痴漢・不同意わいせつ [公開日]2018年3月28日[更新日]2025年3月17日

痴漢で在宅事件になる場合|在宅捜査になったらどうする?

痴漢で在宅事件になる場合|在宅捜査になったらどうする?

痴漢事件を起こしてしまった場合、被疑者の身元が判明しており、警察が「逃亡や罪証隠滅のリスクがない」と判断すれば、身柄を拘束せずに在宅での捜査が行われることがあります。この場合、表面上は通常の生活を維持することができますが、捜査は依然として進行中です。
このような刑事事件の捜査方法を「在宅事件」と言います。

在宅事件であっても、その後の状況によっては逮捕・勾留される可能性があるため、油断は禁物です。また、起訴されればほとんどのケースで前科がつくことになりますので、痴漢事件の際の刑事手続きや流れを理解し、早めに対策をしておくことが重要です。
本コラムでは、痴漢事件を犯し在宅事件になった方に向けて、不起訴を獲得するための正しい対応策について詳しく解説します。

1.在宅事件と身柄事件の違い

刑事裁判においては、証拠を収集して「起訴」または「不起訴」を判断するために捜査を行う必要があります。
その際、被疑者を身柄拘束しながら取り調べなどの捜査を行う場合は「身柄事件」、被疑者の身柄は釈放し必要に応じて呼び出し捜査を行う場合は「在宅事件」と呼ばれます。

(1) 在宅事件になるパターン

在宅事件では、被疑者は自宅で通常の生活をしながら、捜査機関の呼び出しに応じて出頭し、取り調べを受けることになります。
職場や学校にも通うことができますので、表面上は痴漢で検挙されたことが周囲にバレる可能性も低くなります。

在宅事件となるのは、以下のように、被疑者に逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れがないと判断されたときです。

  • 軽微な犯罪で犯行様態が悪質でない
  • 犯罪事実を認めている
  • 家庭、職業がはっきりしている
  • 家族などが身元引受人となっている
  • 共犯者がいない
  • 初犯である
  • 被害者と示談が成立している
  • 嫌疑が不明確である

最初から逮捕なしで在宅捜査となるケース以外に、最初は逮捕・勾留をされていたものの、途中で身柄が解放され在宅捜査に切り替わるケースもあります。
反対に、当初は逮捕・勾留されておらず在宅事件となっていたのに、被疑者が逃亡を計ったり被害者宅に押しかけたりした場合、後から逮捕されて身柄事件となる場合もあります。

刑事事件の被疑者となってしまったならば、できる限り在宅事件のまま捜査を受けられるように対処することが大切です。

(2) 身柄事件になるパターン

上記の在宅事件の要件に当てはまらない場合、逮捕後も釈放されることはありません。
そして警察官は、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄と事件書類を検察官に送致する必要があります(送検)。

送致を受けた検察官は、身柄を受け取ってから24時間かつ逮捕から72時間以内に、裁判官に勾留を請求します(請求しないならばただちに被疑者を釈放しなくてはなりません)。
勾留請求を受けた裁判所は、被疑者に罪証隠滅や逃亡のおそれがあり、身体拘束が必要と判断すれば、被疑者の身柄を勾留する決定をします。

勾留は最大で20日間続き、この期間中に起訴されなければ釈放されます。
起訴された場合、保釈されない限り、刑事被告人として拘束が続きます。

2.痴漢で逮捕後に釈放された場合の流れ

捜査機関が「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断した場合には釈放され、在宅事件に切り替わりますが、在宅のまま捜査は続けられ、必要があれば捜査機関から呼び出しがかかります。その際には出頭し、取り調べに応じることになります。

呼び出しの回数や在宅捜査の期間は事案によりますが、微罪であると通常は1回で済みます。

その後、検察官が起訴するか否かを決めます。
起訴されれば、起訴状が自宅に郵送され通知されます。

略式起訴(罰金刑)の場合は、略式とすることについて検察官から説明があり、被疑者本人の同意を得ます。
簡易裁判所が略式命令(つまり罰金の命令)を出すと、書類が郵送されてきます。
その後、検察庁から罰金の納付書が送られてきますから、記載された指示にしたがって納付します。

通常の公判請求がされた場合は、裁判所から呼出状が郵送されてきます。その後は通常の裁判の流れとなります。

なお、身柄事件の場合、逮捕から最大で約23日間で起訴・不起訴が決まりますが、在宅事件の場合には時間制限がありません。比較的早く捜査が終わり処分決定となる場合もあれば、処分について数ヶ月以上連絡がこない場合もあります。

処分内容について連絡がくるまで半年以上かかることも珍しくなく、被疑者としては「自分の処遇がなかなか決まらない」「起訴されるかどうかずっとわからない」という状態に置かれることになります。

3.在宅事件のメリットとデメリット

(1) 在宅事件のメリット

  • 身体拘束がないため解雇・退学のリスクがなくなる
  • 自ら弁護士を探して依頼することができる

在宅事件の一番メリットは、やはり「身柄を拘束されない」ことで、「通勤や通学など、日常生活を問題なく過ごすことができる」という点です。
身柄事件となれば、処分が決まるまで(あるいは釈放となるまで)最大で23日間は通勤・通学が不可能となります。欠勤・欠席の理由を説明できなければ、勤務先や学校から解雇・減給・退学などを言い渡される危険性があり、日常生活に多大な影響を受けてしまいます。

このような心配もなく日常生活を送れるのは、肉体的・精神的にもかなり楽でしょう。

また、身体拘束をされていると自らインターネットなどで弁護士を検索することができません。
在宅で「自分の事例で適切に対応してくれそうな弁護士は誰か」「アクセス・相談がしやすい弁護士事務所はどこか」を調べ、実際に相談・依頼できるのも大きなメリットと言えます。

痴漢で職場を解雇されるケースはある?懲戒解雇について解説

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(2) 在宅事件のデメリット

  • 捜査が長くなる傾向がある

在宅事件の一番かつ唯一と言えるデメリットは、「捜査期間が長くなる傾向がある」ことです。

身柄事件では、検察官は逮捕後最長23日以内に「起訴・不起訴」を判断しなければなりません。
しかし、在宅事件ではこのような期間制限は定められていません。そのため、捜査が長期化する傾向があります。

この期間中に「在宅事件だからきっと大丈夫」などと思って弁護士に依頼せずに放置していると、最終的には起訴されて有罪となるケースもあります。よって、在宅捜査であっても弁護士に弁護活動を依頼するべきです。

4.痴漢の在宅事件でするべきこと

確かに、事件の様態が比較的軽微と判断された場合には、在宅事件となるケースは多いです。
しかし、「在宅事件=不起訴」というわけではないため、在宅捜査中も適切な行動をとる必要があります。

痴漢事件を起こしたときに最も重要なのは「不起訴処分」にしてもらい、前科をつけないことです。
起訴されてしまえば、罰金刑や執行猶予付き判決でも前科がつき、今度の生活に影響が出る可能性があります。

では、不起訴処分を勝ち取るためにはどのように対応すれば良いのでしょうか。

(1) 警察・検察の捜査にしっかり協力する

在宅事件の取扱いとなるのは、多くの場合、「逃亡」や「証拠隠滅(罪証隠滅)」の恐れがなく、在宅でも捜査に支障を来さないと判断されたからです。したがって、捜査機関からの呼び出しには迅速に対応し、また誠実に接することが重要です。

出頭要請に応じない、取り調べで不誠実な態度をするなど、警察や検察官に対し非協力的な対応をすると、証拠隠滅や逃亡の危険を疑われて逮捕される可能性もあります。

(2) 在宅期間中の行動に気をつける

捜査機関は、身柄事件の捜査・処理を優先します。また、被害者側の対応によっても、事件処理の時間がかかることがあります。
これにより、在宅事件では捜査が数ヶ月以上におよぶことも珍しくありません。

しかし、長く時間がかかっているからといって不安に煽られ姿を隠す(呼び出しに応じない)ことや、示談を急ごうと自分で被害者にコンタクトをとろうとすることは絶対にいけません。

このようなことをすると逃亡や罪証隠滅を疑われますし、自力で示談をしようとすることは証人威迫や脅迫の意図を疑われてしまいます。

(3) 被害者と示談をする

痴漢行為が事実ならば、被害者との示談を成立させることが重要です。

痴漢における示談金の性質は、「被害者の精神的苦痛に対する補償」である慰謝料です。
慰謝料(示談金)を支払うことで事件について許してもらい、被害者の処罰感情が無くなったことを検察官に対し明らかにすることで、被疑者の処罰に関して有利な方向に考慮してもらえることになります。

特に痴漢や盗撮などの比較的軽微な性犯罪では、被害者のプライバシー保護の観点から、起訴・不起訴にあたって被害者の意向を尊重する運用がとられています。

つまり、検察官による終局処分の決定の際、被害者との示談が成立していることにより、不起訴となる可能性が高くなるのです。
特に、初犯で示談が成立しているならば(よほど悪質な痴漢事案でない限り)原則として起訴を回避できると考えて差し支えありません。

また、逮捕前や勾留請求前、勾留決定前といった刑事手続きの早い段階に示談が成立した場合、以降は被疑者を身体拘束して捜査を進める必要性に欠けると判断され、釈放とされることも多いです。

そのため、示談成立により「逮捕(身体拘束)されない」「勾留請求されない」「勾留請求が却下される」など、身柄拘束の不利益を回避できる可能性が高くなります。

逆に、在宅事件だからと油断して示談に向けての努力を疎かにすれば、「被害回復に努めていない」「反省していないのでは」と思われて起訴されてしまうこともありえます。

なお、痴漢事件では、示談を当事者同士で行うのは不可能に近いです。

警察や検察は、被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはしません。被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、恐怖心から本人との直接の対話に応じてくれることはないと思われます。
さらに、仮に示談交渉を進めることができたとしても、示談金や示談条件についてスムーズに合意することは非常に難しいと言えます。示談成立後の示談書の作成もする必要があります。

トラブルなく、かつ早期に示談をまとめるためには、刑事事件に強い弁護士に示談交渉を依頼することが必須です。

痴漢で逮捕されるケース|逮捕された後の流れはどうなるか

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5.痴漢・在宅事件は泉総合法律事務所へ相談を

逮捕されずに在宅事件となれば安心してしまいがちです。

しかし、警察や検察官の呼び出しを無視したり、不誠実・非協力的な態度をとったりしてはいけません。
在宅事件だからといって必ず不起訴になるとは限りませんので、処分の確定までしっかりと対応しなければならないのです。

痴漢事案であれば、警察や検察に誠実に対応し示談を成立させることで高確率で不起訴とすることができます。不起訴となれば前科はつきません。

痴漢で検挙された方や、在宅事件の捜査中で不安を感じている方は、刑事事件に詳しい泉総合法律事務所の弁護士・泉義孝にご相談ください。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所、弁護士泉義孝まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴される可能性がありますし、処分が罰金であっても前科となります。

最終処分を不起訴など有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所の弁護士、泉義孝は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

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という方は、お早めに泉総合法律事務所、弁護士泉義孝にご相談ください。相談料は初回無料です。

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