薬物事件 [公開日]2026年7月30日

大麻所持で不起訴を勝ち取るには?早期釈放と前科を防ぐ弁護活動

大麻所持で不起訴を勝ち取るには?早期釈放と前科を防ぐ弁護活動
弁護士 泉義孝
監修 弁護士 泉 義孝
所属:第二東京弁護士会
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大麻の「所持」は犯罪です。かつては大麻取締法で禁止されていましたが、2024年12月12日に施行された改正法により、現在は「麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)」による刑罰を受けます。

2025年、大麻をめぐる犯罪で検挙された者は6,832人おり、そのうち最も多いのが、大麻「所持」で検挙された5,354人で、約78%を占めます(※警察庁組織犯罪対策部「令和7年における組織犯罪の情勢【確定値版】」(令和8年4月)90頁)。

家族が「大麻所持」で逮捕されてしまった場合、今後、本人はどのように扱われ、どんな刑罰や不利益を受けてしまうのか?ご家族の心配は尽きないと思います。

大麻所持で逮捕された場合、本人が受ける不利益を最小限に留めるには、不起訴処分を勝ち取ることです。
このコラムでは、大麻所持で被疑者本人が被る不利益と、これを回避する不起訴処分を得るための方法について解説します。

1.大麻所持で逮捕されたらどうなる?

(1) 大麻所持で逮捕された後の手続き

まず、大麻所持で逮捕された後にどのような扱いを受けるのか、その手続きの流れを簡単に説明します。

逮捕されると、警察署の留置場に身柄を拘束され、警察官からの取り調べを受けます。
そして、逮捕から48時間以内に身柄を検察庁に送致され、検察官からも取り調べを受けます。

検察官は身柄を受け取ってから24時間以内かつ逮捕から72時間以内に、裁判官に勾留を請求します。

裁判官から勾留質問を受け、嫌疑の存在と証拠隠滅・逃亡の恐れがあると判断されれば、勾留決定が下されます。勾留期間は勾留請求から10日間ですが、大麻事件においては通常検察官が捜査の必要を理由に延長を請求し、裁判官が認めるとさらに10日間を上限として期限が延長されます。

このように、通常、逮捕から23日間もの間、身体を拘束されます。この期間内に、検察官が被疑者を起訴して刑事裁判にかけるか否かを決定します。
起訴しない場合は釈放しなくてはなりません。

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(2) 逮捕・勾留による身体拘束のデメリット

当然ですが、逮捕勾留中は通勤も通学も不可能です。23日間もの長期間、無断欠勤が続けば、解雇される危険もあります。

しかし、正直に「大麻所持で逮捕された」と伝えても、やはり懲戒解雇を受けてしまう危険があります。

学校の欠席が続き、逮捕の事実が明らかになれば、停学処分・退学処分を受ける危険もあります。

2.なぜ「不起訴処分」を目指すべきなのか

大麻所持で逮捕された場合、検察官による不起訴処分を目指すべきです。
その理由は次のとおりです。

(1) 不起訴処分で即日、釈放となる

起訴されると、勾留は自動的に継続し、裁判官が保釈金との引き換えに保釈を許可してくれない限り身柄は開放されません。
保釈の手続には時間がかかりますから、多くの場合、結局身柄拘束は23日間を超え、解雇や退学処分の危険性が高くなってしまいます。

しかし、不起訴処分となれば、即日釈放となるので、すぐに職場や学校に復帰が可能です。

釈放・保釈してほしい

(2) 有罪判決を回避できる

起訴されて刑事裁判で有罪判決を受けると、刑罰が科されます。大麻を所持した者は、7年以下の拘禁刑です(麻向法66条1項、2条1項1号、12条1項)。

さらに、営利目的がある場合は、1年以上10年以下の拘禁刑となり、情状によっては、同拘禁刑に加えて、300万円以下の罰金刑も科されます(66条2項)。

このように、大麻所持は決して軽い犯罪ではありません。
しかし、不起訴処分となれば、有罪判決を回避できます。

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(3) 起訴されれば執行猶予でも前科となる

起訴されても、執行猶予付き判決なら、刑務所に服役しなくても良いのだから、問題ないでしょ?と考える人もいます。

たしかに大麻犯罪の執行猶予率が高いことは事実です。
例えば、令和6年における地方裁判所の大麻取締法違反に対する科刑の状況は、刑の全部執行猶予が84.2%、一部執行猶予が1.4%、執行猶予の無い実刑判決が14.4%となっています(※令和7年版「犯罪白書」第4編第2章第3節1)。

しかし、執行猶予付き判決でも「前科」となってしまいます。

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拘禁刑以上の前科は、国家公務員、地方公務員、弁護士、司法書士、教員、警備員、自衛隊員、保育士などの欠格事由となり、これらの職業にはつけなくなります。

さらに、これら以外の職業であっても、前科を隠して就職した後に事実が発覚すると、懲戒処分を受けてしまう危険もあります。
実際、採用面接において、犯罪歴の質問に対し正直に前科を申告せず、後に発覚したことから懲戒解雇となった事例で、解雇を有効と認めた判例もあります(最高裁判所平成3年9月19日判決・労働判例615号16頁)。

(4) 執行猶予中の再犯罪で刑がプラスされる危険

執行猶予付き判決でも、猶予期間内に再度の犯罪を行うなどすれば、執行猶予が取り消されてしまい服役しなければなりません。
しかも、大麻事犯の場合、そのような事態となることは少なくないのです。

2023年(令和5年)、20歳以上で大麻犯罪(改正前の大麻取締法違反および麻薬特例法違反)で検挙された人数のうち、前にも同じ大麻取締法違反で検挙された前歴がある者は26.7%にも昇ります(※令和6年版「犯罪白書」第5編第1章)。
この数字は、20歳未満の少年でも、11.5%とされています(※令和6年版「犯罪白書」第5編第5章1)。

このように、再び大麻に手を出してしまうのは決して低い確率ではありません。

執行猶予付き判決を受けることができても、再度、大麻に手を染めてしまった場合、執行猶予が取り消され、前回受けた拘禁刑の期間に、さらに今回の拘禁刑の期間がプラスされ、長期間の服役をすることになってしまいます。

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3.早期釈放と不起訴を勝ち取るための弁護活動

(1) 大麻事件で不起訴を勝ち取ることは可能

令和7年版の犯罪白書によれば、令和6年(2024年)における大麻取締法違反の起訴率は44.1%、起訴猶予率は35.5%です(※令和7年版「犯罪白書」第4編第2章第3節1)。

このように、大麻事犯は、不起訴処分(起訴猶予)を獲得する余地が十分ある犯罪です。
しかし、たとえば初犯であれば必ず不起訴となる、と断言できるわけではありません。

起訴猶予は、「起訴すれば有罪判決が見込めるが、犯人の性格・年齢・境遇・犯罪の軽重・情状・犯罪後の情況といった諸事情を考慮し、検察官が、起訴して有罪判決を受けなくとも、更生が可能だと判断した」場合です。

検察官には広い裁量がありますから、反省が十分でない、家族による監督が期待できない、所持の分量が多いなどの事情から、起訴が必要と判断されてしまうケースもあるのです。

したがって、たとえ初犯であっても、不起訴処分となるための活動をおろそかにしてはいけません。

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(2) 不起訴・早期釈放を勝ち取るための弁護士の活動

大麻所持で逮捕された場合、不起訴処分や早期の釈放を得るために、弁護士は主に次の活動を行います。

1 面会で捜査への対応方法や保護される権利などをアドバイス

逮捕中は、弁護士以外の者は被疑者と面会ができません。また勾留中でも、裁判官が家族を含め弁護士以外との面会を禁止する場合があります。

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弁護士は早期に本人と面会して、聴き取った事情を家族に伝えるなど連絡役となることができます。

さらに、「黙秘権」など被疑者に認められた権利や、今後の手続の流れ、見通しなどについて説明し、事実と異なる不利な内容の供述調書を作成されないようアドバイスを行います。

2 勾留を阻止・短期化する活動

本人が事実を認め、身元・家族・学校・勤務先がしっかりしているならば、証拠隠滅や逃亡のおそれはないことを検察官に伝え、勾留請求や延長請求をしないよう働きかけます。

また裁判官にも、勾留や延長を認めないよう、仮に認めるなら短期間に留めるよう主張し、説得します。

黙秘権とは?黙秘権を行使するメリット・デメリット

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3 違法捜査への対応

令状もなく所持品検査による捜索を受けたり、任意同行の名目で交番に拘束されたりという重大な違法捜査が行われた場合は、押収した大麻に証拠能力を認めることはできず、有罪判決を見込めない以上、起訴できないことを検察官に主張します(最高裁昭和53年9月7日判決等)。

違法収集証拠の排除|証拠が使えない場合とは?

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4 真摯な反省と更生意欲をアピール

本人が真剣に反省しているだけでなく、家族が今後の監督を誓約していること、ダルクなど専門機関で薬物依存の治療を行う計画があることなどを強くアピールし、起訴しなくとも更生可能であると説得します。

4.刑事事件に強い弁護士へご相談を

大麻所持で逮捕された場合は、ただちに弁護士に刑事弁護を依頼し、不起訴処分を勝ち取るための活動をスタートさせる必要があります。

泉総合法律事務所では、刑事弁護に注力し、薬物犯罪の弁護経験も豊富な弁護士・泉義孝が無料相談を実施しています。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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