検察 [更新日]2025年7月24日

東京地検特捜部とはどんな組織?

東京地検特捜部とはどんな組織?

ニュースやテレビドラマなどでも取り上げられることが多い「東京地検特捜部」ですが、具体的にどんなことをしている組織なのかをご存知の方は少ないでしょう。

今回は、「東京地検特捜部」について、どんな事件を担当しているのか、警察や検察との違いなどについて解説します。

1.東京地検特捜部の担当・役割

特捜部は「特別捜査部」の略称です。検察庁の中の1つの部署ですが、全国で東京、大阪、名古屋の3つの地方検察庁にしか設置されていません。
東京地検特捜部は、この3つの中の1つで、千代田区九段の合同庁舎内にあります。

東京地検特捜部は、汚職事件、脱税事件・経済事件などを担当します。公正取引委員会・証券取引等監視委員会・国税局などが法令に基づき告発をした事件に関しても独自の捜査を行います。

具体的には、贈収賄事件、企業の粉飾決算事件や大型詐欺、業務上横領、不正競争防止法違反、インサイダー取引、独占禁止法違反、投資詐欺などの被害が甚大で世間に大きな影響を与える事件、政治家や官僚、大企業の役員、悪徳弁護士などが絡む事件を担当しています。

これまでに特捜部が捜査した、政財界を中心とした大きな汚職や脱税事件としては、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件、多数の政治家・官僚らが関与した贈収賄事件であるリクルート事件、粉飾決算等が問題となったライブドア事件などが挙げられます。

2.警察官・その他の検察官との違い

事件の捜査をしていると聞くと、「東京地検特捜部がやっていることは、警察やその他の検察と一緒では?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

まず、警察は、第一次的な犯罪捜査機関であり、犯罪の証拠を集めます。
これに対し検察は、第二次的な捜査機関であり、警察が収集した証拠に基づき起訴するか・不起訴にするかを決める機関です。日本では検察にのみ起訴権限が与えられており、警察に起訴・不起訴の権限はありません。

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そして特捜部では、警察の捜査を介することなく、最初から最後まで特捜部だけで捜査を行うことに特化している点が、他の検察部署と異なっています。

一切警察の手を借りることはありませんから、特捜部に逮捕されると、警察の留置場を経験することはなく、身柄はただちに拘置所に置かれることになります。取り調べも拘置所に設置された取調室で行われます。

また、特捜部は他の事件と掛け持ちで複数事件を捜査をするということがありません。さらに、特捜部の検事や事務官はいわゆるエリートであり、事務処理能力が高いので、捜査の進度は速いです。被疑者が事実を争わないのであれば、特捜部が担当することで余計な時間をかけずに迅速に起訴まで漕ぎ着けることができます。

ただ、反面、特捜部の捜査・公判活動は、かなり「強引」と評する意見もあります。
実際、大阪地検特捜部が厚生労働省の幹部を虚偽公文書作成罪等で起訴した事件では、主任検事が被告人に有利な証拠を書きかえてしまうという、あってはならない不祥事を起こしており、大きな批判を受けています。

特捜部の捜査を受けるならば、このような強権的で不当な捜査手法を許さないよう、弁護士が徹底抗戦をすることが必要と言えます。

もっとも、このような負の歴史もありますが、それが特捜部の全てではないことも確かです。数多くの大きな不正事件を摘発してきた功績があることを忘れてはいけません。

3.脱税、背任、横領などの刑事事件は弁護士へ

特捜部が担当するかどうかはともかく、脱税や横領事件などで逮捕されそうな場合には、できるだけ早く弁護士にご依頼ください。

これらの犯罪について、証拠資料は段ボール箱数十箱にのぼることは通常です。これら資料を捜査機関に押収されてしまうと、細かい事実関係を把握することが難しくなるだけでなく、被疑者に有利な証拠も敵方に秘蔵されてしまい、著しく不利な立場となってしまいます。
一方、資料を押さえられる前であれば、来るであろう捜査や逮捕に備えて、有効な対応策を講じることもできます。

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