりえます。
加えて警察は、ホテルでの事案では、ホテルフロントからエレベーターに向かう防犯カメラ映像や、エレベーター内の防犯カメラ映像などから、酔っているか、酔っていたら泥酔状態かどうか、その程度を取り調べ、被害者の供述と合わせて性交等の行為について捜査し立件するかどうかを検討します。

被害者の供述だけでは証拠として弱いとの見方もありますが、最高裁の判決には「被害者の供述が具体的で迫真性(真実性)に富んでいる場合には証拠となる」との趣旨の補足意見があります。ですから、被害者側の供述だけでその他の証拠はない、と安心はできません。

警察は、被害届を出した被害申告者から当時の状況を詳細に聞き取り、あるいは行為後のメールなどがあればそのやり取りを見て、立件できるだけの証拠があると判断すれば被害届を受理して捜査に当たります。

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(2) 被害者が16歳未満の場合の発覚

16歳未満の女性・男性との性交等については、ラブホテル街を巡回している警察官が検挙するケースが多いです。ホテルから出てきた男女のどちらかが18歳以下と思われる場合、警察官が職務質問して、片方が18歳未満であることを確認すれば捜査に当たります。
※18歳以下でも捜査対象となるのは、不同意性交等は16歳未満が対象ですが、淫行や児童買春は18歳未満が対象となるからです。

あるいは、18未満の少年(主に女性)が素行不良などで警察に補導されて、事情聴取で5歳以上年上の加害者と性交等をしていることを警察が知るに至った場合には、不同意性交等の疑いがあるとして捜査に着手します。

また、警察のサイバー捜査部門が、出会い系サイトなどで18歳未満と思われる少年(主に女性)が性交等に関してやり取りをしていることを把握して捜査に着手し、事件が発覚することもあります。

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淫行の場合

先述の通り、16歳以上でも18歳未満の少年が性交等の関係を持てば、金銭授受がない場合には「淫行」として各都道府県の条例で処罰の対象となります。
例えば、東京都の青少年健全育成条例では、第18条の6に「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為(口淫、肛門性交を指します)を行つてはならない。」と定められ、これに違反すると、「2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」に処せられます(第24条の3)。

警視庁のホームページからの引用によれば

「東京都の場合には、青少年(18歳未満の者をいう)に対する反倫理的な性交等から青少年を保護するため、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が平成17年6月1日から施行されました。
何人も青少年とみだらな性交又は性交類似行為をしてはなりません。違反した場合は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります。

みだらな性交又は性交類似行為とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。

なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は除かれます。」

と記載されています。

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児童買春の場合

16歳以上でも、18歳未満の少年が性交等の関係を持ち、金銭授受など対償の供与や約束がある場合には、下記の法律に違反して児童買春として5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処せられます。

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

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3.不同意性交等の刑事弁護

不同意性交等の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑と重い犯罪ですので、逮捕・勾留の可能性が高い犯罪類型と言えます。
もっとも、ラブホテルなどでの犯行は被害者が同意していた可能性が高いことや、証拠が十分でないケースが多いことから、いきなり逮捕とはならず、在宅で事情を聴取することが通常だと当職は受け止めております。

しかし、在宅事件でも、証拠があるにも関わらず「性交等はしていない」「18歳未満だと知らなかった」などと否認すれば、逮捕とそれに続く勾留となることが多いと言えます。
逮捕勾留されれば、最長合計23日間の捜査結果をもとに検察官が起訴か不起訴かを判断します。

逮捕・勾留や起訴を避けるため、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

(1) 自白事件の場合

被疑者が自白して反省をしていれば、弁護士が被害者と示談交渉して示談を取り付けることにより、通常は不起訴処分となります。
もっとも、逮捕・勾留された場合には、身柄拘束期間である最長23日間以内に示談を成立させる必要があります。

不同意性交等罪をはじめとする刑事事件では、トラブル防止の観点から、代理人弁護士が被害者側と示談交渉を行います。

まず、被害者への連絡先の開示を警察官や検察官に求めます。警察官・検察官は、被害者に弁護士に対して連絡先の開示することの了解を得てから、弁護士に連絡先を開示することになります。
したがって、検察官がすぐに連絡先を弁護士に開示してくれるわけではありません。検察官がなかなか被害者側との連絡が取れず開示が遅れることもありますし、不同意性交等の場合は被害者が「弁護士にも会いたくない」として連絡先の開示に同意してくれないこともあります。その意味では、示談交渉がいつもスムーズにいくわけではありません。

また、示談交渉しても被害者の被害感情が強く示談に応じてくれないこともあります。

特に被害者が未成年(18歳未満)の場合には、示談交渉の相手方は被害者の保護者(親御さん)となり、その被害感情は極めて強いのが通常であり、示談獲得は困難な場合が多いと言えます。

そのような示談交渉の現実から、不同意性交等罪の弁護士については刑事弁護経験豊富な弁護士に依頼すべきです。

(2) 否認の場合

被疑者が被疑事実を否認している場合、弁護士は被疑者から捜査官(警察官や検察官)の取り調べ内容を詳細にヒアリングします。経験豊富な弁護士ならば、それだけで検察官が起訴できるだけの証拠を掴んでいるかどうかを把握することができます。
その上で「否認を続けて嫌疑不十分での不起訴を目指すか」あるいは「自白して示談獲得での起訴猶予処分を目指すか」、慎重に弁護方針を固めていきます。

この判断は、刑事弁護経験豊富な弁護士でないと的確にはできないものです。

4.弁護士泉義孝の弁護実績(解決事例)

(1) 自白の場合

泥酔して意識もうろうになって、同じく泥酔して道端にいた女性と飲食店の個室に入り不同意性交に及び示談にて不起訴となった事件を、弁護士泉義孝が弁護したことがあります。

多量のアルコールを飲んで意識もうろうとなり、道端で酔って座っていた同じく泥酔状態の女性を誘って遊興施設の個室に入り、性交をしてしまった不同意性交等の事案で、弁護士泉が刑事弁護の依頼を受けました。

被疑者本人は泥酔状態で、女性を遊興施設に誘ったことは何となく記憶にありましたが、それ以外は記憶にない状況でした。しかし、被害者が被害届を提出し、警察からの呼び出し電話で被疑者は被疑事実概要を知りました。警察からの電話後に弁護士泉に依頼がありました。
本人からの話では、不同意性交等に及んだ可能性はあるとのことでした。

そこで、警察に対して被疑者本人が被疑事実を認める意向であることから、逮捕などの身体拘束をしないよう、また、警察がマスコミに報道発表しないよう申し入れしました。警察は申入れを踏まえて逮捕せずに在宅捜査をし、報道発表もしませんでした。

同時に、示談のため、被害者の連絡先を警察に開示するよう求めましたが、警察が直ちに対応しなかったことから、連絡先不開示は憲法上の弁護権を侵害するものとして書面で強く申し入れしました。その結果、警察から連絡先が開示されて、被害者と示談交渉を開始しました。

事案の性質上、被害者側との示談交渉は難航しましたが、最終的に示談が成立し不起訴処分となりました。

(2) 否認の場合

合コンで知り合った女性と意気投合してそのままホテルに行って性交をした事案で、女性から警察署に被害届が出された事案で、警察から呼び出しを受けて弁護士泉義孝に弁護依頼がありました。
現場がラブホテルということから、警察は慎重に捜査して逮捕など身柄拘束はしないで在宅事件として捜査をしました。

弁護士泉義孝は被疑者本人から詳細に事実関係を聞き取り、その上で警察での取り調べ前に打ち合わせをするとともに、警察での取り調べ後に本人から取り調べ内容を詳しく聞いて具体的な弁護方針を組み立てていきました。

警察での取り調べ内容から、立件するだけの証拠はないと判断して、徹底的に戦うことにしました。
その結果、検察官は嫌疑不十分として不起訴処分となり無事刑事弁護は終了しました。

なお、同種事案で、証拠関係から起訴の可能性は否定できないと判断して、「徹底的に戦い嫌疑不十分での不起訴処分を目指すか」「示談獲得して起訴猶予での不起訴処分を目指すか」詳しく具体的にそれぞれの可能性を説明して、被疑者本人の判断で示談を獲得して起訴猶予(不起訴)を勝ち取ったケースもあります。

この件は在宅事件で捜査が開始され、その後逮捕・勾留された事案ですが、弁護士泉義孝は「安全運転」の見地から、上記のように否認して不起訴を勝ち取るか、自白して示談獲得して起訴猶予を勝ち取るか、具体的に詳しい説明をしました。
被疑者本人は家族の意向を踏まえて示談での起訴猶予を選択しました。

弁護士によって弁護方針は異なると思いますが、私、弁護士泉義孝は「安全運転」の見地から具体的な弁護方針を組み立てて、当然のことながら本人の意向に従って弁護することにしています。

5.終わりに

不同意性交等で不起訴を勝ち取るには、被害者との示談成立が必要不可欠です。しかし、性犯罪で被害者と被疑者が直接交渉し示談をするのは、大きなリスクが伴います。
不同意性交等で警察から呼び出しを受けた方や逮捕された方は、是非とも不同意性交等の弁護経験豊富な弁護士泉義孝にご相談ください。

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