不同意性交等罪で不起訴になる可能性は?不起訴・起訴の事例を解説
2023年の法改正により、従来の強制性交等罪などは「不同意性交等罪」へと統合され、処罰の要件が見直されました。
不同意性交等罪の嫌疑をかけられ、警察の捜査対象になったり家族が逮捕されたりした際、最も重要になるのが「不起訴処分」を得られるかどうかです。
なぜなら、日本の刑事裁判は一度起訴されてしまうと、ほとんどの場合で有罪となり前科がついてしまうからです。
実刑や前科を回避し、社会復帰を目指すためには、起訴前の迅速な対応が命運を分けます。
本コラムでは、不同意性交等罪で不起訴になる可能性や、処分の判断基準、実際の事例を解説していきます。
1.不同意性交等罪で「不起訴」が重要な理由
2023年7月の刑法改正により、従来の「強制性交等罪」や「準強制性交等罪」などが統合され、新たに「不同意性交等罪」が新設されました。
この法改正では、処罰対象となる行為の要件(「経済的・社会的地位の利用」や「心理的恐怖」など8つの要因)が明確化され、これまで以上に「同意のない性交渉」が厳しく処罰される仕組みへと変わっています。
この不同意性交等罪で捜査対象となった場合、弁護活動の最大の目標となるのが、検察官による「不起訴処分」の獲得です。
日本の刑事裁判においては、検察官に起訴されてしまうと、99%以上の確率で有罪となり前科がついてしまうと言われています。
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の拘禁刑」と非常に重く、原則として(減軽がない限り)執行猶予もつかないため、有罪=即実刑となるリスクが極めて高いのが実情です。
前科を回避し、これまでの生活を守るためには、裁判そのものを回避できる不起訴の獲得こそが最優先となります。

[参考記事]
不同意性交等罪とは?|刑法改正による変更点と構成要件
2.不同意性交等罪で不起訴になる可能性(確率)
不同意性交等罪の容疑で捜査を受けたり逮捕されたりすると、「このまま刑務所に入ることになるのではないか」と不安に思うかもしれません。
しかし、法務省の検察統計(犯罪白書など)によると、実際の不同意性交等罪(旧強制性交等罪などを含む)の不起訴率は約60〜67%前後で推移しています。
これは、検察官が最終的な処分を決定した事件のうち、約3人に2人が不起訴になっているという計算です。
参考:令和7年版 犯罪白書 第7編/第6章/第1節/2|法務省
「逮捕されたら人生が終わり」というイメージを持つ方も多いですが、実際のデータが示す通り、不起訴処分を得られる可能性は決して0ではなく、むしろ現実的な確率があるのです。
もちろん、この「約3人に2人」という数字は、すべてが冤罪(無実)というわけではありません。実際に行為自体はあったものの、弁護士を通じて被害者との間で示談が成立した結果、検察官が「今回は裁判にかけない」と判断したケース(起訴猶予など)が多く含まれています。
つまり、実際に不同意性交等罪を犯してしまった被疑者の方は、「逮捕=即実刑」ではないことを理解し、冷静かつ迅速に不起訴を目指すための対策を講じることが重要になります。
3.起訴・不起訴の判断基準
検察官が事件を裁判にかける(起訴する)か、あるいは起訴をせず事件を終了させる(不起訴にする)のかを決定するにあたっては、法的な基準以外にもさまざまな事情が総合的に考慮されます。
その判断基準は、大きく分けると「客観的な事実」と「事件後の対応」の2つの側面から評価されます。
(1) 客観的な証拠の有無と犯行の悪質性
まず検察官が重視するのは、裁判で罪を証明できるだけの「証拠」が揃っているか、そして犯行そのものがどの程度悪質かという点です。
性犯罪は密室で行われることが多いため、被害者の供述にどれだけ一貫性と信用性があるかが重視されます。
あわせて、事件前後のLINEやSNSのやり取り、防犯カメラの映像、当日の行動履歴といった客観的な証拠によって「不同意」であったことが立証できるかどうかが厳しくチェックされます。
また、行為に計画性があったか、悪質な文脈(経済的・社会的地位の利用など)があったかといった犯行の態様も考慮されます。
さらに、過去に同種の前科・前歴がない「初犯」であるかどうかも、判断を左右する重要な要素です。
(2) 処分を大きく左右する「被害者との示談の成否」
客観的な証拠が揃っており、実態として罪が認められるケースであっても、その後の対応次第で不起訴(起訴猶予)になる余地はあります。
その際、最も重要な要素となるのが「被害者との示談」です。
不同意性交等罪は被害者の心身に深い傷を負わせる犯罪だからこそ、被害者の処罰感情がどう変化したかが重視されます。
弁護士を通じて真摯に謝罪を尽くし、適切な慰謝料(示談金)を支払って示談が成立しているかどうかが最大のポイントです。
特に、示談書の中に「加害者を許す(宥恕:ゆうじょ)」「刑事処罰を望まない」という文言(宥恕条項)が含まれていれば、検察官が「これ以上の処罰は不要」と判断し、不起訴処分となる可能性が高まります。
4.どのようなケースで起訴・不起訴になるのか?
不同意性交等事件において、どのような事情があれば不起訴になり、どのような場合に起訴されてしまうのか。実際の現場でよく見られる具体的なモデルケースを比較してみましょう。
| 処分結果 | 具体的な事例イメージ | 主な理由・ポイント |
|---|---|---|
| 不起訴 | 酒席の勢いで互いに泥酔した状態での行為だったが、事後に真摯に反省し、被害者との示談が成立。 解決事例:泥酔して女性と飲食店の個室に入り不同意性交→示談にて不起訴 |
示談書において被害者側が処罰を望まない意思を示したため。 |
| 不起訴 | 相手も同意していると勘違いしていたが、早期に弁護士を通じて謝罪と被害弁償を行い、示談が成立。 解決事例:ホテルで友人と強制性交(現不同意性交)→被害届が出されたが示談・不起訴 |
被害者の心のケアを最優先に迅速な交渉を行い、最終的に処罰を望まない意思を得られたため。 |
| 起訴 | 元交際相手に対し、明確に拒絶されているにもかかわらず行為に及び、示談も拒否されている。 | 行為の悪質性が高く、証拠も揃っており、被害者の処罰感情が極めて強いため。 |
このように、「相手も同意していると思った」「お互いにお酒を飲んでいた」という言い分があっても、相手が精神的苦痛を感じて警察に相談した(被害届を提出した)以上、客観的には厳しい状況に立たされます。

[参考記事]
合意の上の性行為で訴えられた!不同意性交等罪で逮捕される可能性
しかし、そこから自分の非を認めて真摯に謝罪し、弁護士を通じてスピーディーに示談を成立させられれば、検察官は「当事者間で解決した」と判断し、起訴猶予(不起訴)にする傾向があります。
一方で、拒否されているのに無理やり行為に及んだケースなど、悪質性が高いと判断された場合は厳しく追及されます。
さらに、被害者の処罰感情が強く、示談交渉すら拒絶されてしまうような状況では、検察官が起訴に踏み切る可能性が非常に高くなります。
5.まとめ
不同意性交等罪の容疑をかけられた際、前科や実刑を回避するためには、検察官による「不起訴処分」の獲得が重要です。
そして、不起訴という最善の結果を勝ち取るためには、「被害者との早期の示談交渉」と、不利な供述調書を作らせないための「適切な取り調べ対応」も不可欠になります。
刑事事件はまさに「時間との勝負」です。一度逮捕されてしまうと、弁護士以外との面会は制限されたまま、勾留が決定するまで最長72時間という極めて短い制限時間の中で手続きがどんどん進んでいきます。
時間が経つほど示談のチャンスは失われ、起訴されるリスクは高まってしまいます。
「大切な家族が逮捕されてしまった」「警察から呼び出しを受けて不安でたまらない」という方は、一人で悩まず、一刻も早く刑事事件に強い弁護士・泉義孝へご相談ください。

[参考記事]
不同意性交等の刑事弁護全般

