酔って暴力を振るったが記憶がない!泥酔した暴行事件の弁護

「酔っ払って他の客と喧嘩になり、殴ってしまった」「帰り道に知らない人に暴力を振るってしまったが、泥酔していて覚えていない」「家族が酔って傷害事件を起こしたと警察から電話があった」といった刑事事件のご相談は少なくありません。
しかし、たとえ本当に酔って記憶がなかったとしても、それを理由に責任を免れることはありません。「覚えていない」と犯行を否認すると、そのまま逮捕されてしまう危険が極めて高いです。
この記事では、酔って暴力を振るってしまった場合の暴力事件(暴行・傷害)で逮捕・起訴されるケースと、その刑事弁護について解説します。
被害届を出されてしまった方、ご家族が逮捕された方は、本記事をご覧の上で刑事弁護の経験豊富な弁護士への相談・依頼をご検討ください。
1.酔って暴力を振るったら逮捕されるのか
普段は真面目で温和な人であっても、意識もうろうとするほどに泥酔をしてしまうと暴力事件や痴漢事件を起こしてしまうことがあります。
実際、泉総合法律事務所にも、特に金曜日の夜(深夜)から土日にかけて、「会社の帰りの飲み会で酔っ払い暴力を振るってしまい、警察を呼ばれた」という相談が舞い込むことが少なくありません。
実は、暴力事件に限らず、刑事事件を起こした時には必ず逮捕されるとは限りません。
逮捕されるか否かは、事件の悪質性・計画性や被害状況、被疑者の立場(逃亡や罪証隠滅の恐れがあるかどうか)などによるため、場合によっては検挙されても身元確認後にすぐに釈放してもらえることもあります(この場合、以降は在宅事件として捜査が進んでいきます)。
しかし、相当な量の飲酒をしているなど、泥酔状態ならば犯行を覚えていないケースも多いです。こうなると、警察官としては逃亡や罪証隠滅の恐れがあると判断することが多いです。
被疑者が事件当時のことを覚えておらず、「やっていない」「向こうが先の暴力を振るってきた」などと容疑を否認してしまうこともあるでしょう。
このような場合、警察官は逮捕に踏み切り、翌日以降に(酔いが覚めた状態で)被疑者を取り調べるなどの調査を開始すると思われます。
逮捕の後は、48時間以内に検察庁に身柄が送致されます(=送検)。
目撃証言や防犯カメラなどの映像から暴力事件への関与が明らかであるにも関わらず、検察官からの取り調べの際にも、「酔っていて記憶がない」「確かに泥酔はしていたが、そのようなことはしないはずだ。相手方の勘違いではないか」などと主張していると、検察官は反省していない・釈放したら逃亡する恐れがあると判断し、その後も逮捕に続く勾留を裁判官に請求する可能性が高くなります。
(逆に言えば、泥酔状態であったとしてもしっかりと罪を認めて反省をしている場合は、勾留請求されず釈放となる可能性もあります。)
逮捕後の勾留は、延長を含めると最大で20日間も続きます。
2.酔っ払って記憶がない事件の刑事弁護
刑法39条には、「心神喪失者の行為は、罰しない。」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」という規定があります。
しかし、泥酔して意識もうろうとしている状態が「心神喪失」「心神耗弱」と判断される可能性は極めて低いです。
酔っ払って覚えていないと言っても、被害者とトラブルを起こし暴力を振るっているという時点で、その当時の意識はあったものと判断されます。
お酒のせいで犯行当時の記憶がない場合でも、犯罪は成立すると考えましょう。
よって、現実に暴力事件を起こしてしまったならば、通常の暴力事件と同様でしっかりと対応をしなければ逮捕・起訴のリスクが大きくなります。
※仮に、客観的な証拠もない状態で本当に暴力を振るっていないと主張するならば、弁護士と話し合いながら最適な対応を考えていく必要があります。
(1) 逮捕・勾留からの早期釈放
先述の通り、容疑を否認するなどで逃亡・罪証隠滅の恐れがあると判断されると逮捕され、そのまま長期間の勾留となってしまう可能性があります。
特に泥酔状態で警察を呼ばれたならば、逃亡を阻止するためにも警察は被疑者を逮捕するのが通常です。
逮捕後は、家族であっても被疑者と面会することができません(家族や親戚などが面会できるようになるのは勾留後になります)。
よって、家族を逮捕したという連絡を受けた家族は、早急に弁護士に依頼をすることをおすすめします。
弁護士は、逮捕中であっても唯一被疑者と面会をすることができます。
そこで、事件について詳しく聞き取りをし、事件の概要について理解した上で、今後の見通しを立て、取り調べの注意点について被疑者にアドバイスすることが可能です。さらに、家族からの伝言を被疑者に伝えることもできます。
酔って覚えていなくても、暴力事件を起こしたことが確実であるならば、真摯に反省して警察の捜査に協力しなければなりません。
とはいえ、覚えていないことに関して「確かに暴力を振るいました」などと嘘の供述をする必要はありません。
弁護士ならば、事件の状況に合わせた対応方法について適切にアドバイスすることが可能です。
これにより、逮捕に続く勾留を阻止できる可能性があります。
仮に勾留請求・勾留決定がされてしまったとしても、勾留の取り消しなどを求めて全力で弁護活動を行います。
(2) 被害者と示談交渉を行う
暴力事件を含め、被害者がいる刑事事件で重要なのは被害者との示談を成立させることです。
被害者に対して真摯に謝罪し、暴行・傷害に関する慰謝料や治療費等を支払うことで被害者に許してもらい、これにより被害回復をしたことを検察官に証明できれば、検察官も不起訴処分としてくれる可能性が高くなります。被害感情が強くたとえ示談に応じてもらえないような場合でも、損害賠償金を渡し被害弁償をすることができれば、それが量刑に関して良い情状となります。具体的には、起訴をされても罰金刑に止まったり、執行猶予がついて実刑を回避できたりする可能性があります。
さらに、勾留中であるならば、示談が成立することですぐに釈放される可能性が高いです。
しかし、被害者は当然ながら被疑者に対して強い恐怖心や怒りを抱いているため、被疑者から直接連絡があるとそれだけで「脅されている」と感じてしまう可能性が高いです。暴力事件の示談はかなり高度な交渉事になると考えましょう。
また、被害者の連絡先を知らない場合、警察官や検察官などから被害者の連絡先を教えてもらうことになりますが、通常は報復や再犯のリスクを回避するため警察等は被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
そこで、暴力事件の示談交渉は弁護士に依頼をするべきです。
示談交渉に精通した経験豊富な弁護士なら、被害者の心情にも配慮して、代理人として適切に交渉を進めてくれます。さらに、被疑者の方に反省文や謝罪文の書き方についてアドバイスをすることも可能ですので、被害者の方にも真摯な反省の気持ちが伝わるでしょう。
→ご相談内容「示談したい」
なお、泥酔していたことにより示談金や慰謝料額が増減することはありません。
慰謝料額は被害者が受けた精神的ダメージに対する賠償金ですので、一般的には事件当時の状況や怪我の程度のほか、被害者の被害意識の大きさで判断されます。しかし、加害者が酔っていたことを理由に慰謝料を減らしてくれるという被害者はいないと思われます。
弁護士に示談交渉をお任せすれば、適切な金額での示談についても安心してお任せできます。
(3) 反省し、飲酒を控える姿勢を示す
お酒を飲むことで気が大きくなってしまう方や、怒りっぽくなってしまう方は少なくないかもしれません。
今回暴力事件を起こし警察沙汰になってしまったならば、そのことを反省し、飲酒を控える(断酒する、外では飲まない等)ことを被害者や検察官に約束することも有効です。
このような取り組みは、しっかりと反省しているという点を各所に伝えられるだけでなく、再犯防止のために努力しているという姿勢を示すこともできます。
同居家族がいるならば、「飲み会に行かせないようにする」「家でも酒を飲まないように見守るようにする」という監督をすることで、検察官も更生の可能性があると判断してくれます。
3.泥酔している状態での刑事弁護は泉総合へ
目撃者や被害者の供述・防犯カメラの映像などから暴行事件が明らかな場合は、例え暴力行為を覚えていなくとも、否認せずに反省し、被害者に謝罪し示談交渉をすることが得策と言えます。
否認をしたり、反省していないと見られる態度を取ったりしていると、逮捕・勾留をされてしまうリスクがあります。
最大で23日間も身体拘束されるとなると、学校や勤務先にも悪影響が出ます。解雇・退学などの不利益を避けるためにも、酔っ払って起こした暴力事件の弁護は弁護士にご相談ください。
弁護士は被害者との示談交渉だけでなく、逮捕・勾留された場合の釈放に向けた活動も行ってくれます。
不起訴を勝ち取ることができれば、前科もつかずに将来的な悪影響も避けられます。
酔っ払って暴行・傷害事件を起こしてしまった方、家族が暴力事件で逮捕されてしまったという方は、どうか一度泉総合法律事務所の弁護士・泉義孝にご相談ください。