不同意わいせつ(強制わいせつ) [公開日]2026年5月19日

家族(夫や息子)が不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったら

家族(夫や息子)が不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったら
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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夫や息子が不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)で逮捕されてしまったとき、家族としてはどのように対処するのが正しいのでしょうか?

逮捕されたままでは、会社や学校にも行けず、不利益がどんどん大きくなります。なるべく早く身体拘束を解いて。日常生活を取り戻す必要があります。

不同意わいせつは、放置しておくと実刑判決もあり得る重大な犯罪です。不利益を小さくするためには弁護士によるサポートが必須ですので、家族が逮捕されたらすぐにご相談ください。

今回は、家族が不同意わいせつ罪で逮捕されたときに家族がすべきことを解説していきます。

1.不同意わいせつ罪とは?

ときどき、有名人などが「不同意わいせつ罪」で逮捕されたというニュースが流れることがありますが、そもそも不同意わいせつ罪とはどのような犯罪なのでしょうか?

不同意わいせつ罪は、文字通り、同意がないまま相手に「わいせつな行為」をすることです。
たとえば、相手を脅して服を脱がせる、無理矢理に身体を触る・キスをする、夜道で急に抱きつくなどの行為は、不同意わいせつ罪が成立します。

一方、必ずしも暴行や脅迫などが行われなくとも、不同意わいせつ罪は成立します。
痴漢でも、「服の中に手を入れて直接陰部を触る」など悪質な場合には、迷惑防止条例違反では済まず、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。

痴漢で不同意わいせつ罪に問われた場合はどうすればいい?

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また、相手に「これはわいせつな行為でない」と誤信をさせたり、人違いをさせたりすることも不同意と同様とされています。

不同意わいせつ罪の刑罰は「6か月以上10年以下の拘禁刑」です。罰金刑などはなく必ず拘禁刑が適用されます。

被害者が13歳未満の場合、たとえ被害者の同意を得ていたとしても(暴行や脅迫の手段を用いなくても)、わいせつ行為をしただけで不同意わいせつ罪が成立します(対象者との年齢差が五歳以内であれば対象になりません)。

【不同意わいせつ罪は親告罪ではない】
不同意わいせつ罪は、かつて「親告罪」でした。親告罪とは、被害者が刑事告訴をしないと処罰されない罪です。
しかし、法改正が行われ、現在では不同意わいせつ罪は非親告罪となっています。被害者が刑事告訴をしなくても、犯罪が発覚すると警察が捜査を開始して逮捕される可能性があるのです。

2.不同意わいせつ罪で逮捕・勾留された場合の流れ

では、不同意わいせつ罪で逮捕されると、どのような流れになるのでしょうか?

刑事事件で逮捕された場合の流れは「身柄事件」と「在宅事件」で異なります。警察に逮捕され身体拘束をされるのが身柄事件、逮捕されずに在宅で捜査が続けられるのが在宅事件です。

(1) 身柄事件となった場合

まずは、身柄事件の進み方を説明します。

逮捕後は警察による捜査が進められますが、48時間以内に検察官の元に送られ、その後24時間以内に裁判官に対して勾留請求をするか否かを検察官が判断します。
「逃亡の恐れがある」「罪証隠滅の恐れがある」などの理由で警察官が勾留請求をし、裁判官による勾留決定がされると,被疑者は引き続いて警察の留置場内で勾留(拘束)されます。

この勾留期間は原則として10日とされていますが、「捜査が終了しない」などの理由でさらに10日延長されるケースもあります。
再度の延長はできないので、起訴前の勾留期間は最長20日間です。

逮捕・勾留中には、警察官や検察官から取調べを受け、その結果が「供述調書」に残されます。

勾留期間が満期になると、通常、検察官は被疑者を「起訴」するか「不起訴」にするかなどの処分を決定します。

起訴されたら通常の刑事裁判となり、裁判所で裁かれます。検察官は十分な証拠を得た上で起訴をするため、日本の刑事裁判の有罪率は99%以上と言われています。つまり、起訴されれば多くのケースで有罪判決が言い渡されます(※罰金刑も有罪です)。

一方、不起訴になったら身体拘束から解放され、基本的に同じ罪で再度捜査対象になることはありません。

(2) 在宅事件となった場合

不同意わいせつが発覚したとして、逃亡や罪証隠滅の恐れがない場合、身体拘束はされずに在宅事件となることも多いです。
在宅事件では、警察の捜査について1ヶ月~数ヶ月が経過することもあります。そして、送検された後で検察官から呼出があり、検察官による取り調べが行われます。

その後、捜査資料と取り調べの結果にもとづいて、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。

身柄事件と同じく、起訴されたら裁判となり、有罪判決が確定したら前科がつきます。
不起訴になったらそのまま捜査が打ち切りとなって、基本的に再度同じ罪で捜査されることはありません。

在宅事件でも逮捕・勾留リスクはあるため注意!

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3.逮捕・勾留された家族のためにできること

夫や息子などの家族が不同意わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、家族は一刻も早く、具体的に以下の行動をとる必要があります。

(1) 弁護士への相談と依頼

罪状に関わらず、家族が逮捕されたらすぐに弁護士に相談してください。

逮捕された本人は、警察署の中にいて自由に外部と連絡を取ることができず、自分で弁護士を探すことは非常に困難です。
そのため、外にいる家族が迅速に弁護士を選び、正式に弁護を依頼することが、本人の利益を守るための第一歩となります。

弁護士は、逮捕後すぐに本人と接見(面会)し、取り調べのアドバイスや精神的なケアを行います。特に逮捕後の72時間は、家族であっても面会が許されないケースが多いため、弁護士の存在は不可欠です。

もしも逮捕後に誰も接見に行かずに本人を放置したら、取り調べで不利益なことを話してしまったり、本人が動揺して精神的に不安定になってしまったりするリスクが高くなります。

(2) 身元引受人としての準備

早期に身柄を解放してもらうためには、本人が釈放された後に「逃亡や証拠隠滅をしないよう、責任を持って監督する人」が必要です。これを「身元引受人」と呼びます。

家族が身元引受人になることを申し出、上申書などの書類を提出することで、裁判官に対して「家庭での監督体制が整っている」とアピールできます。
これにより、勾留を回避・解除したり、起訴後の保釈が認められたりする可能性が高まります。

身元引受人(身柄引受人)がいないとどうなる?

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(3) 示談金の確保と支払いへの協力

不同意わいせつ事件において、早期釈放や不起訴処分を勝ち取るために最も重要なのが、被害者との示談成立です。
被害者のいる刑事事件では、被害者と示談ができると、被疑者・被告人にとって非常に良い事情と評価してもらえるからです。

示談交渉自体は、感情的な対立を避けるために弁護士が間に入って行いますが、交渉をまとめるためには「示談金」を支払う必要があります。

本人が逮捕されている間は、本人の口座から自由に資金を引き出すことができない場合も多く、家族が示談金の資金を工面・準備するなどの協力が不可欠です。示談の意思を早期に示し、具体的な支払い能力を提示することは、交渉をスムーズに進める上で非常に有利に働きます。

今は不同意わいせつ罪が親告罪ではなくなったので、示談ができて被害者が刑事告訴を取り下げたとしても、必ずしも不起訴にしてもらえません。
それでも、起訴前に示談が成立すると、不起訴にしてもらえる可能性が高まることには変わりないのです。

また、後述しますが、仮に起訴されてしまったとしても、示談が成立していたことにより減刑をしてもらえる可能性があります。

【家族が直接被害者と示談することは避けるべき】
被害者が知り合いの場合、被疑者の家族が自分たちで被害者に連絡を入れて示談を進めることも不可能ではないかもしれませんが、実際問題としては難しいです。被害者の方も、被疑者の家族からの示談申し入れを受け付けない可能性があります。
刑事弁護人からの連絡であれば被害者側も対応しやすいので、当初から弁護士に示談交渉を任せるのがスムーズに示談をまとめるためのポイントとなります。

(3) 起訴後の示談により執行猶予や減刑の可能性も

万が一、処分決定までに示談がまとまらなかった場合でも、起訴後に示談が成立すると被告人の「刑罰」が軽くなります。

不同意わいせつの刑罰は拘禁刑しかなく、執行猶予がつかなかったら刑務所に行って服役しなければなりません。
ここで家族の協力によって示談金が用意され、判決前に示談が成立すれば、執行猶予が付く可能性が大きく上がります。前科があったり悪質な犯罪であったりして実刑が避けられない場合でも、示談の成立は刑期の短縮につながる重要な事情となります。

4.スピードが勝負の刑事事件は弁護士に相談を

不同意わいせつ罪は、悪質な性犯罪の一つとして位置付けられており、検挙されれば在宅事件にはならず身柄事件となるケースが多いです。
身柄事件では、被害者と示談交渉をできる時間が短くなるので特に注意が必要です。

逮捕後、勾留が満期になるまでは、最大20日間しかありません。弁護士に依頼したタイミングが遅くなると、被害者との示談がまとまるまでに処分決定されてしまいます。
すると、起訴される可能性が高くなります。

起訴を避けるには、勾留満期になるまでに示談をまとめて検察官に示談書を提出することが有効です。
家族が逮捕されたら、すぐにでも弁護士にご連絡ください。

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