接見とは?|被疑者との接見は弁護士に相談を

「接見」とは、簡単に言えば「逮捕や勾留された被疑者・被告人と、その家族や弁護士などが面会すること」を指します。
この制度は、憲法で保障された基本的人権の一部として位置づけられています。
しかし、接見には様々なルール・制限があり、その内容について正しく理解している人は多くありません。よく分からないまま被疑者の方に接見や差し入れをしようとしても、「接見を断られてしまった」「差し入れを受け付けてもらえなかった」という事態になるかもしれません。
家族や親族が逮捕・勾留されてしまったという方は、慌てることがないよう、事前に接見制度について知っておきましょう。
本記事では、接見の基本、具体的な手続き方法、注意すべきポイントまで解説していきます。
1.接見とは?
接見とは、身柄拘束をされている被疑者または被告人が、収容されている施設内で、外部の者と面会することを言います。
弁護人はもとより、家族や友人なども接見は可能ですが、家族や友人などの接見(一般面会)には一定の制約もあります。
(1) 家族・友人の一般面会
家族や友人などとの接見は、一定の制約を受けます。これは、一般面会は「法令の範囲内」で認めると規定されているからです(刑事訴訟法80条)。
制約としては以下のような事柄があります。
- 逮捕中は面会ができない
- 接見時間や回数に制約がある
- 接見する際に立会人が付く
警察署で逮捕・勾留などで身柄拘束されている場合、逮捕段階(勾留前)では家族などは接見できません。逮捕後に勾留された段階になって、初めて一般面会が可能になります。
面会時間や回数にも制約があり、平日の午前10時から午後4時頃まで、1回につき約15分間、1日1回1組(3人まで)のみ接見できることになっているのが通常です。しかし、詳細は警察署により異なりますので、各警察署の留置管理課にお問い合わせください。
なお、逃亡や罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合には、検察官の請求により裁判所が一般面会を禁じることができます(刑事訴訟法81条)。これを接見禁止処分といいます。接見禁止処分がつけられますと、弁護士以外の一般の方は家族と言えども接見することはできません。
ただし、共犯の恐れがない家族の場合には、証拠隠滅などの危険もないと判断できるので、弁護士(弁護人)が裁判所に対して接見禁止の一部解除請求(詳しくは後述)をすることで、家族の方のみ被疑者・被告人に接見することができるようになるのが通常です。(※もちろん、家族が事件に何等かの関わりがあれば、解除は認められません。)
通常は、薬物事件や共犯事件で接見禁止処分がつけられます。それ以外で通常接見禁止処分がつけられることはほとんどありません。
(2) 弁護士(弁護人)の接見
弁護士は、接見に関して特に制約を受けることはありません。
起訴前に警察署で逮捕・留置されている場合や、勾留されている場合、弁護士は土日祝・深夜を問わず、24時間被疑者・被告人と接見できます。被疑者・被告人からも、留置管理課の警察官を通すことでいつでも弁護人に接見要請をすることができます(そうすると、警察官は弁護人の事務所に連絡をして、被疑者・被告人の接見要請を伝えてくれます)。
さらに、被疑者は弁護人と立会人なくして接見し、接見時間の制限もありません。
このような、被疑者が弁護人と自由に接見できる権利を、「接見交通権」といいます。立会人なしで接見できることから「秘密交通権」とも呼ばれます。
一方、起訴後の被告人を収容する施設であり拘置所の場合には、弁護士であっても時間の制約が生じることが原則です。
東京拘置所ですと、平日午前8時30分〜4時頃(昼休みの11時30分〜12時30分を除く)までに限って弁護士は被疑者被告人に接見できることになっており、土日祝日や上記時間帯以外は、一部の例外を除き、弁護士と言えども接見をすることはできません。
2.弁護士に接見をしてもらうメリット
弁護士による接見には、以下のようなメリットがあります。
(1) 逮捕直後から接見が可能
ご本人が逮捕されてから勾留されるまでの間(約3日間)、家族などであっても面会をすることは通常認められません。
これに対し、弁護士であれば逮捕直後から接見をすることができます。
弁護士が接見することで、逮捕された被疑者の様子、容疑の内容を家族にお伝えすることが可能です(これは、逮捕された被疑者の承諾を得た上で行います)。また、被疑者の方には、今後どのような刑事手続きに進むのか、取り調べではどのように対応するべきなのか等を弁護士がアドバイスすることもできます。
(2) 接見に制限がない
家族などの一般面会の場合は、平日の決まった時間帯(通常9時~12時、13時~17時)しか面会をすることができず、場合によったら取り調べの関係で面会できない日もあります。
1回の接見時間も、通常15分~20分程度に制限されるとともに、1日1回1組(3人まで)に制限されます。
これに対し、弁護士は土日祝日や深夜早朝を問わず、時間の制限なく面会をすることができます。
さらに、弁護士は逮捕・勾留された被疑者と、警察官の立ち会いなく接見ができます。
被疑者は弁護士相手に気兼ねなく話をすることができ、事件の内容や今後の方針などについて綿密な打ち合わせをすることが可能です。
これに対し、ご家族などとの一般面会では、面会の場に警察官が立ち会い、話の内容を記録され、事件内容に関して話すと警察官から面会を中止されることがあります。
(3) 接見禁止がついても接見できる
弁護士は、被疑者に接見禁止がついても接見ができます。
証拠隠滅が疑われる事件(共犯事件)などでは、検察官の請求によって裁判所の判断で接見禁止がつけられることがあります。そうなると、ご家族であっても面会が認められなくなります。
この点、弁護士は接見禁止の最中であっても、ご家族に代わって本人と接見し、連絡を取ることが可能です。
また、弁護士は後述する接見禁止の一部解除の申請を行うこともできます。
3.接見が禁止されるケース
(1) 接見禁止とは?
先述の通り、薬物事件や、まだ逮捕されていない共犯者がいる事件(オレオレ詐欺など)では、被疑者を勾留しただけでは罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれを防ぐことが困難な場合があります。
例えば、友人を装った共犯者と接見をすることで、口裏合わせをすることにより証拠隠滅・逃亡を図られたり、被疑者の身に危険が及んだりするリスクがあります。
よって、事案によっては、勾留中の被疑者について、裁判官が弁護人以外の者との接見や手紙のやり取りを禁止することができます。これが「接見等禁止決定」です。
刑事訴訟法81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
たとえ家族や親族であっても、捜査機関や裁判官には、誰が犯罪に関係しているか分かりません。また、犯罪に無関係な家族であっても、被疑者を思うあまり証拠隠滅に手を貸してしまう危険はあります。
このため、家族であるか否かを問わず、一部の犯罪では弁護士以外の面会は一律禁止となることが多いです。
もっとも、接見等禁止が認められるためには、被疑者勾留では払拭しきれないほど高度かつ具体的な罪証隠滅や逃亡のおそれが必要とされます。
具体的には、贈収賄事件、薬物事件(特に薬物密売事件)、けん銃所持事件、暴力団等による組織的な殺人や傷害(致死)事件、会社ぐるみや犯罪組織による大規模な詐欺事件、「黙秘・否認」の重大事件が挙げられます。
しかし、弁護士は接見禁止の対象外です。
(2) 接見が禁止された場合の対処法
接見を禁止されると、身体拘束されている被疑者の方やその家族が大きな精神的不安を抱えてしまうだけでなく、仕事関連の方との接見により実現する取引や運営の指示・相談も妨げることになってしまいます。
よって、「弁護士さえ接見できるならば大丈夫」などとは思わず、接見禁止はできる限り早期に解除するべきです。
接見禁止処分がついた場合には、刑事弁護を依頼された弁護士が、裁判所に接見禁止処分の一部解除申請を行います。
あるいは、接見禁止処分自体の取消を求める「準抗告」をすることもあります。

[参考記事]
準抗告とは?早期釈放を目指すなら泉総合法律事務所へ!
準抗告は容認される可能性が低いのですが、一部解除については通常は家族であれば認可されるケースが多いです。
接見禁止処分の一部解除の手続きは弁護士しかできませんので、接見禁止処分がついた場合には早急に弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。
4.刑事事件で逮捕されたら泉総合法律事務所に相談を
家族との一般面会から弁護士との面会まで、「接見」には手続きには様々なルールが定められています。
弁護士や家族、友人などと接見をすることは、被疑者・被告人にとっては大きな精神的な支えとなります。家族の側にとっても、大切な人の状況を把握し、必要なサポートを提供する貴重な機会となります。
接見を行う際は、事前の手続き面会時の注意事項などを十分に理解しておくことが大切です。
不明な点があれば、弁護士や警察署・拘置所の担当者に遠慮なく確認しましょう。
また、接見禁止がつけられてしまった場合には、1日でも早く弁護士にご相談ください。
弁護士は、接見禁止処分の一部解除申請が行える唯一の存在と言えます。
泉総合法律事務所には、「逮捕直後で家族と接見できないため、会いに行ってほしい」「接見禁止がされているので、解除の申請をしてほしい」などというご相談も多く寄せられます。
何かお困りのことがあれば、刑事事件の実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士に是非ご相談・ご依頼ください。