万引きで被害届を取り下げてもらうには|店との示談交渉の進め方
万引きが発覚し、その場で謝ったが許してもらえず、警察に被害届を提出されてしまった。
よくあるケースですが、被疑者(加害者)には、様々な疑問がわくでしょう。
- 今からでも、被害届を取り下げてもらえるのだろうか?
- 代金を弁償すれば済むのだろうか?
- 逮捕を避けるには、どうすればよいだろうか?
- いったん逮捕されてしまえば、もう被害届の取り下げはできないのだろうか?
代金を弁償しただけで済む訳ではありませんが、逮捕の前後にかかわらず、被害者と示談交渉を行い、示談を成立させ、被害届を取り下げてもらうことは可能ですし、刑事裁判にかけられて有罪となることを避けることも可能です。
そのためには弁護士を選任することが重要です。
1.万引きで被害届の取り下げは可能?店との示談交渉の基本
(1) 窃盗事件における示談交渉・被害届取り下げのメリット
窃盗事件で、被害店舗と示談交渉を行い、被害届を取り下げてもらうことには、以下のようなメリットがあります。
微罪処分・不起訴処分で前科を防止できる
たとえ少額の万引きでも、起訴されて有罪判決が確定してしまえば前科となってしまいます。
店舗との示談が成立し、被害届を取り下げてもらえれば、検察官送致を免れる微罪処分で終わるか、送致されたとしても、検察官による不起訴処分(起訴猶予)となる可能性が非常に高くなります。

[参考記事]
微罪処分になる要件|前科・前歴はつくのか?
逮捕・勾留からの早期釈放につながる
示談成立・被害届取り下げは、検察官・裁判官による勾留・勾留延長を阻止できる可能性を高め、早期の身柄解放にも役立ちます。
(2) 万引きにおける店舗との示談交渉の基本
店舗が大企業やチェーン店の場合、示談・被害届の取り下げには一切応じない統一方針を採用している場合も少なくありません。
逆に、小規模・個人営業の店舗だからと言って、必ずしも示談・被害届けの取り下げに応じてくれるとは限りません。経営規模の小さな店舗ほど、万引きによる経営上の打撃は深刻だからです。
逮捕された場合、検察官が起訴・不起訴を決めるまで、23日間しかないことが通常なので、刑事事件の弁護は時間との勝負です。被害者が一切示談・被害届け取り下げに応じない場合は、早期にその態度・方針を見極め、示談金の供託・贖罪寄付など、別の手段で被疑者に有利な事情を積み上げる必要があります。
他方、少しでも示談・被害届け取り下げに応じる可能性がありそうなら、どのような条件であれば態度を軟化してくれるのかを短時間で探り、相手を説得する必要があります。
いずれにしても、時間に余裕はありません。弁護士の実務経験に裏打ちされた見極めと、交渉方法が要求される場面です。

[参考記事]
窃盗の初犯で示談なしは実刑?処分の分かれ道と対処法を解説
2.万引きの被害届を取り下げてもらう4つのポイント
万引きの被害届を取り下げてもらうためには、様々な面に配慮しながら示談交渉を進める必要があります。
ここでは、中でも大きなポイントを4つ説明します。
(1) 早期に交渉を開始する
当然ですが、一刻も早く加害者からの謝罪を伝えることです。
謝罪が遅れれば、被害者は相手の誠意を疑いますし、示談交渉のスタートも遅れてしまいます。
(2) 被害弁償だけでなく迷惑料なども検討する
店舗に実損害を与えないよう、盗んだ商品を弁償したり、買取り扱いとさせてもらったりすることは当然ですが、さらに迷惑料・慰謝料・謝罪金などの名目で金額を加算した示談金の支払いを提案することも検討すべきです。
店舗にとっては、示談・被害届取り下げに応じる動機となります。

[参考記事]
万引き犯罪では示談・被害弁償が重要!
(3) 真摯な謝罪と反省の態度
相手に謝罪を受け入れてもらうには、真摯な反省を示し、再発防止策を講じる約束をすることも必要です。例えば、次のような方策が考えられます。
- 加害者による直筆の謝罪文・反省文を提出する
- 示談書に両親・配偶者など家族が今後の監督を誓約する旨を記載したり、示談書とは別に誓約書を提出したりする
- 犯行が、万引きを止められない精神疾患である窃盗症(クレプトマニア)に起因するときは、専門医療機関への通院など治療を受けることを誓約する

[参考記事]
クレプトマニア(万引き癖)の特徴と治療法
(4) 示談書に「宥恕条項」を盛り込む
微罪処分や不起訴処分は、被害が回復されただけでなく、被害側の処罰感情がなくなったという点を重視しますから、示談書に「宥恕(ゆうじょ)条項」を記載してもらうことが大切です。
「宥恕」とは「寛大な心で許す」という意味です。「被害届を取り下げる」という条項と同時に、「宥恕する」「処罰を望まない」などの宥恕条項を記載してもらいましょう。
なお、通常は、示談書の記載とは別に、被害者が署名した「被害届の取下書」の提出も求められますので、その書類も準備して、署名押印をお願いすることになります。
3.万引き事件でよくある疑問・質問(FAQ)
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万引きで被害店舗に直接謝罪・弁償に行ってもいい?
反省した加害者が、店舗に直接に謝罪弁償に行くことは、道徳的には正しい態度です。例えば、個人商店が被害者のケースでは、店主が真摯な態度に好感をもって評価してくれる場合もあるでしょう。
ただし、常に好意的に受け止めてもらえるとは限りません。次のような危険もあります。
- 弁償・示談を拒否する統一方針の場合、謝罪すら応じないという場合もある
- 被害者は、加害者に嫌悪感・恐怖心を抱いていることも多く、直接の面談を求めると、かえって態度を硬化させてしまう
- 被害届の取り下げをお願いしたのに、「取り下げるよう脅しに来た」と曲解される危険がある
とくに2と3の場合、こじれた感情的な対立を解消できないまま、結局、示談・被害届取り下げが不成功に終わる危険が高くなります。
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商品代金を弁償すれば、それで万引き事件は終わる?
代金を弁償しただけで、事件が解決・終結するわけではありません。
すでに被害届が提出されていれば、示談書を交わし、被害届取り下げ書を警察に提出する必要があります。
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警察から出頭要請が来た後や、逮捕後でも示談・被害届の取り下げはできる?
できます。ただし、出頭要請があったのにこれに応じないまま被害者との交渉を試みると、証拠隠滅や証人威迫の危険があると判断され、かえって逮捕される可能性が高くなります。まずは出頭要請にきちんと応じてください。
逮捕後も、示談・被害届の取り下げは可能です。ただ、逮捕されると、そこから23日間の間に起訴・不起訴が決まることが通常ですから、時間の余裕はありません。
ただちに弁護士に依頼して、示談交渉をスタートするべきです。
4.万引きの示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
万引き事件で示談成立と被害届の取り下げを実現するには、示談交渉を弁護士に依頼するべきです。その理由は次のとおりです。
(1) 店舗側が「弁護士となら交渉に応じる」というケースは多い
被害者は、加害者を簡単には信用しないもので、警戒心があります。しかし、弁護士であれば、法律の専門家として社会的信用があり、交渉に応じても良いというケースは数多くあります。
(2) 直接のやりとりによるトラブルを懸念
当事者同士が直接にやりとりをすると、店舗側としては、示談や取り下げを強要・脅迫されないかと心配してしまいます。
このようなトラブル・不安を避けるには、弁護士を介することがベストなのです。
(3) 適切な示談金による有効な示談書の作成
商品代金の弁償は格別、それ以外の迷惑料などの示談金については、一般の当事者には適切な相場金額がわかりません。
弁護士であれば、過去の事例などから、事案に応じた適切な水準の金額に収まるよう店舗側を説得することが期待できます。
また、示談書は、当事者が合意した権利義務を記載する法的な文書ですから、その内容が明確にわかるよう記載することが必要です。
特に、弁償金を含む示談金の金額・支払期限・支払い方法、宥恕条項、被害届の取り下げ、精算条項をきちんと記載しなくてはなりません。これらは弁護士に任せれば安心です。
(4) 検察官・裁判官に対するアピール
示談書・被害届の取下書は、警察・検察に提出しますが、逮捕・勾留された事案では、たんに書類を提出するだけでなく、示談成立の事実を積極的にアピールし、釈放や不起訴を求めて検察官・裁判官を説得する活動が必要です。
弁護士に依頼しておけば、そのような活動も直ちに開始してくれます。
5.万引き事件の示談・被害届取り下げは弁護士にご相談を
刑事事件はスピード勝負です。示談を成立させて万引き事件を早期に終了させるには、刑事事件の経験が豊富な弁護士に依頼することが大切です。
是非、泉総合法律事務所にご相談ください。

