不同意性交等(強制性交等) [公開日]2026年7月16日

不同意性交等罪は実刑になる?量刑の平均を解説(執行猶予・拘禁刑)

不同意性交等罪は実刑になる?量刑の平均を解説(執行猶予・拘禁刑)
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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2023年の法改正により、従来の強制性交等罪は「不同意性交等罪」へと改められました。処罰の要件が明確化・整理されたことで、社会的な関心もこれまで以上に高まっています。

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もし不同意性交等罪に問われ、裁判で有罪判決を受けた場合、すぐに刑務所へ入る「実刑」になってしまうのでしょうか。
執行猶予がつく可能性や、実際の量刑の相場はどのくらいなのか、疑問や不安を抱く方も少なくありません。

本コラムでは、不同意性交等罪の法定刑の基本から、実刑と執行猶予の分かれ目、そして2026年から本格導入された「拘禁刑」による影響まで、量刑の現実を解説します。

1.不同意性交等罪の法定刑と執行猶予について

不同意性交等罪の法定刑は、「5年以上20年以下の有期拘禁刑」と定められています。かつての「強姦罪」の時代から法改正を重ね、刑罰の下限が「5年以上」へと厳罰化されました。

罰金刑の定めはなく、数ある犯罪の中でも罪の重さが非常に高く設定されていることが分かります。

日本の刑法において、執行猶予を付けられる条件は「3年以下の拘禁刑を言い渡す場合」と決まっています。

不同意性交等罪の法定刑は「5年以上20年以下の有期拘禁刑」ですので、基本通りに「5年」の判決が出た時点で、執行猶予を付けることは不可能です。
つまり、特別な事情がない限りは、不同意性交等罪で起訴されて有罪になれば自動的に実刑(刑務所への収容)になる仕組みになっています。

裁判で執行猶予を勝ち取るためには、裁判官に「酌量減軽(情状による刑の減軽)」を認めてもらい、判決の重さを本来の下限である5年から「3年以下(例えば2年6ヶ月など)」に引き下げてもらうという高いハードルを越えなければなりません。

そのため、十分な弁護活動を行わずに起訴されてしまえば、たとえ前科のない初犯であってもその多くが実刑判決となり、そのまま服役することになるというのが、不同意性交等罪の厳しい現実です。

2.不同意性交等罪の量刑の「平均」

同じ「不同意性交等罪」であっても、すべての事件が一律の刑期になるわけではありません。裁判所は事件に関するあらゆる要素を総合的に考慮し、5年〜20年の幅の中で具体的な量刑を決定します。

前述の通り、この罪の法定刑の下限は5年と設定されているため、特別な減刑理由がない限り、どれほど軽くても5年からのスタートとなります。さらに、初犯であっても犯行の手口や状況に悪質性が認められれば、6年や7年といったより重い刑期が言い渡されるケースは珍しくありません。

よって、不同意性交等罪で実刑判決が下されるケースで、実際の裁判における量刑の「平均」を一概に述べることはできません。

(1) 量刑の長さを左右する要因

量刑の長さを左右する要因は、主に以下のようなものです。

  1. 行為の悪質性:暴行・脅迫の度合い、そして被害者を精神的・肉体的にどれほど追い詰めたかという「犯行の手口」が厳しく評価されます。
  2. 被害の程度:被害者が受けた精神的トラウマの深さや、怪我(負傷)の有無などが量刑に関係します。
  3. 計画性の有無:突発的な犯行か、あるいは事前に執拗な準備や待ち伏せを行った「計画的な犯行」かによって、非難の大きさが変わります。
  4. 被告人の反省の態度:自身の罪を真摯に認め、十分に反省しているか、更生への意欲が見られるかといった「被疑者・被告人としての態度」も考慮されます。
  5. 示談の成否:被害者に対して誠実な謝罪と適切な賠償を行い、示談が成立しているか否かは最重要のポイントです。

(2) 被害者との示談の重要性

上記のような要因の中でも、判決の行方を最も大きく左右するのが「被害者との示談の成否」です。

原則として執行猶予がつかない本罪において、裁判官による酌量減軽を勝ち取り、刑期を3年以下に引き下げて執行猶予(実刑回避)を目指すためには、被害者との示談成立が実質的に不可欠な条件と言えます。

不同意性交等罪のような性犯罪では、被害者が受けた精神的苦痛や処罰感情が量刑で重視されます。そのため、加害者側が真摯に謝罪し、十分な被害弁償(示談金の支払い)を行って示談が成立している事実は、裁判所に対して「被害者の処罰感情が一定程度和らいだ」「実質的な被害回復が進んでいる」と示す強力な材料になるのです。

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3.執行猶予と拘禁刑について

このように原則として実刑判決となる不同意性交等罪ですが、刑の執行を一時的に猶予し社会内での更生を促す「執行猶予」が付くケースも皆無ではありません。
ただし、そのためには裁判官の裁量による「酌量減軽」が認められ、判決が執行猶予の絶対条件である「3年以下の拘禁刑」まで減軽される必要があります。

具体的には、前述した被害者との示談が成立し、被害者側から宥恕(許し)を得られていることに加え、前科がない初犯であることや、真摯に反省して更生環境が整っていることなど、強い酌量事情が揃った限定的なケースに限られます。

一方で、実刑判決を受けた場合の処遇についても大きな変化が生じています。従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した「拘禁刑」が2025年より本格導入されたことで、刑務所内での処遇方針が一新されました。
これまでは一律の刑務作業が中心でしたが、受刑者個々の特性や課題に応じた「指導や教育」を重視する方針へと変わっています。

不同意性交等罪で服役する場合も、単なる労役にとどまらず、再犯防止のための専門的なプログラムや心理カウンセリングなど、本質的な更生と社会復帰に向けた指導に重きが置かれる仕組みとなっています。

4.早期の弁護活動がもたらすメリット

不同意性交等罪は非常に重い罪であり、一度起訴されてしまえば実刑判決となる可能性が極めて高いのが現実です。
だからこそ、実刑を回避するため、あるいは少しでも量刑を抑えるために、事件直後からの迅速な弁護活動が何よりも重要になります。

刑事事件、特に性犯罪においては、時間の経過がその後の処分に決定的な影響を与えます。早期に弁護士に依頼することで、以下のようなメリットを得られます。

不同意性交等の刑事弁護全般

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(1) 被害者への迅速な謝罪と示談交渉

不同意性交等罪において、被疑者が被害者の連絡先を知らないというケースは珍しくありませんが、捜査機関は、被疑者本人やその家族に対してその被害者の連絡先を決して教えません。
第三者であり守秘義務を持つ弁護士でなければ、示談交渉のテーブルにつくことすら不可能です。

依頼を受けた弁護士が早期に真摯な謝罪と示談の申し入れを行うことで、示談成立の可能性を高めることができます。

仮に被害者の連絡先を知っている場合でも、被疑者本人が被害者に直接連絡を取ることは避けるべきと言えます。直接連絡を取ろうとすれば、「脅迫された」などと受け取られ、事態がさらに悪化しかねません。

(2) 逮捕や勾留の回避

事件の発覚直後から弁護士が介入し、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを客観的に示すことで、身柄拘束(逮捕とそれに続く勾留)を回避し、在宅のまま捜査を受けられる可能性が高まります。

さらに、事件が公になる前、あるいは警察が動き出す前の段階で示談が成立すれば、そもそも事件化を防ぐこともできるかもしれません。

(3) 不起訴処分の獲得(前科を回避)

検察官が起訴・不起訴の判断を下す前に示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性も高くなります。不起訴になれば裁判が開かれないため、実刑になることも前科がつくこともありません。

万が一、起訴を免れなかった場合でも、事件直後から被害者への被害弁償や再犯防止策(カウンセリングの受診や更生環境の整備)に真摯に取り組んでいた姿勢は、裁判において「酌量減軽」や「執行猶予」を勝ち取るための有利な判断材料となります。

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5.まとめ

不同意性交等罪は、有罪となれば原則として実刑判決を免れない重い犯罪です。減刑し執行猶予を勝ち取るためには、被害者との示談成立をはじめとする酌量事情を裁判所に示さなければなりません。

しかし、刑事事件の対応を個人やご家族だけで進めることは、事実上不可能です。被害者のプライバシーを守る観点からも、捜査機関は弁護士以外の人物に被害者の連絡先を開示することはありません。
つまり、誠心誠意の謝罪や示談交渉を行うためには、弁護士の存在が不可欠なのです。

「逮捕・勾留の回避」「不起訴処分の獲得」あるいは「裁判での実刑回避(執行猶予の獲得)」といったものの成否は、「どれだけ早く弁護士に相談し、動き出せたか」にかかっていると言えます。

時間の経過とともに、取れる選択肢は急激に狭まっていきます。刑事弁護に強い弁護士へ一刻も早くご相談ください。

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