窃盗の初犯で示談なしは実刑?処分の分かれ道と対処法を解説
窃盗の初犯で示談ができない(示談を断られてしまった)場合、「実刑になってしまうの?」と不安に思う方は多いです。
結論から言うと、万引きなどの窃盗罪は、初犯であれば即座に実刑判決となる可能性は極めて低いと言えます。
しかし、決して油断はできません。被害額が高額である場合や、手口が悪質なケースでは、初犯であっても正式な裁判が開かれ、有罪判決をくだされる可能性が0ではありません。
特に、窃盗罪は被害者がいる犯罪であるため、「示談が成立していないこと」は処分を重くする最大の要因になりえます。
本コラムでは、初犯の窃盗事件で処分の分かれ道となるポイントと、実刑や前科を回避するために今すぐ取るべき対処法(示談交渉)について、解説します。
1.窃盗罪の重さと刑罰
法律上、窃盗罪は決して軽い犯罪ではありません。
刑法第235条により、窃盗罪で有罪判決を受けた場合は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という刑罰が科されると定められています。「初犯だし、万引き程度だから大した処分にはならないだろう」と安易に考えてしまうのは非常に危険です。
たとえ盗んだ物品が少額であっても、罰金刑になれば「前科」がつきます。
前科がつけば、その後の就職や資格取得に制限がかかり、社会生活に大きなペナルティを背負うことになるかもしれません。
初犯であっても決して軽視せず、「拘禁刑(実刑)や罰金刑を回避するために何ができるか」を初期段階から真剣に考えなければなりません。

[参考記事]
窃盗罪の初犯で逮捕・起訴される?どんな処分になるのか
2.処分の明暗を分ける判断基準
窃盗事件を起こしてしまった際、最終的に「不起訴」となるか、それとも「起訴(裁判)」されてしまうのか、その処分の明暗を分けるポイントは主に以下の5つです。
検察官や裁判官は、これらを総合的に考慮して刑事処分内容を決定します。
- 被害額の大きさ:被害金額が数百円程度なのか、あるいは数万円、数百万円に上るのかによって判断が大きく分かれます。
- 示談・弁済の状況:被害者との示談が成立しているか(賠償が済んでいるか)、盗んだ商品が手つかずのまま返還されているか、あるいはすでに消費・転売されてしまっているか等も重要です。
- 犯行の悪質性・計画性:店舗で衝動的に行ってしまった万引きと、あらかじめ工具を用意して深夜に店舗へ忍び込んだ窃盗とでは、当然、後者の方が「悪質で計画性が高い」とみなされ、厳しい処分が下されます。
- 同種の前歴・前歴の有無:裁判所による「前科」のほか、過去に警察から微罪処分や厳重注意を受けた「前歴」がある場合、「常習性がある」と判断されやすくなり、初犯であっても厳しい目を向けられます。
- 本人の反省と今後の監督体制:本人が罪を認めて深く反省していることは大前提です。その上で、釈放後に再び犯行に及ばないよう、家族などが身元引受人となって日常生活を厳しく監視できる環境(監督体制)が整っているかも重視されます。
これら5つのうちで、「被害額が大きい」「犯行内容が悪質である」「同種の前歴がある」など、マイナス要素が多いほど、起訴されて実刑や前科がつくリスクは高まります。
そして、これらのマイナス要素を打ち消すために最も重要となるのが、次で解説する「示談」の成否です。

[参考記事]
窃盗罪、万引きの罪の重さは被害金額で決まる?
3.「示談なし」のまま放置するリスク
窃盗罪は、具体的な被害者が存在する犯罪(財産犯)です。
そのため、刑事手続きにおいて「示談が成立していない」という事態は、検察官や裁判官に対して「被害の回復が全くなされていない」「被害者の処罰感情が強く残っている」と意思表示しているのと同義になってしまいます。
示談がないまま放置すると、具体的に以下のような結果になる可能性が高くなります。
(1) 本来なら「不起訴」で済んだ事件が起訴される
被害額が小さく初犯であれば、示談によって「起訴猶予(不起訴)」となり、前科をつけずに解決できる可能性が十分にあります。
しかし、示談が成立していないと、検察官は「処罰の必要性がある」と判断し、正式な裁判(公判請求)や略式裁判(罰金刑)へと踏み切る可能性が高くなります。
(2) 執行猶予がつかず「実刑」になる危険性が高まる
すでに起訴されて裁判になってしまっている場合、示談の有無は量刑(刑期の長さや執行猶予の可否)に直接的な影響を与えます。
「被害弁償すらしていない」とみなされれば、裁判官の印象は極めて悪くなり、初犯であっても執行猶予がつかずにそのまま刑務所へ収容される「実刑判決」となる可能性も0ではありません。
「初犯だから裁判所も大目に見てくれるだろう」と楽観視してはいけません。

[参考記事]
万引き犯罪では示談・被害弁償が重要!
4.窃盗の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
窃盗のうち万引き事件では、「店舗の場所や連絡先は分かっているから自分たちで謝罪に行こう」と考えがちですが、加害者側が直接連絡をとろうとしても拒絶されたり、かえって警戒されて事態が悪化したりするケースが少なくありません。
弁護士が介入することで、店舗側の事情に配慮しながら、状況を好転させることが可能です。
(1) 被害店舗と適切に連絡ができる
万引きの場合、事件が起きた店舗の連絡先自体は分かりますが、店舗の責任者や本部のコンプライアンス担当が「加害者本人や家族からの直接の連絡・来客は一切受け付けない」と対応を拒否することがほとんどです。
しかし、守秘義務を持つ弁護士からの正式な申し入れであれば、窓口として応じる、というケースもあり、これにより対話のスタートラインに立つことができます。
なお、窃盗の被害者が個人の場合、捜査機関(警察や検察)は、加害者本人やその家族に対して被害者の連絡先を教えることは絶対にありません。
しかし、守秘義務を持つ「弁護士になら」という条件付きで、被害者側が連絡先の開示に同意してくれるケースも非常に多いです。
(2) 店舗側の事情に配慮した冷静な交渉が可能
被害店舗が大手チェーンや百貨店の場合、「万引きに対しては一律で示談には応じない」「被害弁償(買い取り)も受け取らない」という厳しい内部マニュアルを設けていることが多々あります。
弁護士はこうした店舗ごとの事情を理解した上で、冷静な第三者として店舗の処罰感情や方針に深く配慮し、単なるマニュアル対応を超えて「今回に限り書面での謝罪や被害弁償を受け入れてもらう」ための粘り強い交渉を行います。
(3) 示談・弁償を拒絶された場合の対策
店舗の方針により、どれだけ反省を示しても「示談・弁償の受け取りを一切拒絶」されることは珍しくありません。
しかし、そこで諦める必要はありません。弁護士のサポートのもと、店舗側に「弁償金を郵送等で預ける(または供託する)」手続きをとったり、「贖罪寄付(公益団体への寄付)」を行ったりします。
これにより、裁判所に対して「精一杯の反省と弁償の意思」があることを証拠として提出し、不起訴処分の獲得や実刑回避に向けて最善の手を尽くします。

[参考記事]
贖罪寄付・供託の効果|本当に不起訴になるのか?
5.まとめ
窃盗事件において「示談ができない」と一人で悩み、何もしないまま起訴されてしまうと、最終的には前科や実刑というという重大な結果を招きかねません。
しかし、早期に弁護士が介入すれば、起訴される前や判決が下る前の限られた時間の中でも被害者側と示談を成立させ、早期釈放、実刑回避、前科の阻止が実現する可能性が十分にあります。
「被害者に連絡を拒絶されたから」と諦める必要はありません。
あなたの、そして大切なご家族のこれからの人生を守るために、手遅れになってしまう前に行動を起こすことが大切です。
まずは泉総合法律事務所の無料相談へ、お気軽にご連絡ください。

