覚せい剤の弁護
覚せい剤取締法違反
覚せい剤取締法違反は、たとえ初犯であっても厳しい処罰が下される可能性が高く、社会生活への影響が極めて大きい犯罪です。覚せい剤の所持・使用は、個人の心身を蝕むだけでなく、反社会的勢力の資金源を絶つという社会政策的観点から、検察による起訴率も他の犯罪と比較して非常に高くなっています。
泉総合法律事務所では、被疑者・被告人の方が社会復帰を果たし、二度と薬物に手を染めないための「根本的な解決」を目指した弁護活動を行っております。
覚せい剤取締法違反では、主に以下の4つの行為が処罰の対象となり、それぞれの段階で求められる弁護活動が異なります。
①覚せい剤の使用
科学捜査研究所による尿検査や毛髪検査で覚せい剤の陽性反応が出た場合、それが「薬物を使用した」という極めて強力な客観的証拠となります。
この場合、「交際相手に身体を拘束されて無理やり注射された」など特殊な事情があって、かつそれを裏付ける明確な証拠がないかぎり、覚せい剤使用の事実を否認することは非常に困難です。
当事務所では、「なぜ使用に至ったか」という背景事情を深く掘り下げ、更生環境の整備や再犯防止プログラムの提示を行うことで、情状酌量を求め、執行猶予の獲得や刑の減軽を目指します。
②覚せい剤の所持
家宅捜索や職務質問での所持品検査をきっかけに発覚するケースが大半です。
「所持」の事実認定には、物理的な保持だけでなく、その薬物が誰のものであるか(管理権の所在)という法的な争点が存在します。不当な捜索が行われていないか、違法な証拠収集がないかなど、捜査の適法性も厳格にチェックする必要があります。
③覚せい剤の譲渡・譲受(売買)
薬物は、売人(譲渡人)だけでなく、購入者(譲受人)も厳しく処罰されます。特に、SNSや暗号化アプリを用いたやり取りから密売ルートが特定されるケースが増加しています。
譲受の事実が明白な場合、組織的な密売関与の有無や、薬物との関わりを断ち切るための具体的な改善策をいかに裁判所に示すかが勝負となります。
④覚せい剤の輸出入
営利目的での輸入や所持は、法定刑が極めて重く、裁判員裁判の対象となります。
裁判員裁判では、法律の専門知識だけでなく、一般の方々に「被告人の更生の可能性」や「事案の背景」を納得いただけるよう、論理的かつ情動に訴える弁護方針が不可欠です。当事務所では、綿密な公判準備を通じて最善の判決を目指します。
覚せい剤の刑罰
覚せい剤に関する刑罰は、刑法ではなく「覚せい剤取締法」によって処罰されます。
| 営利目的なし | 営利目的あり | |
| 使用 | 10年以下の拘禁刑 | 1年〜20年の拘禁刑 または情状により500万円以下の罰金を併科 |
| 所持 | ||
| 譲渡・譲受け | ||
| 輸出・輸入・製造 | 1年〜20年の拘禁刑 | 3年〜20年の拘禁刑または無期懲役 または情状により1000万円以下の罰金を併科 |
一般的に、覚せい剤使用に関しての量刑を行う場合、次の項目に着目して、被疑者がどれだけ薬物に依存しているかを総合的に判断していきます。
- 使用量
- 使用頻度・期間
- 使用方法
- 同種の前科の有無
実際に覚せい剤を「使用」していた場合、不起訴処分になるのは極めて困難です。
前述したとおり、「交際相手に身体を拘束されて無理やり注射された」など特殊な事情があり、かつそれを裏付ける明確な証拠がないかぎり、不起訴となるのは難しいでしょう。
なお、初犯であって、かつ営利目的のない単純使用・所持の場合であれば、たとえ公判請求されて刑事裁判になったとしても、執行猶予で終わる可能性が高いです。
反対に、営利目的による輸出入の場合には、たとえ初犯であっても、ある程度の実刑判決を覚悟することになります。
ちなみに、執行猶予中にふたたび覚せい剤取締法違反で起訴された場合、実刑判決となるのが通例です。
覚せい剤事件おける弁護方針
覚せい剤取締法違反事件は「被害者のいない犯罪」であるがゆえに、示談による情状改善が期待できません。そのため、裁判官や検察官に対し、「社会内での更生がいかに可能か」という点を、客観的な事実と環境構築を通じて証明することが弁護活動の核心となります。
当事務所では、以下の戦略に基づき、実刑を回避し、一日も早い社会復帰を目指します。
「脱薬物」の姿勢をアピールする
まずは「薬物依存の状態を絶対に克服する」という強い気持ちを持つところから始めるべきです。
「薬物に二度と手を出さない」という姿勢を検察官・裁判官に強くアピールしていくことが、最終的には執行猶予付き判決の獲得に繋がるのです。
ここで、単に「反省している」と口にするだけでは不十分です。弁護士は、更生に向けた具体的なプロセスをアピールしていきます。
まず、薬物犯罪の原因となった交友関係や反社会的勢力との関係を完全に絶つことが更生の絶対条件です。その決意を裏付けるため、転居や就業先の変更など、物理的な環境変化を証拠化します。
また、捜査や裁判において覚せい剤の入手ルートを隠すことは、「まだ覚せい剤に未練があるのでは?」と裁判官の心証を悪くしてしまい、被告人の方にとって不利な結果に結び付く可能性を高めてしまいます。
専門家の助言のもとで事実を包み隠さず開示し、薬物と関わらない強い姿勢を裁判所に伝えましょう。
専門の治療機関・更生支援団体と連携
覚せい剤取締法違反は、他の犯罪に比べて再犯率がとても高いのが特徴です。薬物依存症は個人の意志だけで克服できるものではありません。
弁護士は、専門的知見に基づいた更生のためのプランを一緒に考えます。
例えば、治療機関・支援団体の活用です。薬物専門の医療機関やダルク(DARC)をはじめとする回復支援施設と連携し、治療計画を策定します。
そして、診断書や入所証明書を捜査機関へ提出し、「医学的・社会的なサポート体制が確立されていること」を主張します。これにより、「放置すれば再犯する」という検察側の懸念を、「適切な治療環境があれば立ち直れる」という確信へと変えていきます。
今後の家族による監督・支援
ご家族の協力は、被疑者・被告人が再び薬物犯罪に陥ることを防ぐために必須とも言えます。
弁護士は、「今後、二度と同様の行為をおこさないよう、被疑者をきちんと監督していきます」といった家族からの誓約書や、詳細な身元引受書を作成し、具体的な監視・支援体制を捜査機関に提示します。再犯防止に向けた家族のサポート体制を強調することで、裁判官に対し、社会の中で安定した生活が送れることを納得させます。
早期釈放を目指す
覚せい剤事件では、証拠隠滅の恐れや再犯の懸念から、逮捕後に長期の勾留が続くことが一般的です。
勾留をしなければ、証拠隠滅や仲間との口裏合わせを図る可能性が高いとみなされているだけでなく、再び覚せい剤を利用するリスクが極めて高いと考えられるためです。
被疑者が身柄を拘束されている場合には、弁護士は、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。
- 勾留阻止・勾留取り消し:勾留前には「身元引受書」「上申書」「意見書」を提出したり、勾留後には「準抗告」を行なったりすることで釈放を働きかけます。
- 保釈請求:起訴後の保釈においても、初犯であれば適切な身元引受人を確保し、保釈の可能性を最大限に引き上げます。
泉総合法律事務所では、これまでに、覚せい剤取締法違反における多くの保釈の実績があります。どうぞ安心して弁護活動をお任せください。
→関連リンク:ご相談内容「釈放・保釈してほしい」
違法な捜査に対しての抗議
覚せい剤事件では、その特殊性に鑑みて、捜査機関による行き過ぎた手法の捜査が行われやすい傾向にあります。
覚せい剤やその使用器具の捜索、押収、さらには採尿などについて、違法とも言える捜査手法が問題となることがあるのです。
当事務所では、捜査機関による捜査行為に違法性がなかったかを徹底的に分析し、もし違法な捜索や押収があったという事実を突き止めた場合には、弁護人として捜査機関に強く抗議していきます。
そして、不当に得られた証拠については裁判での利用を阻止し、被告人の適正な手続きを受ける権利を守り抜きます。

