メルカリの詐欺で訴えられた場合の対処法|チケット詐欺・コピー商品

メルカリでの取引において、「コピー商品を売ってしまった(正規品と偽る詐欺をした)」「写真や説明文とは異なる商品を発送した」「チケット等を違法に転売した」という場合、刑事犯罪として訴えられてしまうケースがあります。
時には、商品説明の不備などが原因で意図せず法的トラブルに発展することもあるでしょう。
本コラムでは、メルカリで詐欺容疑をかけられた際の適切な対処法と、トラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。
1.メルカリで詐欺として訴えられる主なケース
メルカリで出品・購入をする際、以下のような行為が詐欺・商標法違反として多くニュースなどに取り上げられています。
- 商品の破損・不備を予告せず販売した
商品に傷や汚れ、機能不良があるにも関わらず、商品説明欄に記載せずに販売するケースです。中古品を新品と偽るケースもあります。購入者が期待していた状態と大きく異なる場合、詐欺として訴えられる可能性があります。 - 出品していた商品とは全く別のものを送付した
「外箱のみ」「◯個セット」を分かりにくく記載するなど、写真や説明文とは完全に異なる商品を発送する行為です。仮に意図的でなくても、発送ミスが重なると計画的な詐欺行為と疑われます。 - コピー商品・偽物を販売した(商標法違反)
ブランド品の偽物やコピー商品を正規品として販売する行為です。これは商標法違反にあたり、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金が科される可能性があります。 - チケットを不正に転売した(チケット不正転売禁止法違反)
転売禁止チケットを定価以上で販売する行為は、2019年施行の法律により、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される違法行為として厳格に取り締まられます。 - 届いた商品を返品する際、別の商品にすり替えた
正規品を受け取った後、何らかの理由をつけて返品を申し入れ、偽物や類似品と交換してから返品する悪質な手口です。購入者側が加害者となるケースで、詐欺罪が適用される場合があります。 - 商品が「届いていない」と虚偽の主張をして支払いを拒否した
実際には商品を受け取っているにも関わらず、配達されていないと嘘の申告をして代金支払いを拒否する行為です。明確な詐欺行為として刑事責任を問われます。
メルカリの仕組みとしては、購入者(落札者)は先に商品代金を支払い、そのお金はメルカリが一時的に預かります。
その後、商品が購入者に届き中身を確認した後(受け取り評価をした後)、販売手数料が差し引かれた残高が出品者に入金される仕組みです。
(※中には商品受け取り前に理由をつけて受取評価を要求する詐欺手口もあります。)
よって、「購入された品物を発送しない」「購入した商品を受け取り後も購入代金を払わない」という詐欺行為がメルカリにおいて発生しても、システム上は取引キャンセルなどで処理できる仕組みになっているのです。
しかし、メルカリ以外のフリマサイトやオークションサイトでは、「購入された品物を発送しない」「購入した商品を受け取り後も購入代金を払わない」という詐欺行為が発生するケースも見られます。
2.メルカリ詐欺で訴えられた際の正しい対応
メルカリでの取引について詐欺・商標権侵害などの疑いをかけられた場合、慌てずに冷静に対応することが大切です。
感情的になって相手に反論したり、証拠隠滅を図ったりする行為は状況を悪化させるだけでなく、新たな罪に問われる可能性もあります。
特に、ご自身にその意図がない行為(商品が偽物であると認識していなかった等)だったならば、警察や相手方からの通知を受けた際にしっかりと事実関係を整理することから始めるべきです。
(1) メルカリから警告が入る
メルカリで問題のある取引が発生し、相手方がメルカリに問い合わせた場合、まず運営が事実関係を確認する調査を行い、その上で加害者側に利用制限や警告に関するメッセージが送られてくることがあります。
不誠実な対応があったり、再三の警告を受けても従っていなかったりすると、アカウントの一時停止・永久停止などの措置が実施されます。
一方で、この段階で適切に対応すれば、警察沙汰への発展を防げる可能性があります。
警告を受けた際は、速やかに誠実な対応を取りましょう。商品を返送する、メルカリによる返金対応に協力する、丁寧な謝罪を行うなどが重要です。
事実と異なると主張したい(否認したい)場合には、メルカリ事務局への異議申立ても可能ですが、事実に基づいた客観的な説明を心がけなければなりません。
メルカリを介しての解決が困難な場合や、相手方が刑事告発を示唆している場合は、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

[参考記事]
刑事告訴されたらどうなる?手続きの流れをわかりやすく解説
(2) 詐欺行為・チケット詐欺の場合
メルカリでの事件であるかどうかを問わず、詐欺罪が成立するためには、「人を欺き」「被害者がその議網行為により錯誤の状態に陥っており」「騙されたことにより財産の交付が行われており」「実際にその財物が加害者の手に渡っている」という4つの要件と、それらの間に因果関係があることが必要です。
詐欺の量刑は、被害者の人数や被害額の大きさなどによって変動します。
被害額が少額で被害者は1人だけ、というようなケースであれば、起訴前に示談を成立させることで不起訴になる可能性もあります。
→詐欺の弁護
詐欺の中でも特に頻発しているのは、チケット詐欺です。
なかなかチケットが手に入らないコンサートなどのチケットを、実際には持っていないのに「行けなくなったので譲ります」などと言い出品するのです。これも当然ながら詐欺行為になります。
また、国内で開催されるコンサート・イベントなどのチケットについては、チケット不正転売禁止法により定価を超える価格での転売をすることが禁止されています。
「レアなチケットだから少しぐらい上乗せしても売れるだろう」と思い、定価以上の価格でチケットを転売した結果、チケット不正転売禁止法違反に問われることがあります。
チケット不正転売禁止法違反では、特に「業として」行っていたかどうかが重要な争点となります。そこで、チケットの購入履歴、販売時の商品説明、購入者とのやり取り、他の販売実績や収益状況などの資料を整理しておきましょう。
このように法律に抵触する行為を行なってしまった場合は、速やかに刑事事件に精通した弁護士へ相談することをお勧めします。
(3) 商標権違反の場合
ブランド物の商品の偽物・コピー製品は、製造することはもちろん、譲渡などの目的で所持すること、譲渡(販売)することも禁止されています。これは「商標権」という権利によるものです。
ただし、これらを譲渡、販売、輸出、輸入する行為については故意犯なので、犯罪事実の認識がなければ犯罪は成立しません。
つまり、「本物だと思い込んで販売した」というようなケースでは、商標権侵害は犯罪とならないのです。
とはいえ、「故意がなかった」という点を自力で証明することは難しいので、弁護士などの助けが必要不可欠です。
もちろん、偽物と知った上で販売した場合は、早期に商標権者との示談をまとめなければ刑事処分が厳しくなる危険性があります。この場合もやはり刑事事件に強い弁護士に相談することがおすすめです。

[参考記事]
商標法違反の罰則|罪に問われるとどうなるか?
3.被害者との示談交渉の重要性
(1) 示談成立のメリット
詐欺事件において、被害者との示談の成立は、刑事処分に大きな影響を与えます。
つまり、検察官が起訴・不起訴を判断する際、被害者との示談が成立し被害弁償が完了しているという事実は、被疑者の量刑を決める上での重要な考慮要素となるのです。
特に初犯で被害額が小さい場合は、示談が成立していれば不起訴処分となる可能性もあり、このケースでは前科がつくことを避けられます。
仮に起訴された場合でも、示談が成立していることは減刑の一要素になり得ますので、執行猶予付き判決を得られたり、罰金刑に減軽されたりすることが期待できます。
さらに、示談書に、「今後は本件に関する一切の請求権を放棄する」旨の条項を盛り込むことで、後日の追加請求や民事訴訟のリスクを回避できます。
(2) 示談交渉のポイント
被害者との示談交渉は、必ず弁護士を通じて行うべきです。
仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、直接交渉をすると些細な発言が「脅迫だ」「口止めしようとしている」などと誤解されるリスクがあり、交渉が難航する可能性が高いです。
また、法的知識なしに交渉すると、過度に高額な示談金を要求される恐れや、不利な条件を受け入れざるを得なくなってしまう恐れがあります。
交渉では、まず被害の実態を正確に把握し、相手の要求が過大でないか検証することが重要です。分割払いの提案や、早期解決による減額交渉も有効な手段です。ただし、示談金を過度に値切ると交渉が決裂する恐れもあるため、専門家のアドバイスに従って適切な落としどころを見つけることが成功の鍵となります。
メルカリ詐欺の示談金相場は、被害額(騙し取った金額)に加え、さらに慰謝料として+30万円程度が一般的です。
5.詐欺事件の対応も泉総合法律事務所へ
メルカリは利用者も多く、些細なきっかけから詐欺行為を行なってしまう方も少なくありません。
しかし、メルカリの詐欺も立派な刑事犯罪であり、告訴されたならば適切な初期対応が極めて重要です。
弁護士に依頼することで、不起訴や執行猶予などの最善の結果を得られる可能性が高くなります。
一人で抱え込まず、まずは法律相談を受けることから始めてみてください。