「万引き」と「窃盗」の違いとは?

「万引き」「窃盗」は、どちらも「盗む」ことに関する犯罪であるということは想像がつくでしょう。
しかし、具体的にどのような違いがあるのか、ご存知でしょうか?
財産事件である「万引き」「窃盗」の違いとその刑罰について、弁護士が詳しく解説していきます。
1.「万引き」は窃盗事件の一種
まず、「窃盗」は、刑法に規定がある財産事件です。
故意に他人の財物を盗み、自分の所有物とすることを広く「窃盗」と言います。
窃盗罪 刑法第235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
そして、皆さんが日常的によく聞くであろう「万引き」は、「お店の商品を盗む」ことを言います。
お店の商品は店の財物であるので、万引きは窃盗の一種ということになります。
万引きだけでなく、スリや空き巣、ひったくり、置き引きなども「窃盗」にあたります。
なお、犯人が盗んだ財物を取り返されるのを防いだり、逮捕を免れようとしたり、罪跡を隠滅したりするために、暴行や脅迫を行った場合には、強盗罪(事後強盗)になります(刑法第236条)。
さらに、この暴行によって人を負傷させてしまうと、刑法第240条の強盗致傷罪となり「無期又は6年以上の懲役」という重い刑罰になります。
例えば、万引が見つかったときに、追いかけてきた店員を振り払って転倒させ怪我をさせただけでも、強盗致傷罪が成立します。
なお、「盗難」という言葉もありますが、これは窃盗の被害者側の視点の言葉であり、「盗難」「窃盗」の本質に違いはありません。
「盗難罪」というものはありませんが、盗難にあった=窃盗罪の被害にあった、ということになります。
2.窃盗罪で逮捕・起訴されないために
(1) 窃盗罪で逮捕・起訴されないケースはある?
初犯の窃盗の場合、逮捕・起訴される可能性は低いと言えます(※強盗罪・事後強盗罪・強盗致傷罪の場合はこの限りではありません)。
特に、被害の額が安く、かつその手口の悪質性も低いような初犯のケースでは、微罪処分で済む可能性もあります。
微罪処分とは、警察が刑事事件の被疑者を逮捕したり事情聴取したりしても、事件が軽微であることなどを理由に送検せずに事件処理を終わらせる手続きです。
例えば、万引きが見つかって警察署に連れて行かれたとしても、被害額が少なく初犯である場合には、警察に1〜2日留置され事情聴取だけ受けて(被害弁償を促されて)微罪処分として家に帰してもらえることがあります。
一方、前科・前歴がある(再犯である)場合は被疑者が改心していないと思われてしまいますので、逮捕・起訴される可能性が高まります。
他にも、被害金額が大きい場合や、倉庫に忍び込むなど計画性の高い場合、立件されている事件が複数件ある(余罪がある)場合も、逮捕・勾留による身体拘束の後、公判請求されて刑事裁判になる可能性があります。
もっとも、初犯でも逮捕・起訴されるケースはありますし、逆に再犯でも不起訴となるケースはあります。
警察官や検察官は、初犯かどうか以外にも、犯行が計画的だったか否か、奪った物が高額か否か、被疑者に反省の意思があるか、被害者との示談が成立しているか否か等で逮捕・起訴の判断をします。
(2) 窃盗罪で逮捕・起訴されないための「示談」
窃盗罪などの「盗み」で逮捕・起訴されてしまった場合、前科を免れる(不起訴になる)ために一番重要なことは、被害者にきちんとした償う、すなわち「被害弁償」をすることです。
検察官が処分を決める際には、被害者の経済的な損失に対して弁償がされているかどうかや、被害者の処罰感情の具合を考慮します。
ですから、被害者に経済的な損失を与えたのであれば、これをきちんと穴埋めしていること、そして被害者が被告人を許して刑罰を望まない(あるいは寛大な処分を希望している)ことを検察官に証明することが大事です。
つまり、被害者との間に「示談」が成立していることが、不起訴となるために最も重要な要素なのです。
しかし、特に窃盗(万引き)がよく起こる本屋やスーパー、コンビニのような店舗では、万引きには厳しい処罰を求めるという方針を取っていて、一切の示談に応じてくれない店舗も少なくありません。
そこで、被疑者は弁護士に刑事弁護を依頼して、弁護士から被害弁償の申し入れ・示談交渉を行うことになります。
店舗によっては、弁護士相手とはいえ一切示談に応じてくれない店舗も少なくありません。
しかし、示談が成立しなくとも、謝罪文を送る等をすることで処分決定の際の良い情状となり得ます。
弁護士は、謝罪文の作成につきましてもアドバイスが可能です。
【クレプトマニア(窃盗癖)とは?】
金銭的に困っているわけではなくても、ゲーム感覚で窃盗(万引)を繰り返してしまう人がいます。これは、「クレプトマニア」と呼ばれ、精神障害の一種であると言われています。
お金に困っているわけでもないのに万引きがやめられないという場合は、「クレプトマニア」の可能性があります。精神障害の可能性がありますので、精神内科の専門医や、クレプトマニア専門のクリニックや病院の専門医に診てもらうべきでしょう。
3.財産事件を犯してしまったら弁護士へ相談を
「盗む」と言っても様々な形態があります。
万引き、置き引き、スリ、引ったくりなど、窃盗罪を犯してしまった場合には、早めに刑事弁護経験豊富な弁護士に相談をしてください。
罰金だけでなく、執行猶予の有罪判決でも前科になります。
前科を回避するには、弁護士へ依頼をして不起訴を獲得することが必要不可欠です。
検察官は、初犯かどうか、犯罪の態様や被害額、謝罪の有無、示談や被害弁償の有無、反省の態度、被害者の処罰感情などの諸要素が考慮し、起訴or不起訴を判断します。
特に窃盗のようなお金・財物に関する犯罪は、被害弁償ができているかどうか、示談が成立しているかどうかがとても重要な判断要素となります。
起訴されてしまった場合にも、刑を軽くするために弁護士への依頼は必要です。
泉総合法律事務所の泉義孝には、万引きをはじめとする窃盗事件・横領事件の刑事弁護の経験も豊富にございます。どうぞ安心してご依頼ください。