万引など窃盗 [更新日]2026年5月13日

空き巣は窃盗罪|逮捕・勾留はされるのか?

空き巣は窃盗罪|逮捕・勾留はされるのか?
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
プロフィールはこちら >

「明日の生活もままならないほどにお金に困っていた時、戸締りの緩い留守の家の前を通りかかり、つい魔が差して侵入し財物を盗んでしまった」ということがあるかもしれません。
このような行為は、通称「空き巣」と言いますが、空き巣を犯したら何罪になるのでしょうか?

罪に問われてしまうのは当然ですが、今後の自分の身はどうなってしまうのか、心配になる方も多いと思います。

本コラムでは、空き巣の罪・量刑の他、空き巣で逮捕された場合に弁護士へ相談するとどのような弁護活動をしてもらえるのかについて、解説します。

1.空き巣とは

(1) 空き巣は何罪?

「空き巣」は、家人がいない留守を狙って家屋内に侵入し、他人の財物を盗み取ることです。

他人の財物を盗み取るのは「窃盗罪」(刑法235条)に当たりますから、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられます。
そして、家屋内に侵入することは、「住居侵入罪」(刑法130条前段)に当たります。住居侵入罪は3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金です。

住居侵入罪と窃盗罪は、牽連犯の関係に立ちますから、同時に犯した場合はより重い窃盗罪の刑で処断されます(刑法54条1項後段)。
今回の場合は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられるということです。

(2) 空き巣の量刑判断

空き巣=窃盗罪に関する量刑の一般的な考え方は、犯罪事実そのものの情状を最も重視し、次いで、前科前歴の有無とその内容、被害回復(弁償)の有無、反省・更生の意欲と社会復帰後の保護環境などを考慮するというものです。

「犯罪事実そのものの情状」とは、被害額、その動機、犯行の方法・態様、計画性の有無、犯行準備の状況、常習性の有無ということになります。
たとえば、盗みのための道具を携行しての犯行は、計画性や常習性があるということになり、量刑に不利に働きます。

反対に、どちらかというと悪質性が小さいと考えられている犯行(偶発的な犯行・出来心による犯行・あるいは魔がさしての犯行)で、前科前歴がなく(初犯)、定職に就くなど生活の安定性もあり、家族の監督などの保護環境も整っている場合には、被害回復(弁償)がなされれば、社会内での更生が重視されて、不起訴あるいは罰金の可能性が高いといえましょう。

また、上記のような悪質性が小さい空き巣で、窃盗以外の前科はあるものの窃盗の前科前歴がない場合には、被害回復(弁償)がなされれば、社会復帰後の更生の可能性いかんによって相応の刑期の軽減という量刑判断が下される可能性もあります。

前科(特に同種前科)の有無や被害回復(弁償)の有無が、実刑か執行猶予を分けたり、刑期の軽減を左右したりすることになると覚えておきましょう。

窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される?どんな処分になるのか

[参考記事]

窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される?どんな処分になるのか

2.空き巣の弁護活動

(1) 被害弁償

空き巣の場合には、被害者に財産的損害(被害)を与えるわけですから、被疑者の処分結果に最も影響するのが、「その被害が回復されたどうか」ということになります。

被害が回復されたといえるためには、被害金品が被害者に返還される(全部の回復又は一部の回復)か、その被害に相当する金額が弁償されなければなりません。

しかし、被害者によっては、盗まれた被害品ということから、その返還を拒否したり、難色を示されたりすることがあるのも事実です。

そのような場合には、時の経過により被害者の態度が軟化するのを待ち、捜査機関の感触を手掛かりに、被害者と折衝せざるをえないこともあります。
どうしても被害品の返還が無理なら、被害品相当の金額を弁償せざるをえません。

このような被害弁償のために行うのが、次で説明する「被害者との示談」です。

(2) 被害者との示談

空き巣の場合には、被疑者が被害者の住所・氏名を知っている場合もあります。しかし、被害者の心情に思いを致せば、被害金品の返還であれ被害弁償であれ、被疑者あるいはその家族が被害者と直接接触をもつことは避けなければなりません。

したがって、被害者との折衝、そして示談交渉などは、法律のプロである弁護士に委ねるのが望ましいです。

弁護士としては、捜査機関を介して、被害者に対し示談交渉に応じる意思があるかどうかを打診してもらい、その了解が得られれば、弁護士のみ直接会って示談や被害弁償の交渉をすることになります。

弁護士の尽力により、被疑者の反省と謝罪の気持ちが被害者に伝わり、示談が成立した場合には、示談書の中に、被疑者を宥恕する(許す)文言を条項として入れてもらいます。

他方で、被害者が被疑者を宥恕する気持ちにはなれないものの、被害弁償は受け入れてくれるという場合もあります。

このように、被害回復(弁償)については、弁護士の尽力に負うところが大きいです。そして、被害回復(弁償)が早ければ早いほど、被疑者に有利な結果となるのが原則です。

(3) 釈放に向けての活動

空き巣を犯してしまっても、情状が良ければ、罪証隠滅・逃亡のおそれはないものと評価され、(原則的には)逮捕・勾留となる可能性は低いです。
逆に、悪質性が小さいケースでも、被害回復(弁償)がなされなければ、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれが考慮されることから、逮捕、そして勾留される可能性があります。

空き巣事件では、やはり、被害回復(弁償)が何よりも重要なことになってくるということです。

※悪質性がある空き巣の場合は、被害回復(弁償)の有無にかかわらず、逮捕、そして勾留されることがあります。

被害回復(弁償)が逮捕前になされたのであれば逮捕はされない可能性が高いですし、逮捕・勾留中になされたのであれば、捜査機関側は被疑者を任意に釈放することになります。
仮に検察官から裁判官へ勾留の請求があっても、被害回復(弁償)がなされていれば、裁判官は勾留請求を却下すると言えます。

勾留とは?勾留要件・期間・流れ・対応策を解説

[参考記事]

勾留とは?勾留要件・期間・流れ・対応策を解説

(4) 公判段階(起訴後)の弁護活動

身柄拘束(勾留)されたまま起訴されたとしても、被害回復(弁償)がなされれば、罪証隠滅のおそれはないものといえますし、一般的には保釈が認められます。

なお、公判請求された場合、実刑か執行猶予か、その刑期が軽減されるかは、被害回復(弁償)がなされているか否かによって大きく左右されることになります。

窃盗罪は、適切な弁護活動さえ行えば、起訴された場合でも執行猶予や罰金で終わるケースも多いです。

執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活について(仕事、旅行)

[参考記事]

執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活について(仕事、旅行)

3.まとめ

空き巣では、被害者の立場を軽視することはできません。
被害者からすれば、留守の隙をついて自宅内に不法に侵入され、金銭等の財産を盗まれたわけですから、その憤りの強さや不安感には計り知れないものがあります。

よって、早期に被害回復・被害弁償を済ませ、量刑に有利な情状を得ることが重要になります。

ご自分が空き巣を犯してしまった、空き巣が発覚して逮捕されてしまった場合には、お早めに泉総合法律事務所にご相談ください。
刑事弁護に精通した弁護士が適切にアドバイスいたします。

刑事事件コラム一覧に戻る