不同意わいせつ罪で示談しないとどうなる?示談を拒否されたら
不同意わいせつの加害者(被疑者)として捜査を受けている方やそのご家族にとって、示談の行方は今後の処分を左右する重大な問題です。
不同意わいせつ罪は非親告罪のため、示談が成立しなくても起訴される可能性はありますが、一方で示談の有無は不起訴処分や量刑の判断に大きく影響します。
しかし、被害者が示談に応じてくれないケースも決して珍しくありません。
本コラムでは、示談をしなかった場合に想定されるリスク、被害者に示談を拒否されたときの対応方法、そして弁護士に示談交渉を依頼すべき理由について、わかりやすく解説します。
1.刑事事件で示談しないとどうなるのか
不同意わいせつ罪で検挙された場合、被害者との示談が成立するかどうかは、その後の処分に大きく影響します。示談をしないまま手続きが進むと、被疑者には重い処分が下される可能性が高いのです。
まずは、示談の不成立により想定される主なリスクを整理します。
(1) 起訴され、前科がつく可能性が高まる
刑事事件では、被害者との示談が成立していることが、検察官の起訴・不起訴の判断において有利な事情として考慮される傾向にあります。
逆に示談が成立していない場合、被害者の処罰感情が強いと受け止められ、起訴に至る可能性が高まります。
不同意わいせつ罪で起訴され有罪が確定すれば、「前科」がつきます。前科があることは、就職や資格、その後の生活に長期的な影響を及ぼしかねません。
(2) 実刑・重い量刑につながるおそれがある
不同意わいせつ罪の法定刑は、「6か月以上10年以下の拘禁刑」と定められています。
仮に示談が成立していないまま裁判となった場合、被害者への慰謝の措置が講じられていないと評価され、量刑上不利に働くおそれがあります。
一方、示談が成立し被害者の宥恕(被疑者を許す意思)が得られていれば、執行猶予や量刑の軽減につながる情状として考慮される可能性があります。
示談の有無が、実刑か執行猶予かの分かれ目になるケースも少なくありません。
(3) 逮捕・勾留が長引くリスクがある
示談が成立していない段階では、被害者との接触による証拠隠滅や、再犯のおそれがあると判断されやすく、身柄拘束が長期化する傾向があります。
逮捕・勾留が続けば、その間は仕事や日常生活から離れざるを得ず、職場や家族に事件を知られてしまうリスクも高まります。
被害者との示談が進み、被害者側が処罰を望まない意向を示すことは、身柄解放を求めるうえでも重要な要素の一つとなります。

[参考記事]
勾留とは?勾留要件・期間・流れ・対応策を解説
(4) 社会的信用を失うおそれがある
刑事事件が長引いたり起訴されたりすることで、勤務先への発覚、報道、家族関係への影響など、社会的な信用を大きく損なうおそれがあります。
示談を早期に成立させることは、事件の早期解決を図り、こうした二次的な不利益を最小限に抑えるうえでも意味を持ちます。
2.示談成立が「処分」に与える影響
不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる「非親告罪」です。
そのため「示談さえすれば必ず不起訴になる」というわけではありません。

[参考記事]
親告罪とは?非親告罪との違いをわかりやすく解説
しかし、先述の通り、示談の成立は検察官の処分判断や裁判での量刑に有利な事情として考慮される重要な要素とされています。
まず、検察官は、起訴・不起訴を判断するにあたり、被害の弁償や被害者の処罰感情を重視するといわれています。示談が成立し、被害者が「加害者を許す」という宥恕の意思や、処罰を望まない意向を示していれば、起訴猶予(不起訴の一種)となる可能性が高まると考えられます。
不起訴となれば前科はつきません。
また、量刑が軽くなる可能性もあります。仮に起訴された場合でも、示談の成立は量刑上有利な情状として考慮されます。
被害者への謝罪と賠償が済み、宥恕が得られていることは、執行猶予や刑の軽減を判断するうえで重要な材料となり得るのです。

[参考記事]
刑事事件の示談の流れ|示談をするメリット・効果とは?
3.不同意わいせつ罪の示談を拒否された場合の対応
現実には、被害者が示談に応じてくれるとは限りません。特に不同意わいせつ罪のような性犯罪では、被害者の精神的な負担が大きく、以下のような理由から示談を拒否されるケースは決して珍しくありません。
- 被疑者への強い処罰感情や恐怖心がある
- 被疑者本人やその家族と関わりたくない
- 提示された示談金の額に納得できない
しかし、拒否されたからといって、打つ手がなくなるわけではありません。
一度は断られても、交渉の進め方や時間の経過によって状況が変わることもあります。
(1) 示談交渉は弁護士に依頼するべき
示談を拒否された場合こそ、弁護士が重要になります。
そもそも、被疑者本人が被害者と直接交渉することは、事実上不可能です。被害者の連絡先は被疑者側に知らされないことが一般的であり、仮に接触を試みれば、被害者にさらなる恐怖を与える二次被害や、証拠隠滅を疑われて身柄拘束が長引く事態を招きかねません。
弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者側と連絡を取ることができ、被害者の警戒心を和らげながら、冷静に交渉を進めやすくなります。
一度は拒否された場合でも、被害者の心情に配慮した誠実な対応や、条件を調整した提案によって、示談が再度検討してもらえることもあります。
適切も交渉を進めるためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

[参考記事]
弁護士なしでの示談はリスク大!示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
(2) 示談以外で情状を積む方法
示談が成立しない場合でも、被害者への謝罪や反省の姿勢を示す方法はあります。
たとえば、被害弁償金を法務局に預ける「供託」、反省の意を社会に還元する「贖罪寄付」、反省文の作成・提出などが挙げられます。
こうした措置は、示談が成立していなくても、被疑者が誠実に事件と向き合っていることを示す情状として、処分や量刑の判断で考慮される可能性があります。

[参考記事]
贖罪寄付・供託の効果|本当に不起訴になるのか?
4.まとめ
不同意わいせつ罪において、示談が成立するかどうかで最終的な処分内容を大きく変わります。
- 示談をしないまま手続きが進むと、起訴・前科・実刑・身柄拘束の長期化といったリスクが高まる
- 示談の成立は、不起訴や量刑の軽減につながる有利な事情として考慮される
- 示談を拒否されても、供託や贖罪寄付など、誠意を示す方法は残されている
- 被疑者本人による直接交渉は事実上困難であり、弁護士を通すことが現実的である
不同意わいせつ罪の示談交渉には、被害者の心情への配慮や、法的な手続きに関する専門的な知識が欠かせません。被疑者やそのご家族だけで抱え込まず、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが、事件の早期解決につながります。
泉総合法律事務所では、刑事事件に関する初回無料相談を承っております。
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