児童買春,ポルノ・淫行 [更新日]2025年7月25日

青少年保護育成条例違反で逮捕された!不起訴のためにするべきこと

青少年保護育成条例違反で逮捕された!不起訴のためにするべきこと

青少年保護育成条例とは、その名のとおり青少年(18歳未満の者)の健全な保護育成を図ることを目的とした、各地方公共団体が定める条例の総称です。
各地方公共団体がそれぞれ独自に制定しているもので、全国の都道府県ごとに内容の詳細は異なります。

条例では、青少年の健全育成についての基本理念や、都道府県及び保護者・都民や県民・事業者の責務を明らかにした上で、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を規制しています。

弁護士事務所には、青少年とみだらな行為をしてしまった方が青少年保護育成条例違反として検挙・逮捕され、ご本人や家族から相談が舞い込むケースが少なくありません。

今回は、青少年保護育成条例に違反してしまった場合の正しい対応方法について、刑事事件に詳しい弁護士が解説します。

1.青少年保護育成条例について

(1) 規制の内容

青少年保護育成条例は地方公共団体がそれぞれ制定しているため、その内容については差異があります。
しかし、青少年保護育成条例の規制内容としては、概ね以下のようなものが共通で挙げられます。

  • 青少年の深夜外出の制限
  • 青少年の深夜営業施設への立ち入り制限
  • 青少年への有害図書販売の禁止
  • 青少年への有害がん具(大人の玩具やバタフライナイフ等)の販売禁止
  • 青少年が着用した下着の買受の禁止
  • 青少年とのみだらな行為(淫行)の禁止

「青少年」とは18歳未満の者のことを言い、性別は問いません。高校3年生でも、18歳に達していれば「青少年」には該当しません。

中でも、泉総合法律事務所へご相談に来る方は、「青少年と性行為をしてしまった」というケースが多いです。
青少年保護育成条例の中でも、「みだらな性行為」を規制する条文(淫行処罰規定)は、通称「淫行条例」といわれています。

青少年保護育成条例では、他にも以下のようなケースは30万円以下の罰金に処すると定めています。

  • 正当な理由なく深夜に16歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、またはとどめる
  • ファッションヘルスなどで客に接する業務に従事するよう青少年を勧誘する
  • ホストクラブ、キャバクラなどの客となるよう青少年を勧誘する
  • 青少年に児童ポルノの提供を求める

(2) 淫行条例の罰則

青少年とみだらな行為(淫行)をした場合、例えば「東京都青少年の健全な育成に関する条例」では、罰則として2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
青少年健全育成条例違反の公訴時効は、違反行為から3年です。

東京都青少年の健全な育成に関する条例
第18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

「みだらな性交又は性交類似行為」とは、判例によると次の行為を指します(※「淫行」の解釈に関する最高裁昭和60年10月23日判決)。

  • 青少年を誘惑・威迫・欺罔・困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
  • 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
  • 婚約中や真摯な交際関係にある場合は除きます
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なお、お金を払って青少年と性行為(淫行)をした場合、青少年保護育成条例違反だけではなく、児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)にも抵触し、より刑の重い児童買春の罪に問われます。

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2.青少年保護育成条例違反で逮捕後の流れ

近年、性犯罪、とりわけ子どもを被害者とした性犯罪に社会が向ける目は非常に厳しいものがあり、青少年保護育成条例のうちの淫行条例違反が発覚すれば、警察に逮捕されることが通常です。
逮捕されないケースもありますが、これは事前に被害者との示談が成立している場合や、相手が18歳未満だと知らず被疑者側にその落ち度もない場合、自由恋愛の範囲と思われ年齢や状況により逮捕の必要性がないと判断してもらえた場合などが考えられます。

逮捕されると、まずは警察の留置場に留置されて取り調べを受け、48時間以内に検察庁に身柄を送致されます。
そこで、今度は検察官から取り調べを受けて、検察官が更に10日間身体拘束して取り調べをする必要があるかどうかを判断します。

検察官が「勾留の必要がある」と判断すれば、裁判官に対して勾留請求を行います。勾留請求は、送致から24時間かつ逮捕から72時間以内に行わなくてはなりません。
勾留請求を受けた裁判官は、犯罪の嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅の危険があれば勾留を決定します。

勾留は10日間ですが、10日で捜査が終わらなかった場合、さらに最大で10日間勾留が延長されることになります。つまり、逮捕後の身柄拘束期間は最大23日間となるのです。

検察官はその間に、起訴・不起訴の判断をします。
起訴された場合、例え罰金刑でも前科がついてしまいます。

初犯ならば罰金刑のみで済むケースもありますが、再犯となれば起訴され正式裁判になる可能性が高いです。

なお、逮捕・勾留されなかった場合は釈放され、在宅のまま捜査が行われることになります(在宅事件)。

勾留とは?勾留要件・期間・流れ・対応策を解説

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3.青少年保護育成条例違反を犯した場合の対処法

以下では、特に相談が多い「淫行条例違反」を犯してしまったケースの対応について説明していきます。

青少年保護育成条例違反のうち淫行条例の違反が発覚し逮捕された場合、弁護士に依頼することでどのような弁護活動を行ってくれるのでしょうか?

(1) 勾留阻止

上記の通り、逮捕後の身柄拘束期間は最大23日間となります。
とりわけ、淫行条例違反は重大犯罪とされため、逮捕から続いて勾留されてしまうケースが多いです。

そこで、弁護士は意見書などを検察官に提出して働きかけることで、裁判所への勾留請求を阻止し、早期釈放を試みます。
仮に検察官が裁判所に勾留請求をしてしまった場合には、裁判所向けの意見書等を作成したり、裁判官に面会したりするなど働きかけて勾留決定を阻止します。

泉総合法律事務所では、このような弁護活動の結果、勾留決定されずに釈放となった実績が多数あります。

それでも裁判官が勾留決定をした場合には、準抗告を提起します。

準抗告とは?早期釈放を目指すなら泉総合法律事務所へ!

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【18歳未満と知らなかった場合】
青少年との淫行の事案で「相手が18歳未満とは知らなかった」「18歳以上しか登録できないサイトを通じて知り合った」というケースがあります。
裁判では、検察側に「18歳未満と知った上で淫行をした」ということを立証する責任があります。被疑者が相手を18歳未満と知っていたケースでなければ処罰できないので、捜査機関側は「18歳未満ではないと思っていましたが、18歳未満でもかまわないと思って性行為をしました」(いわゆる「未必の故意」)という供述をさせようとします。
しかし、取調の圧力に負けてこれを認めてしまえば、事実と異なる犯罪で処罰されることになってしまいます。お困りならば、青少年保護育成条例違反などの刑事弁護経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。

(2) 示談交渉

淫行条例違反の罪に問われた方に対する一番重要な弁護活動は、相手方である青少年とその家族への謝罪と被害弁償の申し入れを行い、示談を成立させることです。

青少年側と示談できても、必ず不起訴になるわけではありません。
とは言え、示談が成立した事件については不起訴となり、処罰されないケースもあります。

検察官は、青少年に対する謝罪・弁償の有無、初犯かどうか(前科の有無)、犯行態様、被疑者の反省状況、再犯防止策などを全て踏まえた上で、起訴・不起訴の処分を決めることになります。

青少年保護育成条例違反の示談交渉で問題となるのは、示談交渉の相手です。
示談交渉の相手は、青少年本人ではなく親権者である両親でなければなりません。法律上、20歳未満は親権者の同意なく示談などの契約行為を行うと、後で保護者が取り消すことができる定めとなっているからです。

保護者の方は、自分の子どもが被害者となっているわけですから、大変怒っていらっしゃる方が多いです。特に、出会い系サイトやSNSで知り合った場合ですと、性行為の相手がどんな人間かわからない分、青少年の保護者は警戒し、感情的になります。
したがって、青少年保護育成条例違反の示談交渉は難航する場合が多いです。

そもそも示談交渉の席についてくださらない保護者の方も多いのですが、示談の申し入れに応じてくださった保護者の方には、被害を受けた青少年や保護者の方の気持ちに寄り添い、弁護士が被疑者に代わって誠意を持った謝罪を尽くし、いかに被疑者が反省しているかを伝え、示談のお願いをしていきます。
結果として、こちらの意向を汲んで示談してくださる方や、嘆願書(被疑者の処分を軽くするよう求める旨の書面)を作成してくださる方も少なからずいらっしゃいますので、諦めてはいけません。

このような示談交渉は、経験・ノウハウが必要となりますので、刑事事件の示談経験が豊富な弁護士をしっかり見極めて、刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

4.青少年保護育成条例違反で逮捕されたら泉総合へ

青少年保護育成条例違反による逮捕・勾留を回避し、不起訴を目指すためには、刑事事件に強い弁護士に刑事弁護を依頼することがおすすめです。
殊に淫行条例違反などの性犯罪では、被害者と示談できるか否かがその後の処分に大きく関わってきます。しかし、青少年の保護者との示談交渉は非常に難航することが多いため、自力での示談成立は不可能と考えるべきです。

相手が18歳未満と知っていた、知らなかったに関わらず、青少年保護育成条例違反(淫行条例違反)で検挙されてしまった場合には、経験豊富な弁護士に刑事弁護依頼をしましょう。

泉総合法律事務所では、示談の実績が豊富な刑事弁護に強い代表弁護士が対応しております。
未成年に対する性犯罪で逮捕されてしまったり、逮捕されそうで不安に感じていたりする人は、どうぞお早めにご相談ください。

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