万引など窃盗 [公開日]2026年6月30日

他人のクレジットカードを不正利用する犯罪|窃盗罪・詐欺罪

他人のクレジットカードを不正利用する犯罪|窃盗罪・詐欺罪
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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最近は、暗証番号が不要で、タッチ決済により簡単にクレジットカードを利用できる店舗も多いです。よって、誰かが落としたクレジットカードを拾った時、魔が差して「使ってしまおう」と考えてしまうケースがあります。

しかし、「他人の拾ったクレジットカードで物を買う」などの行為は窃盗罪であり、発覚すれば逮捕されてしまいます。
クレジットカードの普及にしたがい、このようなカードを不正に利用した犯罪が増加しています。

この記事では、典型的なケースとして、「他人名義のクレジットカード」を利用した場合に、どのような犯罪となるのか?また逮捕された場合はどのように対応するべきか?などについて解説します。

1.他人のクレカ不正利用が刑事犯罪になるケース

ひとくちに「他人のクレジットカードの不正利用」といっても、その利用形態には様々なケースがあり、適用される犯罪名も異なります。

(1) 詐欺罪

1 他人のクレジットカードを使用して、カード加盟店で商品を購入

詐欺罪は、「他人をあざむいて、錯誤に陥れ、財物を交付させたり、財産上の利益を得たりする」犯罪です。

クレジットカードは、カード会社と契約した本人が使用することで、加盟店が商品を売り渡し、後にカード会社が加盟店に代金相当額を立替払いし、さらにカード会社は、本人の登録口座などを通じて資金を決済するというシステムです。

本人に経済的な信用力があることを前提としたシステムなので、本人以外の者が利用すること、本人以外の者の利用に加盟店が応じることは、いずれも契約で禁止されています。

そこで、本人以外の者が本人であるかのように装い、本人名義のカードを使って加盟店から商品を購入する行為は、加盟店を「欺いて財物を交付させること」であり、詐欺罪となります。
法定刑は10年以下の拘禁刑です(刑法246条1項)。

【判例】最高裁平成16年2月9日決定
カードの名義人本人に成りすまし、カードの正当な利用権限があるように装い、加盟店であるガソリンスタンドの従業員を誤信させてガソリンの交付を受けた行為を詐欺罪としました。

(2) 窃盗罪

1 ATMでキャッシング

他人のカードを使用してATM(現金自動支払機)でキャッシングをし、現金を得た場合です。
詐欺罪は、「人」をだまして錯誤を生ぜしめて利益を得る犯罪です。「機械」に過ぎないATMは「人」ではありませんから、詐欺罪とはなりません。

しかし、ATM内部にある現金は、そのATMを設置・管理している金融機関や店鋪が占有している財物であり、他人の占有する財物を、自己の占有下に移転する行為は窃盗罪となります(東京高裁昭和55年3月3日判決・判例時報975号132頁など)。

法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑です。

2 無人レジでタッチ決済

同様に、コンビニやスーパーなどの店鋪の「無人レジ」で、他人のカードを用いてタッチ決済で商品を購入する場合も、店鋪が占有する商品を自己の占有下に移転する行為として窃盗罪となります。

3 ECサイトでセキュリティコードを入力

インターネットのECサイト(電子商取引サイト)で、他人のカードの番号・氏名・有効期限・セキュリティコードを入力して、「物品」を購入する行為も同様です。

(3) 電子計算機使用詐欺罪

1 電子マネー購入の代金を決済するため、カード決済代行業者のコンピューターに、インターネットを通じて他人のカード番号・氏名・有効期限を入力・送信して「電子マネー」を取得した

決済代行業者のコンピューターは「人」ではないので詐欺罪とはならず、電子マネーは誰かが占有する財物でもないので窃盗罪にもなりません。

このような法律の隙間を埋めるために設けられたのが「電子計算機使用詐欺罪」です(刑法246条の2)。
これは要するに、機械(電子機器)をだまして財産上の利益を得る行為を詐欺罪とするものです。

電子計算機使用詐欺罪は、財産権の取得などに関わる「虚偽の情報」を電子機器に与え、「不実の電磁的記録」を作るなどして、財産上の利益を得る行為を処罰するものです。法定刑は10年以下の拘禁刑です(同246条の2)。

この場合、「他人のカードの氏名・カード番号・有効期限」が虚偽の情報や電磁的記録なのではなく、これらの入力によって作られる「本人が電子マネー購入を申込み、電子マネーを購入した」という情報が「虚偽の情報」「不実の電磁的記録」に該当し、電子マネーが財産上の利益となります。

【判例】最高裁平成18年2月14日決定
「被告人は、本件クレジットカードの名義人による電子マネーの購入の申込みがないにもかかわらず、本件電子計算機に同カードに係る番号等を入力送信して名義人本人が電子マネーの購入を申し込んだとする虚偽の情報を与え、名義人本人がこれを購入したとする財産権の得喪に係る不実の電磁的記録を作り、電子マネーの利用権を取得して財産上不法の利益を得たものというべきであるから、被告人につき、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めた原判断は正当である。」

(4) その他の様々なケース

1 拾った他人のカードを使用した

クレジットカードは、それ自体はプラスチックのカードに過ぎず、物質的な価値は乏しいですが、これを利用して物品購入やサービス提供を受けることができるという実際上の経済的な価値を考慮すれば、刑法で保護されるべき「財物」と言えます。

したがって、拾ったカードは占有を離れた他人の財物であり、これをほしいままにすることは「占有離脱物横領罪」となります。

法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑もしくは科料です(刑法254条)。
もちろん、このカードを使った場合は、別途、詐欺罪、窃盗罪、電子計算機使用詐欺罪にも問われます。

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2 盗んだ他人のカードを使用した

前述のとおり、クレジットカードは財物ですから、これを盗むことはカードを対象とした「窃盗罪」となります。
そのうえで、このカードを使った場合は、別途、詐欺罪、窃盗罪、電子計算機使用詐欺罪にも問われます。

また、他人のカードを取得する際に本人に暴行や脅迫を加えれば、強盗罪となります。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑(上限は20年)です(同236条1項、12条1項)。

3 他人のカードで購入した物品を転売した

物品を購入する行為自体には詐欺罪や窃盗罪が成立しますが、購入した物品を売却する行為は別個の犯罪とはなりません。すでに被害者の財産権は侵害されており、売却行為で新たな法益侵害が生じるとは評価されないからです。
これを不可罰的事後行為と呼びます。

ただし、他人のカード使用という詐欺行為・窃盗行為によって得た商品であることを告げずに転売した場合、その事実を知っていれば購入しなかったであろう買主に対する「詐欺罪」となる場合があります。

4 他人の身分証明書などを使用し、他人になりすましてカードの発行を受けた

カード会社をだまして、カードの交付を受けた行為が詐欺罪となります。
その後、このカードを使用した場合は、別途の詐欺罪や窃盗罪に問われます。

2.他人のクレジットカード不正利用で逮捕された後の対応

(1) 逮捕・勾留

他人のカードの不正利用で詐欺罪や窃盗罪等の嫌疑がかかると、逮捕・勾留されることが通常で、最大23日間も身柄を拘束されます。
その期間内に、検察官は被疑者を起訴して刑事裁判にかけるか、釈放するかを決めなくてはなりません。

起訴された場合は、さらに被告人という立場での勾留が継続されることになります。

他人名義のカードを不正利用した場合、捜査機関は、偽造カードか否か、入手方法・入手経路の確認、背後の犯罪組織の有無などを捜査し証拠を収集するため、身柄の拘束は最大の23日間にわたることが通常です。

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さらに、勾留中の家族による面会も裁判官により禁止されることも珍しくありません。家族が共犯者である可能性もあるからです。

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(2) 早期釈放への弁護活動

他人のカードの不正利用事案で勾留や勾留期間の延長を阻止することは、事実上かなり困難です。

ただ、たとえば、「友人に無断で拝借したカードで買物をしてしまったが、被害額は安価で、すぐに弁償し、友人も処罰を望まない」などという軽微なケースであれば、弁護士が被害者との間で早々に示談をまとめ、検察官・裁判官に働きかけることで、勾留期間を短くし、早期に身柄開放を実現できる場合もあります。

(3) 不起訴や執行猶予に向けた弁護活動

刑事裁判を避けるべく不起訴処分を得ることも大切な弁護活動です。起訴されて有罪判決を受ければ、前科となってしまいます。

仮に起訴されてしまった場合は、実刑判決を避け、執行猶予判決を得ることで刑務所での服役を回避することができます。

弁護士は、被害者との示談を成立させるなどして、被疑者・被告人に有利な事情を集め、これを検察官・裁判官に提出することで、起訴猶予や執行猶予の可能性を高めることができます。

3.弁護士による示談と被害弁償

では、その示談のために、弁護士は具体的にどのような活動を行うのでしょうか。

(1) クレジットカードの不正利用の被害者は誰?

他人のカードの不正利用の被害者は誰なのか、典型的なケースで考えてみましょう。

例:被疑者Aは、BからB名義のカード(C信販会社)を盗み、これを使用して、D加盟店の商品を購入した

この場合、D加盟店はC信販会社から代金の立替払いを受けることができますし、C信販会社は本人Bの登録口座から立替金の決済を受けることができます。そうすると、最終的に損害を被るのは本人Bです。

もっとも、BC間の契約で、被害に気づいたBが一定期間内にCに連絡をすれば、損害金をCが補償してくれる場合もあり、その場合は、最終的な損害はCに発生します。

したがって、信販会社の補償を受けられない場合は名義人Bに被害弁償をする必要があり、信販会社が補償をする場合は信販会社Cに被害弁償をする必要があります。

(2) 弁護士を通じての示談の申し入れ、被害弁償をするべき理由

名義人Bはともかくとして、カードを発行している企業は、通常、カードの不正利用に関して損害賠償金は受領してくれるものの、示談には応じない方針です。
しかし、それでも弁護士を通じて示談の申込みを行うべきですし、示談の成否にかかわらず損害賠償金を支払うべきです。

示談が成立しなくとも、謝罪とともに示談の申込みを行い、示談成立の努力をすることは、真摯な反省を表す意味があります。

また示談の成否にかかわらず、犯人は損賠賠償金を支払う民事責任がありますから、その義務を果たせば、検察官による起訴・不起訴の判断や裁判官による量刑や執行猶予の判断にあたり、有利な事情として考慮してもらえます。

また、カードの名義人が補償を受けることができず損害を被っているケースでは、示談を成立させ賠償金を含む示談金を支払うことが有利な事情となります。

ただ、たとえば拾ったカードを不正使用した場合のように、名義人の連絡先がわからない場合、通常、捜査機関は弁護士以外の者には被害者の連絡先を教えてはくれませんから、示談の交渉をスタートするためにも、弁護士に依頼することが事実上必須となります。

早期に弁護士を依頼することで、23日間のうちに示談を成立させることができれば、不起訴処分(起訴猶予)となり、刑事裁判にかけられることなく、前科がつくことを回避できる可能性も高まります。

4.まとめ

このように、他人のクレジットカードを拾って(盗んで)使用することは、窃盗罪や詐欺罪をはじめとしたあらゆる刑事犯罪が成立する可能性があります。
このような事例では、逮捕に続く勾留で長期間、身体を拘束される可能性が高くなります。

社会的な影響を少しでも小さくするために、そして前科を避けるために、お困りの方はお早めに泉総合法律事務所の弁護士・泉義孝にご相談ください。

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