交通違反でも刑事事件に!道路交通法違反の種類と罰則

交通ルールに違反してしまった場合、「反則金を支払えば済む」などと軽く考えていませんか?
実は、道路交通法違反には刑事罰が科されるケースもあり、内容によっては前科がつく可能性もあります。
スピード違反や信号無視、スマホのながら運転、無免許運転、あおり運転などさまざまな行為が道路交通法により規制されていますので、どのような違反をするとどの程度の罰則が科されるのかを理解しておくことが大切です。
今回は、道路交通法違反となる具体的な行為とそれに対する罰則を詳しく解説します。
1.道路交通法違反とは?
道路交通法違反とは、道路交通法に定められたルールに違反した行為を指す言葉です。
この法律は、道路における安全と円滑な交通を確保することを目的としており、すべてのドライバーが守るべき義務が詳細に規定されています。
道路交通法には、次の段落で説明するようにさまざまな行為が規制されています。反則金や行政処分だけで済むケースもあれば、違反の程度によっては刑事罰(罰金や拘禁刑)を受け、前科がつく可能性もあります。
「道路交通法違反なんて反則金を支払えば済む」などと軽く考えてはいけません。重い刑罰が科される可能性もありますので、違反行為と罰則を知り、安全運転を心がけるようにしてください。
2.道路交通法違反となる具体的な行為
以下では、特に身近な違反行為を取り上げて説明します。
(1) スピード違反
ご存知の通り制限速度を超過して走行する行為です。
速度超過の程度に応じて反則金や刑事罰が科され、30km/h(高速道路では40km/h)を超えると「刑事処分」の対象となります。
(2) 信号無視
赤信号や点滅信号を無視して交差点に進入する行為です。
軽微な場合は反則金ですが、重大な事故につながった場合には刑事処分となることもあります。
(3) 一時停止違反
「止まれ」の標識がある場所で停止しない行為です。
交通の流れに関わらず、標識のある場所では必ず完全に停止する必要があります。
(4) 携帯電話使用違反
運転中にスマートフォンを使用する行為(通話・操作・画面注視)です。これに違反すると反則金と違反点数の対象となります。
また、これが原因で事故を起こした場合は、懲役刑も科される可能性があります。
(5) 進路妨害
他の車両の進路を不当に妨害する行為です。
あおり運転の一環として扱われる場合もあり、悪質なケースでは妨害運転罪が適用される可能性もあります。
(6) 通行禁止違反
「車両通行止め」などの規制がある道路に進入する行為です。
標識を見落とすケースは多いため、注意が必要です。
(7) 報告義務違反
交通事故を起こした際に、警察への報告を怠る行為です。
特に、人身事故の場合には救護義務違反にもつながる重大な違反になります。
(8) 無免許運転
免許を持たない人が車両を運転する行為です。
無免許運転は、厳しい刑事罰の対象となります。拘禁刑や罰金に加え、再犯の場合には実刑となる可能性もあります。

[参考記事]
無免許運転で交通事故を起こした場合の罰則
(9) あおり運転
車間距離を極端に詰めたり、幅寄せや急ブレーキを繰り返したりする行為です。
2020年の法改正で厳罰化され、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)が科されます。
その他、重大な交通事故事件とされる飲酒運転、酒気帯び運転、ひき逃げなどについては、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]
飲酒運転で逮捕後の流れ|実刑を避け執行猶予にできるか

[参考記事]
ひき逃げの罪|必ず逮捕・起訴されるのか?
3.道路交通法違反のペナルティ
道路交通法に違反すると、「刑事罰」と「行政処分」という2つのペナルティが科される可能性があります。
(1) 刑事罰
悪質または重大な違反(無免許運転・あおり運転・重大事故など)は、刑事事件として扱われます。
有罪判決が下れば罰金刑や拘禁刑が科され、前科がつくことになります。
なお、反則金と異なり、「罰金刑」は前科扱いとなります。たとえ実刑にならなくても、将来的な就職・転職、資格取得の際に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 行政処分
反則金とは、比較的軽微な違反に対して科される金銭的な制裁です。反則金と罰金が定められている違反行為に関しては、反則金を支払うことにより刑事罰を免れることができます。
反則金が科される場合、一般的には違反点数も加算されますので、累積点数が一定の基準に達すると、免許停止や免許取消しといった行政処分の対象にもなります。
4.道路交通法についてご不明な点は弁護士へ相談を
たとえ軽微な違反でも、交通事故につながれば刑事事件に発展する可能性があります。
また、警察の取調べ対応や刑事裁判の準備が必要な場合、早期に弁護士へ相談することが重要です。
特に以下のような場合は、刑事弁護の専門家である弁護士のサポートが役立ちます。
- 違反の内容について納得できない
- 前科を避けたい
- 免許停止、取消処分に不安がある
- 事故の相手方との示談交渉が必要
泉総合法律事務所事務所では、刑事事件を専門に取り扱っており、交通違反に関する刑事弁護も多数実績があります。
ご自身やご家族が道路交通法違反をしてしまいお困りの場合は、お早めにご相談ください。