痴漢 [更新日]2026年3月16日

痴漢の前科がある人が再度痴漢(再犯)をした場合はどうなる?

痴漢の前科がある人が再度痴漢(再犯)をした場合はどうなる?

痴漢の前科がある人が再度痴漢(再犯)をした場合はどうなる?

痴漢は、発生率だけでなく再犯率も高い犯罪の1つです。痴漢で逮捕された人の中には、痴漢の前科がある人が含まれていることが多くあるのです。

痴漢の前科がある人が、再度痴漢をした場合の刑の重さはどうなるのでしょうか?

本コラムでは、痴漢の前科とそれによる影響について解説します。
痴漢の前科を回避する方法も考えていきますので、痴漢で検挙された方はそのご家族の方もぜひご覧ください。

1.痴漢の刑罰

痴漢行為を罰する法律は、迷惑防止条例条例と、刑法の不同意わいせつ罪です。

迷惑防止条例は、各都道府県で定められています。
例えば、東京都の迷惑防止条例違反は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます。常習犯の場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処されます。

不同意わいせつ罪は、6月以上10年以下の拘禁刑に処されます。

痴漢の罪について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

痴漢は何罪になる?刑罰と逮捕後の流れを解説

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【常習とは?】
上記のように、痴漢の常習犯の場合は、刑罰が重くなります。「常習」とは、特定の犯罪行為を行う習癖のあるものが、その習癖の表れとしてその犯罪行為を行うことです。痴漢でいうなら、痴漢を行う「癖」のある者が痴漢をすることです。
常習性の有無は、①前科、②行為回数、③犯行態様など諸般の事情を考慮して判断されます。

2.前科がある場合の影響

(1) そもそも前科とは?

一般に、有罪判決を受けて確定した経歴を「前科」と言います。痴漢や盗撮はもちろん、窃盗、詐欺、暴行と、どのような罪を行った場合でも前科がつく可能性があります。

一方、罪を犯したことが事実でも、有罪判決を経ていない以上、必ずしもその人に前科があるとは言えません。

有罪判決は、皆さんがよく知る拘禁刑(過去の懲役刑)だけではありません。執行猶予付きの判決や、略式起訴(通常の公判手続きに比べて簡易な手続きの起訴)による罰金刑も前科となる有罪判決に含まれます。

日本においては、起訴をされればほとんどのケースで有罪判決となります。
逆に言えば、仮に罪を犯し逮捕までされたとしても、諸般の事情で不起訴となれば、前科がつくことはありません、

なお、信号無視や駐車違反など、道路交通法違反の罰金(反則金)は例外です。
この場合、交通反則通告制度に従った反則金の納付をすると、刑事手続き進まず裁判になりません。そのため、前科がつかないことになります。

前科と似た概念として「前歴」というものがあります。前歴は、捜査機関(警察や検察)の捜査対象になったことを言います。
前歴は、前科とは異なり起訴・不起訴の結果は関係ありません。痴漢をした事実があり、警察に捜査をされれば前歴がつくことになります。

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(2) 前科があることのデメリット

前科は、それがあること自体で様々なデメリットがあります。

①職場を解雇される可能性

一般の企業に勤めている場合、前科が付くと何らかの処分が出される可能性があります。
もっとも、懲戒解雇は判例上制限がかかっているので、仮に前科を理由に懲戒解雇されても、それが無効と判断される場合もあります。

とは言え、懲戒解雇が無効であっても、その判断は裁判所の判決で明らかになるため、判決を得るまでの事実上の負担(収入がなくなり生活が困難になる、裁判にかかる費用等)は生じてしまいます。

公務員の場合、前科(罰金刑を除く)が付くことは、公務員の欠格事由のため、失職します。

また、弁護士、公認会計士等の一部の資格は、前科(罰金刑を除く)が付くことでその資格を失うとされています。
もっとも、刑の執行が終わってから10年経過すると再登録できます。

②就職に際して申告が必要になる

履歴書の形態によりますが、「賞罰」という欄があれば、そこに前科の記載が必要になります。
仮に前科の存在を隠匿して採用されたとしても、後に発覚した場合、経歴詐称で懲戒解雇になる可能性があります。

よって、前科の存在が事実上、就職において不利に働くおそれは否定できません。

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③犯罪情報が残る

ネット社会である現代において、犯罪情報はインターネット上ですぐに拡散される可能性があります。
そして、その情報は様々なサイトに永久的に残ってしまいます。

また、警察・検察には前科に関するデータベースがあり、そこに記載された情報は、少なくともその人が生きている限り残ります。

前科があることで生きづらさを感じてしまうことや、再犯をしてしまった場合に警察・検察の目が厳しくなってしまうことは避けられないでしょう。

(3) 前科がある人の刑の重さ

法律上、前科があることで刑が重くなる場合があります(刑法上の再犯)。

刑法56条、57条では、「拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときは、再犯とする。」「再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とする。」としています。

これを痴漢の前科を持つ人でいうなら、痴漢で拘禁刑に処された者が、5年以内に再び犯罪(痴漢に限らない)を犯し拘禁刑に処される場合に、刑罰の上限が重くなるということです。

また、この刑法上の「再犯」に該当しない場合でも、前科があることで、事実上量刑が重くなります。

裁判所は、被告人の量刑を判断するに際しては、犯行態様の悪質さ、被害の甚大さ、被告人の反省の有無、被害者の処罰感情など、諸般の事情を考慮します。前科の有無も考慮要素の一つです。

前に有罪の判決を受けた経験があるにもかかわらずまた犯罪を行ったのですから、真摯に反省しておらず、このままではさらに犯罪を重ねる危険もあると評価されても致し方ありません。

このため、前科があることは、被告人の量刑が重くなる方向(刑期や罰金の額が増える、執行猶予が付かない等)に働く恐れがあります。

3.前科がある被疑者の刑事弁護

(1) 反省文の提出、家族の監督などで情状を良くする

再犯の場合、初犯と比べて裁判官の心証は厳しくなりがちです。だからこそ、情状を少しでも改善する活動に注力することが重要です。

具体的な取り組みとして、まず反省文の作成が挙げられます。
これは被害者へ渡す謝罪文とは異なり、検察官や裁判官に提出するものです。単なる謝罪にとどまらず、なぜ再び同じ行為に及んでしまったのか、その原因を本人が深く掘り下げて言語化することが求められます。

表面的な反省では検察官や裁判官に響きません。本人の内省を引き出し、弁護士のサポートを受けながら、適切な内容や表現・言葉選びをしていくことが大切です。

他にも、家族による監督体制を主張することも重要な情状事情となります。
配偶者や親、勤務先など、身近な家族や知人が「今後は生活を共にして監督する」「異変があれば適切な機関に相談する」といった誓約書を提出することで、再犯防止に向けた具体的な環境が整っていることを裁判所に示せます。

また、痴漢行為の背景に依存性や心理的問題がある場合は、専門のクリニックへの通院や治療開始も有力な情状事情となります。
反省と再発防止策が「言葉だけでなく行動で示されている」という点が、裁判官の判断にプラスに働く可能性があります。

(2) 被害者と示談を成立させる

初犯時と同様、不起訴を獲得するには被害者と示談を成立させることが重要と言えます。刑事事件における示談とは、被害者と加害者(被疑者)の間でおこなわれる、事件を解決済みとする合意です。

痴漢事件では、通常、加害者が被害者に慰謝料を支払う代わりに、被害者は加害者を許すという合意が行われます。

この合意内容を記載した書面が示談書であり、これを検察官に提出して、不起訴を求めることになります。

痴漢事件での示談の成立は、慰謝料によって被害者の精神的損害が回復済みとなったことと、被害者が加害者を許すとの意思表明をしていることを示談書に記載し処罰を求める意思がなくなったことを意味します。

このため、示談が成立すると、検察官はその事実を被疑者に有利な事情として考慮して、不起訴処分を選択する可能性が高まります。

痴漢の示談金相場はいくら?示談交渉の流れとポイント

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4.前科を回避するには

このように、前科があることのデメリットは大きいです。
よって、初めて痴漢で逮捕されてしまったならば、前科を回避できるように最大限努める必要があります。

日本の司法において、起訴処分になった場合に無罪判決を得るのは非常に困難です。
また、無罪判決を得るには裁判を経る必要がありますが、裁判は長期にわたるため、肉体的にも精神的にも負担がかかります。

そのため、痴漢が冤罪である場合でない限り、前科を回避することを目的として「無罪判決」を目指すのは現実的ではないといえます。

前科を回避する現実的な方法は、不起訴になること(起訴処分を回避すること)です。

起訴するかどうかの判断は、検察官が様々な事情を考慮して行います。
刑事訴訟法では、不起訴について次のとおり定められています。

第248条
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

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5.まとめ

痴漢の前科がある方が再度痴漢を行い逮捕されてしまうと、前回に比べてより多くの不利益を被ります。
前科がある方は、起訴を回避するために早急に弁護士を選任して、示談交渉を開始してもらうべきでしょう。

示談を考えている方は、弁護士に示談交渉を依頼することをお勧めします。
示談交渉は法律に関する知識が必要なため、法律の素人では適切に執り行えないおそれがあることと、通常被害者の連絡先を警察や検察が教えるのは弁護士のみであるためです。

お困りの方は、泉総合法律事務所の弁護士・泉義孝にご相談ください。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所、弁護士泉義孝まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴される可能性がありますし、処分が罰金であっても前科となります。

最終処分を不起訴など有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所の弁護士、泉義孝は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

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