痴漢・不同意わいせつ [更新日]2025年9月17日

痴漢冤罪を証明したい場合の正しい対応方法

痴漢冤罪を証明したい場合の正しい対応方法

実際には痴漢をしていないのに、被害女性や近くにいた目撃者、警察などに痴漢と誤解され逮捕されてしまう事案(誤認逮捕)は稀に発生します。
満員電車内での痴漢冤罪事件というのは、誰にでも起こり得る危険があるのです。

犯罪を証明するには証拠が必要ですが、痴漢事件においてもこれは例外ではありません。「どのような証拠が存在するか」を理解し、矛盾点を突きながら効果的に主張をしていくことで、痴漢冤罪を証明できるかもしれません。
しかし、このように高度な主張・交渉ごとは、痴漢事件の経験が豊富な弁護士に依頼をして行うことがおすすめです。

このコラムでは、痴漢の冤罪で誤認逮捕された場合の正しい対応方法を説明します。

なお、「冤罪」とは、正確には「実際には犯行を行なっていないのに、犯人であると疑われて有罪判決を受けた」場合を指しますが、本コラムでは痴漢の犯人に間違われてしまうことを広く「冤罪」を表現しています。

1.痴漢の証拠とは?

現在では、警察も痴漢事件の取り扱いには慎重になっています。警察庁は各警察署に対し、ひとつひとつの証拠に有罪を支えるだけの証明力と信用性があるかどうかを逐一検討する姿勢を指示しています。

この観点から、警察も痴漢事件においては、次のような視点から事件を観察し、冤罪を防止しようとしています。

  • 当事者の供述以外の客観的な証拠があるかどうか(DNA鑑定・防犯カメラなど)
  • 被害女性や目撃者の証言にあいまいなところはないか
  • 満員電車内の状況から別の者が痴漢をした可能性はないか
  • 被疑者と被害者の身長差や、被疑者の当時における腕の位置などから、痴漢行為が物理的に不可能ではなかったか
  • 被疑者の否認する態度や状況説明の供述は、痴漢と疑われた当初から一貫しており、ぶれていないか

したがって、痴漢だと誤解されても、冤罪であると最初から最後まではっきりと否定するべきです。「勘違いをするような位置に立っていたかもしれない」「少しだけ触れていたかもしれない」などと思い、途中から主張を変えてはいけません。

とは言え、ほとんどの被害者は意図的に嘘をついて被疑者を陥れようとしているのではなく、満員電車という現場の状況から、偶然接触したのを痴漢と勘違いしていたり、触っている手を掴み間違えたりしているだけだと思われます。
つまり、被害者は、真実被害に遭っており被疑者に痴漢をされたのだと信じてしまっているのです。

このように虚偽を述べる動機がない被害者の供述の中に、信用性の疑問点を発見し指摘するのは、なかなかに難しい作業です。

また、痴漢の目撃者がいた場合、目撃者の証言と被害者の証言が一致してしまえば、被疑者が犯人であることを争うのは至難の業となります。

犯人であることについての客観的な証拠がなくとも、被害者が痴漢に遭ったこと及びその犯人がその被疑者・被告人であることを合理的に説明できるとすれば、有罪になってしまう危険はあると考えておきましょう。

痴漢の証拠とは?繊維鑑定・DNA鑑定で逮捕されるか

[参考記事]

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2.痴漢冤罪で逮捕されたらどうなる?

警察がこちら側の主張を受け入れてくれない場合には、「被疑者」として逮捕され取り調べされるケースがあります。

「逮捕」による身体拘束は48時間ですが、被疑者が痴漢を否認している場合には、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断して検察庁に身柄送検をするケースがほとんどです。

検察庁に送検されると、検察官が被疑者を取り調べます。被疑者の「痴漢をしていない」「冤罪だ」との言い分も聞いてくれますが、これに納得してくれることは通常なく、10日間の勾留を裁判官に請求することになります。

さらに、裁判官は被疑者が容疑を否認していると、検察官と同様に証拠隠滅や逃亡の恐れがあり勾留の要件を満たすと判断して勾留決定することがほとんどです。

このように、痴漢と誤解され逮捕・勾留されると、最大で23日間身柄拘束される可能性が高いです。
こうなると、会社を無断欠勤で解雇されるなど深刻な状況になってしまうのです。

痴漢で逮捕されるケース|逮捕された後の流れはどうなるか

[参考記事]

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【冤罪と誤認逮捕の違い】
誤認逮捕とは、真犯人でない者を逮捕することを指します。
これは冤罪と似ていますが、意味は少し異なります。冤罪は「濡れ衣を着せられ、有罪判決まで受けた」という状況を意味します。一方、誤認逮捕は「有罪か無罪か判断するよりはるか前の逮捕段階で犯人を見誤った」場合に起こることです。つまり、「誤認逮捕の結果として冤罪が生まれる可能性がある」ということになります。

3.痴漢冤罪への対処法

(1) 弁護士に相談する

痴漢を疑われ、周囲の状況を見てもらっても疑いが晴れない場合には、弁護士に相談しましょう。

いくら自分が真犯人でないといっても、被害者本人や捜査機関はあなたが犯人と思っているわけですから、しっかりとした証拠が見つかるまではなかなか疑いは晴れません。
その場合、法律の専門家である弁護士を呼べば、捜査機関を説得することはもちろん、犯人ではないことを裏付ける証拠等を収集してくれます。

他にも、取り調べにおいてどのように供述するべきか、何を黙秘すればいいかなどのアドバイスを受けることができるので、被疑者の方の心強い味方となります。

誤認逮捕の後に起訴されることがあれば、前科がつく可能性が極めて高くリスクが大きくなります。早期に弁護士へ相談して、そもそも起訴を避ける弁護活動をしてもらいましょう。

(2) 損害賠償を請求する

誤認逮捕された場合や冤罪の判決を受けてしまった場合に、被害者や警察に損害賠償請求をしたいと考える方もいると思います。しかし、満足な賠償を受けることは難しいケースが多いです。

誤認逮捕された場合は、被疑者補償規定により、身体拘束された期間1日につき1,000円以上1万2,500円以下の補償を受けることが出来ます。
しかし、これは検察官の裁量によるところが多く、保証を受けられるのは「その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるとき」に限られます。実際には十分な補償金が支払われない、あるいは1円も支払われないことも多く、救済手段とはなっていないのが実情です。

一方、起訴後に無罪判決が出された場合には、刑事補償法により補償を請求できます。補償金額は前述と同じです。
また、有罪判決を受けた(冤罪となった)後の拘禁期間も補償の対象となります。

これとは別に、国家賠償法に基づいて損害賠償を警察(国)に請求すること自体は可能です。
しかし、誤認逮捕=違法とはならず、請求には「故意または過失によって違法に他人に損害を加えたとき」という要件がありますので、請求は困難な場合が多いです。

したがって、損害賠償請求を考えるのではなく、冤罪は早いうちに疑いを晴らして釈放を得ることが何より大事です。弁護士に相談しながらどのような手段をとるか判断しましょう。

4.痴漢冤罪の相談は泉総合法律事務所へ

冤罪は、その人の人生を大きく狂わせます。最初から全力で戦わないと、痴漢犯人の汚名を着せられて、残りの人生を棒に振ることになりかねません。

そのような事態を避けるには、痴漢の否認事件・冤罪事件について経験のある弁護士に依頼するべきです。

泉総合法律事務所は、痴漢事件の弁護経験が多数ございます。
痴漢で誤認逮捕されてしまい冤罪のリスクが生じても、当所の弁護士が被疑者の方を全面的にバックアップし、勾留阻止・身柄解放を目指します。ぜひ一度ご相談ください。

特に誤認で逮捕された場合には、犯行を否認していると多くの場合で身体拘束をされてしまいます。
逮捕・勾留から一日でも早く解放されるためには、どうぞお早めに弁護士までご相談ください。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所、弁護士泉義孝まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴される可能性がありますし、処分が罰金であっても前科となります。

最終処分を不起訴など有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所の弁護士、泉義孝は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

  • 痴漢をしてしまった
  • 逮捕されてしまった
  • 前科を付けたくない
  • 被害者と示談したい

という方は、お早めに泉総合法律事務所、弁護士泉義孝にご相談ください。相談料は初回無料です。

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