盗撮事件の示談交渉の流れと弁護士に依頼するメリット

盗撮は、場慣れしてくると被疑者の警戒心も薄れ、周囲の人や被害女性に現行犯で発覚することが多いです。
盗撮現場で捕えられて逮捕された場合、示談交渉などの今後の対応のためにも、弁護士に相談・依頼することがお勧めです。
このコラムでは、盗撮の弁護活動(示談交渉)を弁護士に依頼する重要性について、弁護士泉義孝が解説します。
1.盗撮の被害者との示談交渉の重要性
盗撮で逮捕された後に起訴されたら、罰金刑であっても前科がつくことは避けられません。
前科がつくのを避けるためには、検察官による起訴を回避する(不起訴を獲得する)必要があります。
また、盗撮で逮捕後に勾留が続けば、長期にわたり身体拘束をされるため、学校や勤務先に盗撮の事実がバレてしまうリスクもあります。
被疑者の早期釈放、および刑事事件の起訴・不起訴の判断にあたっては、被害者の処罰意思の有無が大きな考慮要素となります。
よって、被害者と示談しているという事実が非常に重要です。
刑事事件における「示談」とは、当事者間における犯罪行為に関する民事の和解です。
盗撮事件では、被害者の精神的苦痛に対する補償である慰謝料(示談金)を支払う代わりに被疑者を許してもらうという「合意」が和解の内容となります。
盗撮をされたという事実は、被害者に大きな心の傷を残します。お金で解決できる問題ではありませんが、せめてものお詫びの気持ちで示談金を支払うことで、被害が金銭的に回復したとを示すことができます。
同時に、示談書に「宥恕文言」が記載されることで、被害者の処罰感情が無くなったことが明らかとなるため、刑事処分において被疑者に有利な事情として考慮されるのです。
(宥恕(ゆうじょ)とは「許す」ことで、被害者による「宥恕する」「処罰を望まない」「寛大な処分を望む」などの記載を「宥恕文言」と呼びます。)
双方が納得できたら、示談金の支払いと引き換えに、被疑者の刑事処罰を望まない旨の宥恕(ゆうじょ)文言を記載した示談書の作成に応じてもらいます。
これにより、被害者の処罰意思が無くなったことが明らかとなります。
この示談書を検察官に提出すれば、「被害者が被疑者の謝罪を受け入れて許し、また示談金によって金銭的にも被害回復ができている」として、処分を決める検察官が起訴を控える可能性が高まるのです。
より具体的に言うと、被害者との示談成立の事実は、捜査機関や裁判所から有利な事情として斟酌され、不起訴の獲得や早期の釈放、刑期・罰金額の軽減、執行猶予判決が期待できます。
2.盗撮の示談交渉の流れ
(1) 示談交渉開始までの流れ
盗撮の事実が発覚すると、その場で現行犯逮捕されるケースが多いです。
もしくは、被害者から被害届を出され、防犯カメラの映像やSuica等ICカードの入場記録などから犯人であると特定されて捜査機関に後日逮捕されるケースもあります。
その後、被疑者(加害者)はまず警察署に連行されます。警察官は被疑者を取り調べ、余罪を調べるためにスマートホンの撮影データをチェックされることもあります。
盗撮の場合、逃亡や証拠隠滅の恐れがなかったり、その他の事情から逮捕(身体拘束)の必要性がないと判断されたりしたケースでは、検挙されてもすぐに釈放されます。このような事件を「在宅事件」と言い、以後、被疑者は通常通りの生活を送りながら、警察から出頭するよう呼び出しを受け警察署で取り調べを受けます。
しかし、在宅事件だからといって実刑にならないというわけではありません。
在宅事件はあくまで身体拘束をされていないだけですので、在宅事件でも正式起訴をされて実刑となる可能性は0ではありません。在宅事件だから不起訴になるだろう、などと考えず、早期に示談交渉を行うことが大事です。
なお、盗撮で在宅事件とならず逮捕に続く勾留をされるケースは限られていますが交流となった場合、被疑者の身柄は逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。
身柄を受け取った検察官は、24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)に、裁判官に被疑者の勾留を請求するか否かを決定します。
勾留された場合、被疑者は勾留請求の日から10日間に及んで身体拘束されます。
更なる捜査の必要があれば、最大で10日間の勾留延長が行われます(勾留は合計20日間)。
検察官は、在宅中および勾留中の捜査により獲得した証拠を基に、被疑者を起訴するか否かを判断します。
処分を軽くするには、そして身体拘束を回避するには、いかに迅速に示談を成立させることができるかにかかっているともいえます。
(2) 示談交渉の方法と流れ
詳しくは後述しますが、まず、被害者との示談交渉は弁護士に依頼することが必須と言えます。
弁護士ならば、被疑者本人に教えないことを条件に、捜査機関へ(被害者の承諾を得た上での)被害者の連絡先開示をお願いできます。
これにより、「弁護士にだけならば」と連絡先を教えていただき、示談交渉をスタートできることが非常に多いです。
警察に被害者に連絡先を教えてもらった弁護人は、すぐに被害者と連絡を取ります。そして、示談交渉に応じてもらえる場合、さっそく交渉を始めます。
交渉の場では、示談にどのような条項を織り込むか(例えば、被疑者が引っ越しをする、通勤時間帯を変えるなど)、示談金はいくらにするか等について辛抱強く交渉します。
最終的に、被害者が示談内容に合意してくれると、合意した内容を記した示談書を作成し、示談金を支払います。この示談書を検察官に提出することになります。
示談はいつでもできますが、身体拘束を避けるため・早期釈放を目指すためにも、出来るだけ早いタイミングで行うべきです。
3.盗撮の示談交渉を弁護士に任せるべき理由
(1) そもそも当事者同士の示談は難しい
示談交渉は、すべてにおいて慎重さが求められます。
被疑者側は、犯罪被害によって精神的に大きく傷ついています。被害者が被疑者側からのいかなる連絡も拒否し、示談の話どころではない場合も珍しくはありません。
そもそも、盗撮事件の場合、被疑者と被害者は面識がなく、被害者の連絡先がわからない場合が大半です。
しかし、検察官や警察官は、プライバシー保護の観点から被害者の情報を被疑者本人やその関係者には教えてくれません。
また、仮に被疑者が被害者と連絡が取れても、本人から連絡がくれば被害心情をさらに害してしまうことは明確です。
そこで、弁護士から、検察・警察を通じて(被疑者には伝えない条件で)被害者の連絡先を開示してもらえるよう申し入れを行い、被害者側の承諾を得られてはじめて連絡が可能となります。
したがって、多くの場合は、弁護士に依頼しなければそもそも被害者と連絡をとること自体が困難です。
また、逮捕中・勾留中は自力の示談は不可能ですので、やはり弁護士に依頼するべきです。。
示談の申し出が遅れれば被害者の被害感情も強くなるものですので、示談交渉はできる限り早期に開始することがお勧めです。
(2) 弁護士は盗撮における示談交渉に精通している
示談の成否は、被害者の心情にかかっています。
つまり、似たような盗撮の事案であっても、示談交渉の進め方は一つとして同じものはありません。
たとえば、駅構内や電車内の盗撮ではなく、住居の開いている窓から盗撮したというケースを考えてみましょう。
この場合には、被疑者は盗撮した被害者の住居を知っていることになります。
このようなケースでは、被害者からすれば、今後また被害に遭うのではないかという強い恐怖心があって当然です。
このため、弁護士との示談交渉において、引越費用の支払を求めるケースが珍しくありません。
盗撮の示談金相場は10~50万円ほどですが、このようなケースでは100万円を超えることもあります。
被害者の住居が賃貸物件であれば、(被疑者側に支払能力がある限り)示談交渉は特に困難なわけではありません。
しかし、被害者の住居が本人やその家族の所有物件であった場合、引越は容易ではありません。引越費用が不動産の買換え費用となれば、これを要求されても被疑者側が支払える金額ではないでしょう。
このような特殊なケースでは、被害者側の要求を全て呑むことはできず、示談交渉が難航する場合があります。
弁護士としては、①今後、被害者の住居近くに近寄らないことを被疑者に誓約させたうえ、被疑者の家族なども被疑者が約束を守るよう監督することを誓約する、②被疑者の住居と被害者の住居が近い場合は被疑者の方が引越しをするなど、現実的に実行可能な範囲の代替案を示して、被害者を説得することになります。
このような高度な提案・説得術は、盗撮の弁護実績が豊富な弁護士であるからこそできるものです。
この他にも、示談交渉にあたっては、弁護士が盗撮の被疑者の代わりに謝罪するだけでなく、被疑者に書いてもらった謝罪文を被害者に渡して、被疑者の反省の心情などを理解してもらうように努めます。
仮に示談していただけない場合には、検察官に対して、その謝罪文を弁護士の不起訴を求める意見書とともに提出します。
示談交渉のノウハウがある弁護士は、このような示談のポイントを抑えているので、難解な案件でも示談が成立する可能性が高くなります。どうぞ安心してお任せください。
4.盗撮事件の刑事弁護なら泉総合法律事務所へ
上記の通り、実際の案件では個々の盗撮事件に合わせた適切な弁護活動が必要になってきます。
仮に示談をしないまま放置すれば、罰金刑・実刑などで前科がついてしまうだけでなく、会社に盗撮の事実が知られてしまうリスクが高まります。

[参考記事]
盗撮で職場を解雇される?懲戒解雇の有効性と対処法
泉総合法律事務所では、盗撮事件の不起訴・より軽い刑事処分、そして早期の身柄釈放に向けて全力で取り組んでおります。
実際、盗撮で逮捕された後に不起訴処分を獲得できた実績や、早期釈放の実現の実績は非常に多くあります。
盗撮してしまった方、盗撮事件が発覚し家族が逮捕されてしまったという方は、今度どうするべきかを考えるために、泉総合法律事務所の弁護士泉義孝へぜひご相談・ご依頼ください。スピード勝負な刑事事件において、依頼後すぐに着手いたします。