痴漢をしてしまい自首をしたい場合の弁護士依頼

「つい魔が差して痴漢行為をしてしまい、目撃者の手を振り切って逃げてしまった」
このような状況の方は、深い罪悪感と今後への不安で心が押しつぶされそうになっているのではないでしょうか。
事件現場からの逃走に成功したものの、被害者の方への申し訳なさと、いつ逮捕されるかわからない恐怖・不安に日々怯えて過ごしている、という痴漢被疑者の方からの相談は、実は少なくありません。
現在、痴漢行為に関する自首を検討されているのであれば、それは勇気ある決断と言えます。自首をすれば法的に有利に働き、減刑が望める可能性もあります。
ただし、自首の方法やタイミング、その後の対応を誤ると、かえって不利な状況を招くリスクもあります。
痴漢の自首に関しては、一人で抱え込んで苦悩するのではなく、まずは刑事事件に精通した弁護士にご相談ください。
1.痴漢事件について
(1) 痴漢行為は何罪になる?
痴漢行為は、その態様により複数の犯罪に該当する可能性があります。
最も多いのは各都道府県の迷惑防止条例違反です。
より悪質な場合、刑法第176条の不同意わいせつ罪が適用されることもあります。
痴漢行為の罪名・刑罰については、以下のコラムで詳しく解説しています。

[参考記事]
痴漢は何罪になる?刑罰と逮捕後の流れを解説
現代の捜査技術は極めて高度で、防犯カメラの映像解析、ICカードの利用履歴、携帯電話の位置情報などにより、痴漢後に逃走しても高い確率で身元が特定されると考えるべきです。
(2) 痴漢をして逃げるリスク
電車やバスなどで痴漢をし、被害者や目撃者、駅員などにバレた上で現場から逃走することは、状況を悪化させるリスクが大きいです。
というのも、逃走により「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」があると判断され、逮捕および勾留される可能性が高くなります。
通常の痴漢事件は在宅事件として処理される可能性が高いのに対し、現実に逃走しているとなると、逮捕・勾留により身柄拘束をするべきと判断される可能性が高くなります。
こうなると、身体拘束が長期化し、勤務先や学校に痴漢の事実が発覚するおそれが出てきます。

[参考記事]
勾留とは?勾留要件・期間・流れ・対応策を解説
2.痴漢で自首をするメリット・効果
痴漢事件において自首を行うことは、法的にも心理的にもメリットがあります。
(1) 自首による刑の減軽効果がある
刑法第42条には「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」という規定があります。
自首をすると、裁判官の裁量により刑が軽減される「可能性がある」ということです。
つまり、自首をすることで実刑を避け執行猶予を獲得できたり、罰金刑に留められたり、そもそも起訴猶予処分(不起訴)にしてもらえたりする可能性があるのです。
(2) 処分の判断時に有利な情状となる
前段の刑法条文以外にも、自首をしたという事実は警察官や検察官、裁判官に対して良い印象を与えるのは言うまでもありません。
自首により自らの意思で責任を取る姿勢を示すことは、真の反省と更生への強い意志を表すものであると言えるため、警察・裁判所からの評価も変わってきます。
特に痴漢事件などの性犯罪では、被害者の被害感情への配慮が処分決定において重視されます。
痴漢の現場から犯人が逃走した場合、被害者は「また痴漢されるかもしれない」という恐怖や不安を長期間抱え続けることになり、その心理的負担は計り知れません。
しかし、自首により自らの行為を認め、真摯な謝罪の意思を示すことで、被害者の心情に一定の安堵をもたらすことができます。
この事実は、痴漢事件の示談交渉においても有利に働きます。
自首をしたことで被害者の処罰感情が和らいでいれば、結果として示談成立の可能性も高くなります。

[参考記事]
弁護士なしでの示談はリスク大!示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
(3) 被疑者の精神的負担が減る
刑事犯罪からの逃走を続けることで、罪悪感と恐怖は日々増大するものです。いつ逮捕されるかわからない不安の中で生活することは、被疑者本人の精神面に大きな負担をかけます。
自首・出頭したら、このような張り詰めた生活から解放されます。たとえ留置所や刑務所に行くことになっても、ずっと気が楽でしょう。
3.痴漢で自首前に弁護士相談するべき理由
自首自体は自力でもできるものですが、事前に弁護士に相談し、自首の同行をしてもらうことをお勧めします。
(1) 自首のタイミングが分かる
自首のタイミングは重要です。
自首は単に警察署に出向けばよいというものではありませんので、最適なタイミングを見極めることが、その後の手続きや処分に大きな影響を与えます。
例えば、被害届が出されていない(警察の捜査が開始していない)段階での自首は、そもそも自首をしなければ捕まらない可能性があると言えます。「痴漢をして怖くて逃げたが、誰にもバレていないかもしれない」という状況ならば、自首をすることは却ってデメリットになるかもしれません。
一方、既に捜査が開始されおり、犯人が誰であるかは発覚していない段階の自首であれば、自首により在宅事件として処理される可能性が高くなります。
防犯カメラの映像解析や目撃者の聞き込みなどによりいずれ身元が特定される可能性が高いならば、なるべく早いタイミングで自首をするべきかもしれません。
経験豊富な弁護士であれば、事件の性質、証拠の状況、捜査の進展度合いなどを総合的に判断し、最も有利になる自首のタイミングをアドバイスできます。
※自分が罪を犯したことが既に発覚しており、手配されている状態で警察に行っても「自首」は成立しません。

[参考記事]
自首のやり方と成立要件|出頭との違い
(2) 事前準備のアドバイスを受けられる
自首の際には、取り調べに関する供述内容について事前に考え、持参すべき書類の準備・身の回りの整理をしておくことも重要です。
自首の後に行われる取り調べでの供述内容は、その後の刑事手続きにおいて重要な証拠となります。ここで感情的になったり、不正確な供述をしたりしてしまうと、後から訂正することは非常に困難になります。
取り調べ時の受け答えに関して弁護士と事前に打ち合わせをしておけば、正確かつ適切な供述ができるようになり、逮捕・勾留の可能性も低くなります。
また、弁護士は個別の事案に応じて、上申書や反省文など、必要な準備書類をサポートしてくれます。
これにより、自首当日の取り調べ時間を短縮できるだけでなく、自首したという事実の証拠として後に利用できます。
他にも、自首をしたその日のうちに逮捕されることを考えると、周囲への事前の連絡や身の回りのもの・お金の準備などが必要です。
弁護士ならば、何をどう準備すれば良いかを適切に教えてくれます。
(3) その後の刑事弁護も任せられる
自首は刑事手続きの始まりに過ぎず、その後も取り調べ、検察官による処分決定、場合によっては裁判まで続きます。
自首前から弁護士に依頼することで、事件処理を一貫して任せることができますので、より有利な結果を期待できます。
取り調べの段階では、弁護士が適切なアドバイスを提供し、不利な供述を避けることができます。黙秘権の行使や供述調書への署名・押印についても、法的知識に基づいた判断が可能になります。
また、弁護士が代理人として被害者との示談交渉を行うことで、適切な示談条件での合意を目指すことができます。
検察官による処分決定に際しても、弁護士は起訴猶予処分を求める意見書を提出したり、執行猶予を求める弁護活動を行なったりします。
万が一起訴された場合でも、弁護士は最後まで被疑者の味方としてサポートをしてくれます。
4.痴漢の自首は泉総合法律事務所へ
痴漢行為は、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪として刑事責任を問われる犯罪です。発覚すれば刑事罰だけでなく職場での懲戒処分のおそれがあるなど、人生を一変させる事態を招く可能性があります。
しかし、このような状況だからこそ、適切な対応により被害を最小限に抑え、真摯な反省と償いの姿勢を示すことが重要になります。
泉総合法律事務所は、自首への同行を行なっているだけでなく、刑事事件に非常に力を入れており、警察に逮捕された後の対応・被害者との示談交渉も万全の体制で執り行っております。
お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。