不同意性交等 [公開日]2025年10月16日

不同意性交等罪で自首をしたい場合の弁護士依頼

不同意性交等罪で自首をしたい場合の弁護士依頼

自首」は、刑事手続きにおいて刑の減軽を臨むことができる有効な決断です。
しかし、適切に手続きを進めるには法的なサポートが不可欠と言えます。

この点、自首に対応している弁護士に依頼することで、自首の手続きを適切に進め、取り調べやその後の刑事手続への対応方法についてアドバイスを受けることができます。

また、被害者との示談交渉、早期釈放を目指す弁護活動など、弁護士はあなたの権利を守りながら最善の結果を目指すサポートを行います。

早期の相談が重要ですので、本コラムをご覧の上でぜひ相談・依頼をご検討ください。

1.不同意性交等の罪の重さ

不同意性交等罪は、2023年7月の刑法改正によって新設された犯罪類型です。従来の強制性交等罪から名称と構成要件が変更され、より被害者の意思を重視した規定となりました。

不同意性交等罪の内容としては、その名の通り、相手の同意なく性交等(肛門性交又は口腔性交を含む)をすることです。被害者の性別は問いません。
なお、16歳未満の者に対しては、たとえ相手の同意があった場合にでも不同意性交等罪が成立します。

不同意性交等罪の刑罰は、5年以上20年以下の有期拘禁刑です。罰金刑はありません。これは酌量減軽(刑法66条)がなされない限り執行猶予を付けることができない重い刑罰です。
また、不同意性交等罪は非親告罪であるため、起訴前に示談が成立すれば必ず不起訴になるとは言えません。

不同意性交等罪を犯すと実刑判決となる可能性が高く、初犯であっても安易に考えてはいけません。
特に、前科がある場合や、犯行態様が悪質な場合は、10年を超える長期刑が科されることもあります。

不同意性交等罪とは?|刑法改正による変更点と構成要件

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2.自首の法的な効果とメリット

このように、不同意性交等罪は極めて重い犯罪であるからこそ、罪を犯したと自覚している場合はできるだけ早く弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
自首や被害者への謝罪・示談交渉などの真摯な対応は、最終的な処分に良い影響を与える可能性があります。

自首とは、捜査機関に犯罪事実・被疑者が発覚する前に、自ら進んで犯罪事実を申告することです。

自首のやり方と成立要件|出頭との違い

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(1) 自首の効果

刑法42条
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる

上記条文の「できる」という表現は、裁判所の裁量によることを意味します。つまり、自首により刑の減軽が認められるかどうかはケースバイケースということになりますが、実際にはほとんどのケースで自首は情状酌量の重要な事情として考慮されます。

特に不同意性交等罪のような重大犯罪では、自首によって反省の態度を示すことが、実刑か執行猶予か、あるいは刑期の長短を決める際の重要な判断材料となりえます。

なお、自首が成立するためには、「まだ捜査機関に発覚していない」ことが必要です。これには、「犯罪事実は発覚しているけれど、犯人が誰であるかが発覚していない場合」も含みます。
自分が罪を犯したことが既に発覚しており、手配されている状態で警察に行っても「自首」は成立しません。

(2) 自首をすることのメリット

条文に示されている刑の減軽以外にも、自首には以下のようなメリットがあります。

早期の示談交渉が可能になる

被害者の連絡先が分からない場合、自首をすることで、弁護士を通じて被害者への謝罪や示談交渉を早期に開始できます。
(とはいえ、被害者が被害届を出していない場合は、自首により初めて事件が警察に発覚することになるので、慎重な判断が必要です。)

警察官や検察官は、被疑者が示談交渉を望む場合、被害者からの許可が降りれば代理人の弁護士限りで被害者の連絡先を教えてくれます。
被害者の処罰感情が高まる前に誠意ある対応を取ることで、示談が成立しやすくなる可能性があります。

示談が成立し、被害者から許しを得られた場合、不起訴処分となる可能性も生まれます。
起訴されたとしても、示談の成立は量刑判断において有利な事情として扱われます。

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逃亡の疑いを払拭できる

自首することで、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを示せます。これにより、逮捕・勾留といった身柄拘束を避けられる可能性が高まります。

刑事事件で逮捕・勾留をされるのは、釈放をして在宅の捜査をすると、被疑者が逃亡をしたり証拠隠滅をしたりするおそれがあると判断された場合です。
自首をしたという事実は、当然ながらこのようなおそれが少ないという判断につながりますので、当該事件については在宅事件として捜査が進められることが期待できます。

在宅で普段通りの生活を維持しながら事件に対応できることは、解雇や退学のリスクも減るため非常に重要なことです。

精神的な負担から解放される

罪の意識を抱えながら生活を送ることは大きな精神的負担となります。
いつ発覚するかという恐怖に怯えながら生活するより、自首によって事件と向き合い、早期に自ら罪を償うことで、被疑者もまた精神的に安定をすることができます。

3.自首後の流れとその後の対応

自首をした後は、刑事手続きが本格的に開始されます。そのため、弁護士のサポートを受けながら、十分な事前準備と各段階の適切な対応をするようにしましょう。

(1) 自首前の準備

自首は準備なく衝動的に行うべきではありません。自首を決意したら、警察に行く前に必ず弁護士に相談してください。
弁護士は、自首のタイミング、方法、警察での対応の仕方などについて具体的なアドバイスをしてくれます。

刑事事件に精通した弁護士であれば、あなたの状況を詳しく聞いた上で、自首が法的に認められる要件を満たしているか、どのような効果が期待できるかを判断してくれます。また、弁護士によっては自首に同行してもらうことも可能です。

弁護士相談では、事実を隠さず正直に話すことが重要です。弁護士には守秘義務があるため、相談内容が外部に漏れることはありませんのでご安心ください。

具体的には、自首する前に犯罪の具体的な事実関係を整理しておきましょう。警察での取り調べで矛盾した供述をしてしまわないように、「何を話すべきか」「何を黙秘するべきか」まで弁護士と打ち合わせをすることをお勧めします。

さらに、自首によって身柄拘束される可能性を考え、持ち物の準備以外に、家族や友人への説明をしておくことも重要です。
職場への対応についても、弁護士と相談しながら検討しましょう。状況によっては、事前に休職の手続きを取るなどの判断が必要になる場合があります。

(2) 警察署へ出頭

自首の日時は弁護士と相談して決めます。
身分証明書、印鑑、最小限の現金など必要な物を準備し、家族に連絡先や今後の予定を伝えておくことも忘れないでください。

自首をすると、まず警察で事情聴取が行われます。犯罪の日時、場所、具体的な状況などについて詳しく聞かれ、供述調書が作成されます。

取り調べでは事実を正直に話すことが基本ですが、記憶が曖昧な部分を推測で答えたり、誘導に乗って事実と異なることを認めたりしないよう注意が必要です。弁護士の助言を思い出しながら対応しましょう。

(3) 検察への送致・取り調べ

警察の捜査が終了すると、事件は検察庁に送致されます。検察官は改めて被疑者の取り調べを行い、まずは身柄拘束の判断をします。
逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば在宅事件となりますが、不同意性交等罪は重大事件なので、事案の性質上自首をしていても逮捕・勾留される可能性はあります。

勾留中の生活・面会・差し入れについて

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勾留あるいは在宅での捜査が終わると、検察官は被疑者を起訴するかどうかを判断します。

この段階になると、被害者との示談交渉を進めているか否かが重要です。
被害者との示談が成立していれば、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性があります。ただし、不同意性交等罪は重大犯罪であるため、示談が成立していても起訴される場合は多いのが実情です。

(4) 起訴された場合の裁判

起訴されると、刑事裁判が始まります。

裁判では、弁護人が情状弁護を行います。自首したこと、深く反省していること、被害者への謝罪や示談の努力をしていること、更生のための具体的な計画などを主張し、できる限り軽い刑を求めます。

判決までには、通常起訴から数ヶ月を要します。この間、弁護士と綿密に打ち合わせを重ね、法廷でどのように対応するか準備を進めていくことになります。

判決を受けた場合、実刑であれば刑務所に服役し、執行猶予が付けば社会内で更生の機会が与えられます。

執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活について(仕事、旅行)

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性犯罪の再発防止には、専門的な治療やカウンセリングを受けることが効果的です。弁護士や医療機関と相談しながら、真の更生に向けた道を歩んでいきましょう。

4.弁護士に依頼する重要性

これまで自首のメリットや流れについて解説してきましたは、自首はあくまで慎重に行う必要があります。
必ず事前に弁護士に相談し、適切なタイミングと方法で進めていくことが大切です。

(1) なぜ弁護士が必要なのか

不同意性交等罪は法定刑が非常に重く、専門的な法律知識がなければ適切な対応ができません。自己判断で行動すると、かえって不利な状況を招く可能性があります。

弁護士は、あなたの置かれた状況を法的に分析し、最善の方針を提案してくれます。自首が本当に有効なのか、どのタイミングで行うべきか、警察での取り調べにどう対応すべきかなど、具体的なアドバイスを受けられます。

また、弁護士は捜査機関との窓口となり、あなたの権利を守りながら手続きを進めてくれます。一人で抱え込まず専門家のサポートを受けることが、その後の人生を左右する重要な判断となります。

(2) 弁護士ができることは多岐に渡る

  • 自首前の法的アドバイス
  • 自首への同行と取り調べへの対応
  • 被害者との示談交渉
  • 早期釈放・減刑などに向けた弁護活動
  • 起訴後の裁判への対応

弁護士は、まずあなたの行為が法的にどのような罪に該当するのか、自首の要件を満たしているのかを判断します。適切なタイミングでの自首を実現するため、弁護士は状況を慎重に確認し、最も有利な方法を提案します。

その上で、弁護士は自首に同行し、警察での手続きをサポートします。取り調べの際には、どのように答えるべきか、黙秘権を行使すべき場面はどこかなど、具体的な助言を受けられます。

仮に身柄拘束された場合でも、弁護士は接見に来て取り調べの状況を確認し、対応策を一緒に考えてくれます。孤立した状況で不当な圧力を受けることを防ぐことができます。

また、不同意性交等罪では、被害者との示談が極めて重要です。しかし、被疑者が直接被害者に接触することは、更なる恐怖を与えることになり、かえって事態を悪化させます。
弁護士が間に入ることで、被害者の心情に配慮しながら謝罪の意思を伝え、適切な賠償額での示談交渉を進めることができます。示談が成立すれば、不起訴や減刑の可能性が高まります。

それでも起訴された場合、弁護士は法廷であなたを弁護します。自首したこと、深く反省していること、被害回復に努めていることなどを主張し、情状酌量を求めます。

また、証拠の吟味や法律上の主張を行い、適正な量刑を実現するために尽力します。裁判の準備から判決まで、弁護士の継続的なサポートを受けられることは大きな安心につながるのです。

5.まとめ

刑事事件の弁護士への相談は、早ければ早いほど良い結果につながります。
自首を考えている段階で、まず一度相談してみることをお勧めします。

泉総合法律事務所では、刑事事件の初回相談を無料で実施しています。不同意性交等罪についての弁護経験も多数ございますので、刑事事件に特化した弁護士に遠慮なくご相談ください。

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