痴漢の不同意わいせつ罪で逮捕された!不起訴に向けた弁護活動

悪質な痴漢行為をしてしまい不同意わいせつの疑いで逮捕された場合、前科を逃れるためには不起訴処分を獲得する必要があります。
しかし、不同意わいせつを初めとした刑事事件では、自力で不起訴を勝ち取るのは極めて困難です。
そこで、不同意わいせつ罪に問われたら、すぐに弁護士に相談をすることをお勧めします。
とはいえ、「弁護士に依頼をするメリットにはどんなものがあるのか?」「弁護士がどのような弁護活動をしてくれるのか分からないから、高額の弁護士費用を払うことを躊躇してしまう」という方は少なくないしょう。
そこで、本コラムでは、不同意わいせつ罪で逮捕された場合に弁護士が行ってくれる弁護活動について解説します。
1.不同意わいせつ罪で逮捕されるケース
(1) 逮捕〜交流までの流れ
不同意わいせつ罪は重大な性犯罪とされているため、痴漢事件で不同意わいせつ罪であるとされた場合にはそのまま逮捕されてしまうケースが多いです。
具体的には、電車内やバス内での痴漢行為で「下着の中に手を入れて直接性器を触った」「電車内で別の車両に逃げる被害者を追い触り続けた」「毎日のように同じ車両に乗り同一女性にストーカー的に痴漢をした」というような悪質な事案であれば、不同意わいせつ罪が成立します(これに対し、事件の様態が比較的軽微であれば、各都道府県の「迷惑防止条例違反」となります)。
不同意わいせつ罪の痴漢が周囲にバレると、まずは駅員室などに連れて行かれ、警察を呼ばれます。
そして、警察に身柄を引き渡された後、警察の留置場に留置され警察官から取り調べを受けることになります。
不同意わいせつ罪の場合、ほとんどのケースで警察は被疑者の身柄と捜査書類を検察官に引き渡します(=送検、逮捕から48時間以内)。
そして、検察はさらに詳しい捜査・取り調べを行い、必要と判断すればさらに長期の身体拘束である「勾留」を裁判官に請求します(身柄の受け取りから24時間以内)。
被疑者が犯行を認めており、住所・勤務先などがハッキリしており、かつ身元引受人である家族がいる場合には、証拠隠滅や逃亡の恐れはないとして勾留請求されず釈放となるケースも多いです。こうなると、以降は在宅事件となり、被疑者は日常生活を送りながら取り調べに応じていくことになります。
しかし、不同意わいせつのような悪質な犯行の容疑ならば、たとえ証拠隠滅・逃亡の恐れはないにしても勾留請求されてしまう可能性が高いと言えます。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定をしてしまえば、被疑者は通常10日間、最大20日間もの間、身体を拘束されたまま捜査・取り調べを受けることになります。
(2) 起訴・不起訴の判断
必要な捜査を終えた検察官は、被疑者の処分(起訴あるいは不起訴)を決定します。
勾留されている場合、この判断は勾留期間中に行われます。一方、在宅事件の場合は時間制限がないため、起訴・不起訴の決定が大きく先送りになるケースも多いです。
起訴・不起訴の判断の際には、被害者との示談の成否のほか、前科・前歴の有無、犯行態様の計画性や悪質性、常習性、被疑者の反省の具合など、様々な事情が考慮されます。
よって、被疑者としては、不起訴の決定をしてもらうためにあらゆる手段で情状を良くする必要があります。
起訴をされた場合、保釈されない限り起訴後の勾留が続くことになります。
一方、不起訴ならばそれで事件は終了となります。不起訴は文字通り「検察官が当該事件を起訴しないで終わらせることを決めた」ということですので、そのまま釈放され、日常生活に戻ることができます(※不起訴処分は前科としては残りませんが、「前歴」として残ります)。
2.不同意わいせつで不起訴を目指す弁護活動
不同意わいせつ罪で検挙されたら、そのまま放置していると逮捕・勾留の後に起訴されてしまう可能性が極めて高いです。
不同意わいせつ行為の刑罰は、六月以上十年以下の拘禁刑です。罰金刑はありませんので、起訴されれば必ず公判請求となり、裁判が開かれます。そして、99%以上の確率で懲役刑を言い渡され、執行猶予がつかない限りは刑務所に入ることになってしまいます。
このような不利益を避けるために、一日でも早く弁護士に依頼をし、以下のような弁護活動を開始してもらうべきです。
(1) 被疑者と接見し取り調べに関するアドバイスを行う
逮捕されている被疑者は、事前に知り合いの弁護士や名前を知っている弁護士がいない限り、自力で弁護士に依頼することができません。
そこで、私選弁護人を選ぶならば、通常は被疑者の家族が弁護士を探し、依頼をすることになるでしょう。
依頼を受けた弁護士は、直ちに被疑者が逮捕(勾留)されている警察署・検察庁に出向いて接見を行います(逮捕中の接見は弁護士にしかできませんので、家族からの伝言などは弁護士に取り次いでもらうことになります)。
そして、被害者から事件の経緯などを詳しく聞き取り、その後の取り調べの注意点、手続きの流れなどを説明して、被疑者の意向も考慮したうえで弁護方針の検討を行います。
警察や検察からの取り調べに連日耐えていると、精神的にも疲弊し、やってもいないことを認めてしまう危険があります。
そこで、弁護士に今後の見通しやアドバイスを教えてもらえることは、被疑者にとっても非常に心強いです。
(2) 釈放を目指した弁護活動を行う
逮捕・勾留となれば、最大で23日間も身体を拘束されることになります。
これだけの長期間に及び無断欠席・無断欠勤すると、学校や会社に痴漢事件を隠し通すことは難しいです。
被疑者が学生ならば、授業の欠席が多く単位が取れなくなる可能性や、退学処分になる可能性があります。
会社員ならば、無断欠勤を理由に解雇されたり、犯罪行為がバレれば懲戒解雇になったりする可能性があります。
これらの不利益を避けるために、早期釈放を目指さなければなりません。
数日の欠勤・欠席ならば、体調不良といって誤魔化すことも可能です。
弁護士は、被疑者の家族に身元引受書や上申書(警察官に対して意見や報告をする書類)を作成いただくほか、弁護人意見書も作成します。
これらを検察官に提出することで、勾留の必要性がないことをアピールし、裁判官への勾留請求をしないよう(被疑者を釈放するよう)に働きかけます。また、仮に検察官が裁判官に勾留請求したとしても、裁判官に対して同様に働きかけることで勾留決定をしないよう訴えることができます。
仮に裁判官が勾留決定・勾留延長決定をしてしまった場合でも、弁護士はその取り消しを求めて、「準抗告」を行います。
準抗告とは、逮捕に続く身体拘束である「勾留」の決定に対する不服申立です。準抗告が認められるためには、決定を覆すに足りる相応の理由が必要となりますので、ハードルが高くなります。
準抗告では、そもそも被疑事実(疑われている犯罪)が重いものではないこと、被疑者には仕事や家族があり逃亡するおそれがないこと、証拠を隠滅する蓋然性がないこと、前科前歴がないこと、余罪がないことなどから、勾留の必要性や相当性がないことを主張することになります。
泉総合法律事務所では、4週間連続して4件の準抗告が認容されて勾留決定が取り消し・釈放となった事例があります(そのうち1件は強制わいせつの事案でした)。
(3) 被害者との示談交渉を行う
性犯罪では、被害者のプライバシー保護の観点から、起訴・不起訴にあたって被害者の意向を尊重する運用がとられています。
よって、不同意わいせつの被害者との示談は、弁護活動の中でも極めて重要なものとなります。
示談が整理すると、以下のようなメリットがあります。
- 逮捕・勾留を回避できる
- 身体拘束をされている場合、早期に釈放される
- 起訴処分・不起訴処分の判断の際に被疑者に有利に働く
不同意わいせつ罪の示談となると、被害者の被害感情・恐怖は相当のものと言えますので、かなり高度な交渉ごとになります。
また、性犯罪事件の被害者の連絡先を、警察官・検察官などの捜査機関が加害者に直接教えることは絶対にありません。
したがって、弁護士を依頼しないかぎり、示談交渉を始めることは不可能です。
警察官や検察官は、弁護士に「示談交渉のために被害者の連絡先を教えてほしい」と頼まれた場合、被害者の同意を得たのち初めて弁護士に限り連絡先を教えてくれるのです。
弁護士は、被害者と連絡を取ることができれば、被疑者の代わりに謝罪をし、また被疑者からの手紙(謝罪文)を渡して、被害者のお気持ちや受け止め方を聞き示談の申し入れをし、示談内容を話し合い示談成立を目指していきます。
被害者と示談が成立し、示談金の支払で金銭的に被害回復がされており、かつ示談書における宥恕文言(※)が記載されていれば、被害者の処罰感情がなくなっていることが明らかという意味で、検察からも良い情状として扱ってもらえます。
※宥恕(ゆうじょ)とは、「許す」との意味で、「処罰を求めない」「宥恕する」「寛大な処分を望む」などの記載を宥恕文言と呼びます。これは被害者の同意のもと、示談書に記載させてもらいます。
→ご相談内容「示談したい」
ちなみに、痴漢行為に関する示談金は「慰謝料」の意味合いがあります。
慰謝料は「精神的な傷を補てんするもの」ですから、病院の治療費や物損の実費というような金額の基準はないのが実情です。
よって、不同意わいせつ事件の慰謝料については、犯行態様や被疑者の態度、被疑者の財力、被害者の心情などにより金額が左右されます。
例えば、痴漢の回数が複数回に渡った場合や、被害者が別の車両に逃げても必要に追いかけて痴漢行為に及んだ場合などには、高い慰謝料が相当であることは当然です。
不同意わいせつの痴漢の示談金相場を述べるとすれば、50万円〜100万円の範囲に収まることが多いです。
(迷惑防止条例違反の場合は、30~50万円ほどが相場です。)
なお、被害者の衣服の損傷があれば、相応の弁償金も加算されます。
【示談が不成立でも弁護士ならばフォローできる】
被害者がどうしても示談を受け入れてくれない場合、通常は厳しい刑事処分を覚悟するしかなくなります。しかし、弁護士ならば万一示談が成立しない場合でも、そのフォローを素早く行うことができます。
例えば、被害者の要求する示談金額が著しく過大で示談が成立しない場合、弁護士はその交渉経過を報告書にまとめ、検察官・裁判官に提出します。被疑者側は適正な相場金額を提示し誠実に交渉したこと、被害者の過大不当な要求が示談成立を妨げたもので被疑者側に非はないことを検察官・裁判官に伝えて、示談不成立のマイナスを軽減するように努めるのです。
また、被害者が頑なに示談金の受取りを拒否する場合には、贖罪寄付・供託を行って、被疑者の反省の気持ちを明らかにします。
3.不同意わいせつ罪の弁護士費用
不起訴や減刑を望むために弁護士活動を依頼すると、高額な弁護士費用がかかるのでは…と不安になる方も多いと思います。
しかし、たとえ弁護士費用がかかったとしても、弁護士に依頼をして不起訴を獲得する、あるいは執行猶予や減刑を勝ち取ることは大きなメリットとなります。
不起訴になり前科がつかなければ、その後の生活に不利益が生じることはありません。
起訴されてしまっても、執行猶予を得られれば実刑にならず社会に戻りこれまで通りの生活をすることができます。
不同意わいせつ罪に問われても諦めず、弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。
弁護士費用については、各事務所が任意で決定していますので、依頼前にその事務所の弁護士費用をよくチェックすることが大切です。
「費用面で不明なことはないか(不明な内訳はないか)」「弁護士費用が高すぎないか・安すぎないか」をチェックしましょう。
泉総合では弁護士費用をシンプルでわかりやすく設定しております。またご相談時に分かりやすく説明を行い、ご依頼者様に十分なご理解をいただいた上で、費用をご負担いただくことを心がけています。
例えば、起訴前に不同意わいせつの弁護依頼をされた場合、逮捕・勾留など身体拘束ありの場合の着手金は33万円~で、不起訴獲得となった場合の報酬金は33万円〜です。
4.不起訴獲得のために弁護士へ相談を!
逮捕・勾留されてしまうと、被疑者本人やその家族はどのようにすれば良いか、今後どうなってしまうのかという大きな不安を抱えることになります。
泉総合法律事務所の弁護士、泉義孝は、どのような事件でも決して諦めることなく、釈放や不起訴、減刑など、被疑者の方の不利益を小さくするための最大限の努力を惜しみません。
不起訴処分ならばそもそも有罪判決を受けることはありませんので、該当の事件について前科がつくことはありません。
不同意わいせつ罪などの刑事事件・性犯罪で逮捕されてしまったら、起訴をされる前にお早めに泉義孝まで弁護活動をご依頼ください。