不同意わいせつ罪は罰金で済むのか?裁判・実刑になるケースを解説
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)に問われた際、「罰金刑で済まないだろうか」などと考えていませんか?
結論から言うと、不同意わいせつ罪には罰金刑の規定がないため、略式手続きによる罰金のみで事件を終わらせることはできません。起訴されれば正式な裁判が開かれ、執行猶予がつかない限り刑務所へ収容される「実刑」となる重大な犯罪です。
しかし、逮捕直後から適切な弁護活動を行うことで、「不起訴処分」を獲得し前科をつけずに社会復帰できる可能性や、執行猶予付き判決を得られる可能性は残されています。
本コラムでは、実刑を避けるための条件や、弁護士へ相談すべき理由を解説します。
1.不同意わいせつ罪の法定刑には「罰金刑」がない!
2023年7月の刑法改正により、従来の「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」へと罪名が変わりました。
この改正に伴い、処罰対象となる行為が明確化されましたが、知っておくべきなのは「不同意わいせつ罪の法定刑には、罰金刑が存在しない」ということです。
不同意わいせつ罪の法定刑は、「6ヶ月以上10年以下の拘禁刑」と定められています。
※法改正により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」は「拘禁刑」に一元化されました。
刑事事件では、比較的軽微な犯罪であれば、書類審査だけで迅速に刑罰(罰金刑)が確定する「略式手続き(略式起訴)」で終わるケースもあります。
しかし、罰金刑の規定がない不同意わいせつ罪では、原則として略式手続きを選択することはできません。

[参考記事]
略式起訴・略式裁判で知っておくべきこと|不起訴との違い
つまり、検察官に起訴されてしまえば、例外なく全員が公開の法廷で裁判を受ける(公判請求される)ことになります。
裁判所へ出廷し、検察官から罪を追及される精神的・社会的な負担は計り知れません。
このように、不同意わいせつ罪に関して、「初犯だし、罰金を払えば終わるだろう」という見通しは甘いと言わざるを得ないのです。
2.執行猶予がつく条件と実刑になるケースの違い
罰金刑がない不同意わいせつ罪において、起訴をされた場合に刑務所行き(実刑)を回避できる唯一の処分は「執行猶予」です。

[参考記事]
執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活について(仕事、旅行)
(1) 初犯でも「執行猶予」は確実ではない
刑事裁判において、「初犯だから今回は執行猶予がつくだろう」と楽観視するのは非常に危険です。
執行猶予とは、裁判官が「社会の中での更生が可能」と判断した場合に、刑の執行を一時的に猶予する制度です。
しかし、不同意わいせつ罪はその性質上、個人の性的な自由や尊厳を著しく踏みにじる重大な犯罪で、近年も厳罰化の傾向にあります。そのため、たとえ前科がない初犯であっても、事件の内容によっては執行猶予がつかず、初犯でも実刑になるリスクが十分にあります。
(2) 不同意わいせつで実刑の可能性が高いケース
初犯であっても実刑判決が下されやすい(あるいは執行猶予の獲得が難しくなる)ケースには、主に以下のような要因があります。
- 行為の悪質性・態様:暴行や脅迫の程度が強い、執拗に行われた、あるいは凶器や薬物が使われたなど、犯行態様が凶悪・悪質な場合
- 計画性の有無:突発的な犯行ではなく、あらかじめSNSで誘い出す、待ち伏せをする、カメラなどの道具を準備していたなど、計画的な犯行である場合
- 被害者の年齢や属性:被害者が児童(子ども)であったり、飲酒や障害などで抵抗できない状態(抗拒不能)に付け込んだりと、被害者の社会的弱者性が高い場合
- 被害者の強い処罰感情:被害者が受けた精神的ショックが深く、裁判において「絶対に許せない」「厳罰に処してほしい」という強い意思を示している場合
判決では、これらが総合的に評価され、実刑か執行猶予かが決まります。当然ですが、悪質な要素が重なれば重なるほど、実刑の可能性が上がることになります。
3.逮捕から裁判・実刑を回避するための弁護活動
前述の通り、不同意わいせつ罪で起訴されてしまえば公開裁判は避けられず、最悪の場合は実刑判決が下されます。
実刑や前科を防ぐための弁護活動において、最大の鍵となるのが「被害者との示談成立」です。
(1) 示談成立で「不起訴」「執行猶予」の可能性が高くなる
刑事手続きにおいて、被害者との間で示談が成立しているかどうかは、検察官や裁判官の量刑判断に極めて大きな影響を与えます。
1 起訴前(逮捕〜勾留中)の示談成立
検察官が起訴・不起訴を判断する前に、被害者から「許す(処罰を求めない)」という意思(宥恕条項)を含んだ示談が成立すれば、「起訴猶予(不起訴処分)」を勝ち取れる可能性が高まります。
不起訴になれば裁判は開かれず、前科もつきません。
2 起訴後の示談成立
万が一、示談が間に合わずに起訴されて裁判になってしまった後でも、判決までに示談が成立すれば「被害回復がなされている」「反省の情が深い」と評価され、実刑を回避して「執行猶予」を獲得できる可能性が高くなります。
(2) 加害者側による直接の示談交渉は困難
「誠心誠意謝罪すれば、自分たちだけでも示談をまとめることができるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、加害者本人やその家族が直接被害者と交渉することは、現実的にはほぼ不可能です。
警察や検察は、二次被害を防ぐため、加害者側に被害者の氏名や連絡先(電話番号・SNSなど)を教えることは絶対にありません。
また、被害者側からすれば、加害者側からの直接の連絡は「脅迫」や「口封じ」のように感じられ、強い恐怖や拒絶反応を示すものです。
無理に接触しようとすれば、かえって処罰感情を硬化させ、事態を悪化させかねません。
だからこそ、捜査機関や被害者から「法律の専門家」として信頼され、守秘義務を持つ弁護士の介入が不可欠となります。
弁護士であれば、被害者の精神的な負担にも最大限配慮しながら連絡を取り、示談交渉をスムーズに進めることができます。
リンク:不同意わいせつ罪で示談しないとどうなる?示談を拒否されたら

[参考記事]
弁護士なしでの示談はリスク大!示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
4.まとめ
不同意わいせつ罪には罰金刑の規定がなく、起訴されれば必ず裁判となる重大な犯罪です。
「初犯だから」「罰金を払えば済むだろう」という安易な判断は、実刑判決・前科といった事態を招きかねません。
事件の長期化や実刑のリスクを回避し、「不起訴処分」を勝ち取るためには、逮捕直後からのスピード勝負となります。
泉総合法律事務所では、不同意わいせつ事件をはじめとする刑事弁護の経験豊富な弁護士が、今後の見通しや示談交渉の進め方について親身にアドバイスいたします。
「家族が逮捕されてしまった」「警察から呼び出しを受けている」という方は、どうかお早めに当事務所の無料相談をご利用ください。

